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【緊急取材】最近よく聞く「クビアカツヤカミキリ」とは 実は日本人の心を癒すサクラなどの天敵害虫 特定外来生物として猛威をふるうその生態に迫る

08/17 07:00 配信

サクラが危機!? 本来日本にいないはずの「特定外来生物」

 日本の春を彩るサクラや、ウメやモモなどの果樹園がいま、危機に面しています。

 6月、花が散ったあとのサクラには新緑が・・・のはずが、大阪府内のあるサクラ並木には、“葉がない”サクラ、すなわち枯れたサクラが何本もみられました。
 
 樹を枯らした犯人は、特定外来生物・クビアカツヤカミキリ。
 
 農林水産省・鈴木憲和大臣も「これはもう待ったなし」と危機感を口にするほどの猛威を振るうクビアカツヤカミキリとはいったいどこから来て、どういった虫なのか。

 専門家の調査に同行取材し、その生態系に迫ります。

【動画で見る】特定外来生物クビアカツヤカミキリが2026年も拡大・・・ サクラだけでなくモモなど果樹園まで被害に・・・国も動き出す緊急事態に!! 食い止める方法は・・・?

6月の下旬から7月にかけて最も多く成虫が現れる「クビアカツヤカミキリ」

藤井寺市内の公園で試験採取にあたる山本さん

 大阪府藤井寺市で、地元住民にサクラの名所として愛されている大水側散策公園。

 そこに6月末、大阪府環境農林水産総合研究所の山本さんの姿がありました。
 山本さんはクビアカツヤカミキリの研究者で、ちょうど試験用の成虫の採取のため、この公園に。

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」

 同行させてもらうと、次から次へと現れる、クビアカツヤカミキリ。
 通称“クビアカ”とも言われるこの虫は、特定外来生物に指定される厄介な害虫です。

樹木を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」の幼虫

 サクラやモモなどのバラ科の樹を好み、樹に卵を産み付けると、生まれた幼虫が樹の中を食い荒らして最悪の場合、樹を死に追いやることもあるといわれています。

驚異的な繁殖力 防除対策が追いつかない状態に

驚異的な繁殖力で分布を広げるクビアカツヤカミキリ

大阪府環境農林水産総合研究所・山本優一主査
「防除対策は年々有効なものが出てきてはいるんですが、我々が実施しているスピード、取り組みの早さに比べて、やはりクビアカツヤカミキリ自身が分布を広げるスピードの方がやはり早い」

 山本さんも危機感をつのらせる、クビアカツヤカミキリの驚異の根源はその繁殖力にあります。
 クビアカツヤカミキリのメスは一生に卵を平均350個、最大で750個産む個体もあり、在来種のカミキリムシの2倍近くの繁殖力を誇り、そのため、対策を講じても、講じても、次々と分布を拡大していっているといいます。

各地へ広がる被害(2026年7月31日時点)

 そもそも、クビアカツヤカミキリは元々、中国や韓国などに生息していました。

 木材や荷物の梱包材などにまぎれて日本に入ってきたとされていて、2012年に愛知県で初めて確認。
 その後、7月31日時点で20都府県に分布を拡げ、全国でサクラは6800本以上、最近では害虫対策を講じているウメやモモなどの果樹園にまで被害が出ているということです。

これまで対策を続けていた環境省に加え農林水産省も対策に

省庁連携で対策本部を設置

農林水産省 鈴木憲和大臣
「農地や河川敷、学校の敷地内のサクラ、家に植えられているサクラやウメなど含めて、(クビアカツヤカミキリ対策を)面的にやらなければいけないと考えている」

 農作物にも被害が出ていることなどから、これまで対応していた環境省に加え、農林水産省も対策に乗り出しました。
 7月31日、両省が中心となって、クビアカツヤカミキリ対策本部を設置。

 地方自治体とも連携し、被害の拡大を食い止めたい構えです。

大阪府でも被害が拡大 1年で被害の確認が29市町村から34市町村に増加

枯れてしまったサクラの木

報告:石黒俊人記者
「6月ですがサクラの木にはもう葉がついていません。
 (クビアカツヤカミキリの)成虫が出てきたと思われる穴が多数空いています」

 6月大阪府八尾市にある桜並木を取材すると、葉のないサクラが何本も目立ちました。

 このサクラ並木は地元住人らが春はサクラを楽しみながら散歩する、憩いの場。
 住人からは「寂しくなった」「気づいたらサクラが枯れていた」という声が聞かれました。

大阪府・環境農林水産部・吉田惇也さん

大阪府・環境農林水産部・吉田惇也さん
「昨年度は29市町村で被害が確認されていたところ、今年度は現時点で34市町村で被害が確認されています」
「最近では街中とか、公園などでも被害が確認されていると聞いています」

 被害を食い止めるため、大阪府は府民の力を借りようと、ある取り組みを始めました。

「サクラを守れ!」クビアカツヤカミキリ夏の陣2026

“打倒クビアカ”をかかげた取り組みも

 大阪府が“打倒クビアカ”をかかげて2025年から始めたのが、「クビアカツヤカミキリ夏の陣」。
 決められた期間でクビアカツヤカミキリの捕獲数を競うというもので、上位にはギフト券など豪華賞品が送られるというものです。
(※2026年は6月1日から8月28日まで・実地での捕獲大会は7月26日で終了)

捕獲大会の様子

捕獲大会も開かれ、八尾市内の回には、老若男女35人が集まりました。
子どもが虫好き・参加者の女性
「子どもが虫が好きで、虫取りをしているときに『この虫なんだろう』と。
 調べたらサクラを食い荒らして被害が出ていると知った」

参加者の男性
「子どもにサクラを残してあげたくて」

 参加者の中には、危機感からイベントに参加したという人もいました。

クビアカツヤカミキリの捕獲の目印は「フラス」と呼ばれるフン

樹木の根元にフラス(フン)が落ちている

 イベントで参加者が目印とするのは、幼虫が樹を食い荒らした後にでる「フラス」と呼ばれるフン。
 このサクラ並木は多くの樹にフラスがあり、このままではサクラ並木全体が壊滅する恐れもあります。

捕獲されたクビアカツヤカミキリ

 また、クビアカツヤカミキリは夏の晴れた日に、活動が活発化すると言われていて、このイベント開催日は曇りでしたが、それでも22匹が捕獲されました。

 捕獲されたクビアカツヤカミキリは、特定外来生物のため、すぐに専用のエタノールの入ったボトルに入れられ、殺処分されます。

 7月31日時点で、イベント全体での捕獲数はなんと約1万3750匹。去年が「3000匹以上」だったことを比べても、4倍以上の捕獲数となっています。

 それだけ捕獲されても、被害は拡大する一方。専門家も「人の手で捕獲するだけではなかなか追い付かない」と指摘。見かけたらすぐ殺処分する、放置しないことが求められています。
 専門家によりますと、クビアカツヤカミキリからは「ジャコウ臭」という特殊なにおいが出るため、殺処分する際は、エタノールを活用するか、直接触らずに近くの石や岩などでつぶしたり、足で踏みつぶすのがいいということです。

(取材・報告:石黒 俊人)

最終更新:08/17 07:00

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