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“歴史的豊漁”のクロマグロ 一方で漁獲枠拡大は国際会議で合意に至らず 身近な食材になる日は来る?

07/17 07:00 配信

マグロは安くなるか

 今、クロマグロが歴史的豊漁となっています。

 日本は国際会議で漁獲枠の拡大を提案し、大筋で合意できると見込まれていましたが、突如メキシコが反対。合意に至りませんでした。

 マグロの漁獲枠拡大はなぜできなかったのか、今後クロマグロが身近な食材になる日はくるのか、近畿大学世界経済研究所の有路昌彦教授と“深掘り”します。

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“歴史的豊漁”でもリリース クロマグロ漁獲枠が上限に

クロマグロとれてもリリース…なぜ?

 今、クロマグロが歴史的豊漁となっています。

 新潟・佐渡のマグロシーズンは通常6月ですが、今年は4月から豊漁となっています。

 本来ならうれしいはずですが、ある漁師によると「網に入ったクロマグロを逃がさなきゃいけない。漁師として一番悔しい」と話していました。

 そもそもクロマグロには年間でとっていい量「漁獲枠」が決められています。30キロ以上の大型であれば8421トン、30キロ未満の小型であれば4407トンです。

 この漁獲枠について、国の管理分と都道府県分に割り振られますが、漁獲枠に余裕のあるところから不足するところへ融通することも可能です。

漁獲枠が設定された背景は?

 太平洋のクロマグロの資源量は、1961年のピーク時には約16万トン。そこから激減し、最も少ないときには10分の1まで落ち込みました。

 90年代には一時回復を見せましたが再び減少に転じ、2014年には絶滅危惧種に指定。これを受けて2015年、国際的な漁獲規制が開始されました。

 しかし、近年ではクロマグロの資源量は急増していて、2022年には約14万4000トンまで回復しています。

――Q.漁獲規制の効果が出ている?
有路教授
「当然それもありますが、特に日本近海や太平洋の水温が上がってきている関係で、クロマグロにとって好ましい状況になっていることも要因です」

漁獲枠拡大の合意ならず…メキシコが突如反対した理由は?

漁獲枠拡大の合意ならず…背景は?

 そこで、資源管理について話し合う国際会議で、日本は大型(30キロ以上)のクロマグロの漁獲枠を25%拡大することを提案しました。

 水産庁によると、11日までは太平洋の西側と東側でクロマグロの漁獲バランスを8対2にするということをベースに交渉が進んでいました。

 しかし突如メキシコが反対し、合意には至りませんでした。水産庁の福田工審議官は「不合理な対応により合意できない事態となった。強い憤りを感じている」と話し、想定外だったとしています。

近畿大学・有路昌彦教授

 では、なぜ突如メキシコが反対したのでしょうか。

 有路教授は「太平洋の東側に位置するメキシコは8対2だと取り分が少なく『7対3』にしてと言い出した。今後、10年以上の漁獲枠が決まるため、このタイミングでごねたのではないか」と指摘します。

有路教授
「今回の国際会議では、今後の長期的な資源管理の新方式を採用することが背景にあったので、ここで8対2と決まってしまうと、将来的に東側の資源が増えても、とれないという状況になりかねません。ただ、この『8対2』という数字は科学的な分布をみて、他の国も含めてコンセンサスが取れていたので、メキシコの反対は将来的な利得が表に出てきてしまったのでは、という気がします」

“マグロの王様”クロマグロ 食べるのはほぼ日本人

マグロの卸売価格の推移

 マグロの中で特に人気なのが「クロマグロ」です。

 クロマグロは「マグロの王様」とも言われていて、卸売価格の推移をみると、同じマグロの中でも高価格帯で取引されています。

世界に占める日本のマグロ消費量

 また、世界全体のクロマグロ消費量のうち、日本は72%を占めています。

 ミナミマグロは世界の98%を日本が消費している。メバチマグロが32%、キハダマグロが9%、ビンナガマグロが26%となっています。

 キハダとビンナガはツナ缶の原料として、他国でも多く消費されているといいます。

これから漁獲枠はどうなる? 「水産庁は必死に働きかけをしているところ」

これから漁獲枠はどうなる?

 今後、漁獲枠はどうなるのでしょうか。今後も様々な国際会議が予定されています。

 8月末には「IATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)」の年次会合。11月末には「WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)」の年次会合が予定されています。

 水産庁は、引き続き協議を続ける意向を示しています。

 有路教授によると「日本は魚の主要な消費国で、データ研究に関して世界をリードしている。漁獲枠の提案に関して、他国は尊重してくれる傾向がある」ということです。

有路教授
「ただ今回の会議で決まっていないと、IATTCの年次会合で枠の拡大を提案することができないので、結構シビアな状態です。さらにそこでダメだったら、冬のWCPFCで上げられません。このままいくと今年の漁獲枠から来期の枠が拡大できないといういうことになってしまうので、IATTCまでの短い期間に何とかある程度の合意を取ってIATTCに上げられるようにしようと、必死に水産庁は働きかけをしているところだと思います」

漁獲枠が増えたらクロマグロは安くなる?

漁獲枠が増えたらクロマグロは安くなる?

 では、その漁獲枠が増えたらマグロは安くなるのでしょうか。

 有路教授によると「クロマグロが高級魚である理由はおいしさだけでなく、処理に非常に手間がかかること。漁獲枠が拡大し供給量が増えても、それだけで一気に価格が下がるとは考えにくい」ということです。ただ「今より購入しやすくなる可能性はあるので、価格は少し下がるのではないか」ということでした。

有路教授
「ご家庭に100キロのマグロが届いても『どうすんねん』となりますよね。やはり専門の技術を持つ人がバラバラにして『柵』という状態にやっていくには非常に人件費のかかるものです。なおかつ、部位別に上手に販売していかないといけない難しさもありますし、冷凍するならマイナス45℃よりも低い温度で特別な冷凍を使わないと色が変わってしまうので、お金がかかるものなんです」

(「newsおかえり」2026年7月15日放送分より)

最終更新:07/17 07:00

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