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「フェルメールに科学者として共感」大ファンの分子生物学者・福岡伸一さんの鑑賞のポイントは?

07/20 19:00 配信

 この夏、大阪の中之島美術館で開催されるフェルメール展では、代表作の「真珠の耳飾りの少女」と初期の作品「ディアナとニンフたち」が公開される。

 現存するフェルメール作品をほぼ全て鑑賞し、フェルメールに関する複数の著作がある分子生物学者の福岡伸一さんに、フェルメール作品の魅力について語ってもらった。

【動画で見る】「真珠の耳飾りの少女」の見どころは? フェルメールの大ファンの福岡伸一さんが解説

分子生物学者の福岡伸一さん=福岡伸一オフィス提供

 ――フェルメール作品との出会いは。

 20代後半で若手研究者としてニューヨークに留学していた頃に、個人美術館で「兵士と笑う女」や「稽古(けいこ)の中断」を見ました。ゴッホやピカソのように自己主張が強い絵ではなく、写真家のように客観的な一瞬を捉えようとしていると感じ、科学者として共感を覚えました。

 ――フェルメールの作品はどれくらい見ましたか。

 私は37点がフェルメールの現存する作品だと考えています。世界中の美術館に散らばる作品のうち、36点を現地の美術館で見ることができました。ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館が所蔵していた「合奏」という作品だけは、30年以上前に盗難に遭い、今も行方不明なので見ることができておらず、非常に心残りです。

ヨハネス・フェルメール「ディアナとニンフたち」 1653~54年ごろ © Mauritshuis, The Hague

 ――今回の「フェルメール展」で公開される「ディアナとニンフたち」の見どころは。

 フェルメールが画家としての出発点で描いた作品ですが、服のドレープ(ひだ)などは細部まで非常に上手に描かれていて、画家としての才能の輝きを予感することができます。30代半ばの円熟期に描いた「真珠の耳飾りの少女」と見比べてみるのは非常に興味深いことだと思います。

ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」 1665年ごろ © Mauritshuis, The Hague

 ――フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」も公開されます。

 「真珠の耳飾りの少女」には、絵画によって、この世界の一瞬を止めたいというフェルメールの思いが込められていると考えています。この絵が描かれた17世紀は、ヨーロッパで近代科学が芽生えた時代でもあります。ガリレオは望遠鏡による天体観測、ニュートンやライプニッツは微分の研究を通じて、移ろいゆく世界を理解しようとしていました。

 「真珠の耳飾りの少女」も、少女がゆっくりと振り返る動きの一瞬を写真のように捉えています。少女の左側は明るい光に照らされ、右側は暗い影に沈んでいますが、これは地球の半分が太陽に照らされ、もう半分が夜になっているのと似ていると思います。

 ――ターバンの青はフェルメール・ブルーと呼ばれています。

 空や海、遠くの山など自然界に青色はいくらでもありますが、その青色は取り出すことができません。空気をいくら集めても、水をすくっても青くはなりません。鮮やかな青を描き出すことは芸術家にとって一つのチャレンジでした。

 ターバンの青はラピスラズリという鉱物を使って描かれていて、退色することなく350年前の輝きを現代に伝えてくれています。当時、オランダは東インド会社などの貿易によって、アジア圏から様々な文物を取り入れており、ラピスラズリもアフガニスタンで採掘されていました。17世紀のオランダの文化をフェルメールの絵も反映しているわけです。

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 ABCテレビなどが主催する「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」(大阪中之島美術館、8月21日〜9月27日)の通常券の抽選販売は、7月21日正午までです。

最終更新:07/20 19:00

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