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「夏休みの短縮や廃止を希望する」親が60% 子どもの「食」と「居場所」をどう守る?
07/22 19:00 配信
どう守る?夏休み中の子どもの「食」と「居場所」
夏休みが始まると、子どもの「居場所」と「食事」をどう確保するかが課題です。共働き世帯が当たり前になった今、保護者の約半数が「負担を感じる」と答え、夏休みの「短縮や廃止を希望する」親が60%に達するという調査結果まで出ています。こうした現状について、教育行政学が専門の日本大学文理学部・末冨芳教授に聞きました。
夏休みなのに学校を開放? 「教員が対応するものではない」
SNSでは批判の声も…
文科省が今月3日、夏休み期間中の子どもの居場所として、学校や社会教育施設の開放を要請しました。その背景には「家庭環境の多様化」が挙げられており、松本文科大臣も「子どもたちが学びや体験活動に参加できる機会の充実を、一層推進していきたい」とコメントしています。
ところが、この要請にSNSでは「学校や教員を何だと思っているんだ」「現場感覚がなさすぎる」といった批判の声が相次ぎました。
これに対し、松本文科大臣は14日、「基本的にこれは教員が対応するものではなく、教育委員会に取り組んでいただくことを想定している」と説明しています。
末冨教授も「今年から教員の働き方改革が法令で義務付けられたので、教員に夏休み中の新たな業務を任せることはできない」と述べています。
今年4月に施行された「改正給特法」
今回の要請を理解するうえで欠かせないのが、今年4月に施行された「改正給特法」です。給特法とは、公立学校の教員の給与や勤務条件を定めた法律で、今回の改正では教員の待遇が大きく見直されました。
具体的には、教職調整額が現在の4%から年1%ずつ引き上げられ、2031年頃には10%に引き上げられる予定です。また、教育委員会に業務量の管理が義務付けられ、時間外勤務を月平均約30時間に削減することが目標として掲げられています。
末冨教授は「教員がこれ以上働きすぎずに、教員以外のさまざまな人たちの力を借りながら、子どもたちの夏休みを応援していこうというのが今回の文科省の通知の趣旨」と解説します。
また、21日閣議決定された骨太の方針についても、「教職調整額を10%に引き上げるために『月30時間以内の残業時間に抑える』ということが明記されており、政府を挙げてかなり重点的に取り組まれている」と強調しました。つまり、「給料を上げる代わりに残業を減らす」という、明確なメッセージが込められています。
海外の事例は?
海外に目を向けると、フランスでは空き校舎を活用した「余暇センター」を自治体や民間が運営し、社会教育の専門スタッフが子どもの面倒を見ています。
アメリカではYMCAなどの地域団体が「アフタースクールプログラム」を学校内や地域で実施しています。いずれも"先生の負担にならない形での運営"が大前提です。
末冨教授は「日本でもようやく夏休み中の子どもの居場所づくりの確保に、国が一歩踏み出した」としています。
「夏休みの短縮・廃止を希望」が60% 保護者の切実な声
保護者たちの実態は?
では、保護者たちの実態はどうなっているのでしょうか。子どもの居場所や預け先の確保について、小学1年~高校3年の子どもをもつ保護者1,000人に聞いたところ、「非常に負担を感じる」が13.9%、「やや負担を感じる」が34.9%と、合わせて約半数の48.8%が"負担"と回答しました(明光義塾調べ)。
また、夏休みの長さに対する考えとして、「短縮や廃止を希望する」と答えた保護者は60%に達しました(NPO法人キッズドア調べ)。その理由として挙げられたのは以下の通りです。
・ 給食がなく子どもが必要な栄養を取れない
・ 夏休みの特別な体験をさせる経済的な余裕がない
・ 給食がなく子どもの昼食を準備する手間や時間がかかる
末冨教授は「物価高騰で食費が上昇する中で、家庭で満足に栄養が取れず、休み明けに体重が減少してしまう子どももいる」と指摘します。かつては「夏休みは専業主婦のお母さんが家で子どもの面倒をみる」という前提がありましたが、共働き世帯が主流となった現在、その前提はすでに崩れています。
「国を挙げて夏休みの食・居場所支援の保障を」議員連盟が文科省に提言
子どもの貧困対策推進議員連盟が文科省に提言
こうした状況を受け、先月12日、子どもの貧困対策推進議員連盟が文科省に対し、「国をあげて、夏休みの食・居場所支援の保障をしていくべきだ」と提言しました。この議員連盟は複数の政党をまたいだ"超党派"の構成となっており、末冨教授もこの活動に参加しています。
末冨教授は「夏休みこそ非常に危機的な時期だというのは、子どもの貧困対策の現場で支援をしている団体がもう何年も政府に訴えてきた。それがやっと動き始めた」と語ります。
学童保育の現状
最後に、学童保育の現状をみていきます。こども家庭庁によりますと、5月時点で、全国で学童保育を利用している児童は過去最多の160万2037人に上ります。待機児童は1万4713人にのぼり、希望しても利用できない家庭がまだ多く存在します。
末冨教授は「支援員の処遇改善も遅れているのが現状で、自治体が予算を確保して環境を改善することが必要」と訴えます。利用が増えているにもかかわらず、それを支える環境整備が後回しになっているのが実情です。
支援する予定の自治体は約1割ほど 「支援の輪を全国に」
一部の自治体などでは独自の支援も
一部の自治体や民間では、すでに独自の取り組みが始まっています。
〇兵庫・芦屋市:市内の小学校の校庭・教室を開放。運営は地域の有償ボランティアが担う。
〇大阪・枚方市:民間が運営する「子ども応援ごはんプロジェクト」として、小中学生を対象に市内の飲食店で無料の食事を提供。
〇愛知・みよし市:子どもの食事支援・酷暑対策として、市内の公共施設11カ所で弁当を提供。
全体でみると支援する予定の自治体は約1割ほど
しかし全体で見ると、夏休みに食の支援や暑さ対策を行う予定の自治体は1794自治体中206にとどまり、約1割に過ぎません。
末冨教授は、「地域で子どもたちが集まりやすい場所で、できる支援から始めていくことが重要。民間の子ども食堂などに丸投げせず、自治体が責任を持った運営体制にすべき」といいます。
末冨教授:全体の1割ということは、逆に言うと9割の自治体で、夏休みに家でご飯が食べられない、食料も買えないような家庭に支援が届いていない。どの自治体でも支援が受けられるようにしてほしい
支援の輪がまだ一部の自治体にとどまっている今、「子どもはみんなで育てよう」という意識を社会全体に根付かせ、スピード感を持って全国に広げていくことが求められています。
(「newsおかえり」2026年7月21日放送分より)
最終更新:07/22 19:00


