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なくならない誹謗中傷 「個人的な正義感で投稿」「相手に対するリスペクト必要」 選手を守るためには?【専門家解説】
07/07 12:00 配信
「FIFAワールドカップ2026」で優勝を掲げ挑むも、ベスト32で終えた「森保ジャパン」。サムライブルーの激闘に日本中が盛り上がった一方で、SNSでは選手たちへの心ない言葉も多く投稿されています。誹謗中傷はなぜ、なくならないのでしょうか。選手たちを守るためにできることとは。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授に聞きました。
「日本代表」に向けられた心ない言葉 「個人的な正義感で投稿」と山口教授
激励の声が多く占める一方で・・・
決勝トーナメント1回戦で、日本代表はサッカー王国・ブラジル相手に奮闘しました。しかし後半AT、田中碧選手が自陣ペナルティーエリア付近でボールを失ったことから、決勝点につながってしまいました。田中選手のインスタグラムには、激励の声が多く占める一方で、誹謗中傷もありました。
また今年3月、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンが準々決勝で敗退したときにも、選手らへの誹謗中傷が相次ぎました。SNSでは「消えてください」「打たれるために侍ジャパンに選ばれたのか?」といった心ない言葉がありました。
「本人は批判しているだけだと思っている」と山口教授
なぜ、誹謗中傷をするのか。山口教授は「ほとんどの人は個人的な正義感で投稿しているので、本人は批判しているだけだと思っている。だからこそ誰もが加害者になりうる」といいます。
山口教授:多くが「許せない」「失望した」というように、「相手が悪くて自分が正しいんだ」という個人の正義感で投稿しているということが調査でわかっている。自分が正しいと思ってるので、誹謗中傷になっていたとしても、気づいていない人が多いといえる。
「影響力のある人が発信すると、ネット上での誹謗中傷が増えることがある」
韓国ではこんな事態に・・・
誹謗中傷は日本だけの問題ではありません。韓国代表は今回のW杯、グループリーグ1勝2敗の3位で敗退しました。韓国代表公式サポーター「レッドデビルズ」は声明で、「監督は国民の前にひざまづくべき。サッカー界から永遠に去れ」と述べました。洪明甫監督は辞任を表明しました。
それだけではなく、先月28日、李在明大統領もSNSで「無能な人物を指揮官に選べば、結果は明らかだ」と批判しました。
山口教授は「影響力のある人が発信すると、ネット上での誹謗中傷が増えることがよくある」といいます。
山口教授:大統領の発言自体には批判がないかもしれないが、そこから攻撃的な感情が煽られる人たちが出てきて、誹謗中傷があふれて収拾がつかなくなることがよくある。メディアも含め、影響力のある人は「どのように情報発信するべきか」考えて発信することが大事。
どこから誹謗中傷? 批判するには「相手に対するリスペクト必要」
「誹謗中傷」「批判」の線引きはあいまい
ただ、「誹謗中傷」と「批判」の線引きは、あいまいです。傾向として分けると、
批判・・・「こうすべき」「それはダメ」など違う見解を提示
誹謗中傷・・・「死ね」「ボケ」「消えろ」など人格否定、侮辱、脅迫
山口教授は「相手を批判するには、相手に対するリスペクトが必要」といいます。また、「スポーツと誹謗中傷は親和性が高い。ミスが見えやすく、国際大会は特に熱くなりやすい」と指摘します。
山口教授:スポーツは勝敗がはっきり出てくる。そうすると、負けたときに「この人が悪いんじゃないか」と思う人が出てくる。さらに国際大会になると、社会全体が注目することに加え、国同士の戦いの構図になる。場合によっては、ヘイトスピーチのような形で誹謗中傷が出てくる。そのようなことが起こりやすいといえる。
誹謗中傷から守るためには
NPBはSNS誹謗中傷監視システムを導入
誹謗中傷から守るためにはどうしたらいいのでしょうか。
NPB(日本野球機構)は1日から、審判員への誹謗中傷を受けて、SNS誹謗中傷監視システムを導入しました。NPBは「(悪質な投稿は)各審判員の名誉や尊厳などを傷つけるものであり、いかなる理由があっても決して容認されるものではない」としています。
悪質な投稿を確認した場合は、「運営会社への通報」「アカウントのブロック」「投稿削除」などの対応をとります。より悪質とされるものには、「警察への届け出」「法的措置」も検討する方針です。
山口教授は2つの視点から提言します
山口教授は「アスリートへの研修」と「プラットフォーム側の取り組み」2つの視点を挙げています。
〇アスリートへの研修
・選手が攻撃を受けた時の心のケア
・ミュート機能などの研修
〇プラットフォーム側の取り組み
・侮辱的なコメントをしようとすると「本当に投稿するか」が問われる
山口教授:誹謗中傷的なコメントであれば、AIを使って自動的に削除する対応も進んできている。ただ表現の自由もあり、批判か誹謗中傷か、微妙なラインのものも自動で削除すると、それはそれで違う問題を生み出す可能性がある。そういった中で出てきたのが、「本当に投稿するか」が問われる機能。例えばTikTokではこのような機能を導入したら、表示された人の40%が、投稿を修正するか削除するかしたという結果が出ている。AIなどによって気付きを与えて、行動変容を促す。このような仕組みが広がっていくことが大切だと考える。
私たちも加害者とならないために、投稿前に読み返し、一度冷静になることが大事です。
(「newsおかえり」2026年7月3日放送分より)
最終更新:07/07 12:00


