関西ニュースKANSAI

イオンモール爆発は「ガス漏れ」が原因か? 地震発生から1時間半の“タイムラグ”はなぜ? ショッピングモール特有の構造など 消防・防災・危機管理の専門家が徹底解説

07/29 19:20 配信

 最大震度7を観測した28日の熊本地震で、熊本県嘉島町にある大型商業施設「イオンモール熊本」で爆発がありました。死者が確認され、いまだ安否不明の従業員の救助活動が続いています。

 専門家は爆発の原因について、ガス爆発の可能性が高いと指摘しています。

【熊本地震】ガス漏れから"爆轟"発生? 3人死亡のイオンモール爆発 専門家たちの見方は

「一番考えられる可能性はガス爆発」

イオン・爆発の経緯

 「イオンモール熊本」の爆発は、地震発生から約1時間半後の午後6時ごろ発生しました。

 施設内にいた約200人が外へ避難した後、爆発が発生し、2階部分が崩落しました。
 イオンは29日午後4時半の記者会見で、3人が死亡し、安否不明の従業員が3人いると明らかにしました。

元小田原市消防の永山政広さん

 元小田原市消防で火災調査などを担当し、東日本大震災では緊急消防援助隊で指揮をとったことがある永山政広さんは、今回の事故の原因について「一番考えられる可能性はガス爆発」とみています。
 では、なぜ爆発を引き起こすようなガス漏れが発生したのでしょうか。
 本来、強い揺れを感知すると、自動でガスを遮断するシステムが作動します。また、手動でも遠隔遮断が可能です。
 ただ、大きな施設にみられる長い配管では、仮に遮断していても配管にガスが残ることがあります。その配管が地震で破損し、爆発につながった可能性があるといいます。

永山さん
「爆発があったイオンの建物自体に大きな問題があったようには思えません。ただ、建物の大きさや遮断弁の位置によっては、ガスを瞬時に完全に止めることはできません。大きな建物ではこうしたことも稀に起こるということを念頭においておくことが重要だと思います」

都市ガスとLPガスの違い LPガスは「若干爆発しやすい」なぜ?

都市ガスとLPガス

 一般的に利用されるガスには、都市ガスとLPガスの2種類があり、重さが違います。都市ガスは空気より軽く、LPガスは空気より重くなっています。
 このため、都市ガスは漏れても上に流れるほか、ドアが開いたときに外へ逃げるという性質があります。一方、LPガスは空気より重いため床に溜まりやすいという特徴があります。今回の爆発はLPガスが引き起こしたものとみられています。

永山さん
「LPガスは空気より重いので、一か所に固まって濃度が高くなりやすい。そのため、発火などがあったときに若干爆発しやすいといえます」

飲食店エリアではないところで爆発 ガス管に欠損か

大きく損壊したイオンモール熊本の建物

 イオンは29日午後4時半から会見し、爆発があったのはガス経路の途中で、飲食店エリアではなかったと明らかにしました。
 また、熊本店では、LPガスを飲食店の調理や空調設備に使用していたということです。

永山さん
「ガス経路上でガス管の欠損が生じた可能性が考えられます。LPガスですと空気中の濃度が2%~9%になると爆発するという特徴があります。徐々に時間をかけて漏れ出した後、地震から1時間半後に条件が重なって爆発に至ったことが考えられます」

なぜ大規模な爆発に? 建物の「密閉構造」も一因か

爆発についての見方

 爆発の規模がこれほど大きくなった理由をめぐって、永山さんは建物の構造についても言及しました。
 今回のようなショッピングモールでは、ガス漏れが建物全域で起きていなくても、一部の漏れだけでも大爆発につながるというのです。
 ショッピングモールはテナントが多くそれぞれが密閉空間に近い状態ですが、密閉しているとガスが充満しやすく、密閉空間でひとたび爆発が起きると圧力が連鎖し大爆発につながる恐れがあるということです。

永山さん 
「一般的なショッピングモールは建物全体が密閉状態になっています。どこかで爆発が起きても圧力の逃げ場がありません。圧力がどんどん高まって伝わり、一気に外側へ噴き出すという現象が起きたのではないかと想像されます」

1時間半の”タイムラグ”の謎 

 地震から爆発までなぜ1時間半の時間があったのでしょうか。この"タイムラグ"について、永山さんは複数の可能性を挙げました。

永山さん
「何かしらの火種がないと爆発は起きません。ブレーカーなどから電気火花のようなものが発生し、それが発火源になったという可能性が一つ。また、こうした大きな施設では自家発電や非常用電源が動き出すことがあります。こうした別電源を使った用品から火花が出た可能性が二つ目です。たまたま火種ができたのが、地震から1時間半後だったということではないかと思います」

今後の救助活動も難航か ガスの心配なくても建物の強度に懸念

 現在、安否不明の従業員が3人います。今後の救助活動について、永山さんは「ガスによる二次災害は考えにくい」としつつ、建物の強度が心配だと指摘しました。

永山さん
「タンクからガスを送っているだけであれば、バルブが閉まっていればガスによる二次被害は考えにくい。ただ、現地では地震がかなり頻発に起きているので、建物の強度がもう耐えられない状態になっています。建物の中に入ること自体が危険な状態ですから、救助活動は相当難航すると思います」

最終更新:07/29 19:20

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる