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身体を持った“フィジカルAI”でリードする中国 かつてロボット大国だった日本の強みは「福祉や医療現場の技術」
08/28 12:30 配信
止まらぬ人型ロボットの進化
洗濯物を畳み、荷物を運び、工場で作業をこなす。そんな人型ロボットたちが実用間近のレベルに達しています。世界はいま、身体を持った"フィジカルAI"の開発を巡って、熾烈な競争の真っ只中にあります。
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北京で開かれたロボットの祭典
北京で開かれたロボットの祭典
ロボット産業を世界的にリードしているのは中国です。2026年8月、中国・北京で2つの大きなイベントが開催されました。
ひとつは「世界ロボット大会」。19日〜23日に北京で開かれ、中国を中心に約300社が参加しました。展示数は2000点以上に上りました。
もうひとつは「世界人型ロボット運動会」。22日〜26日に北京で開かれ、16の国と地域から666チームが集まりました。日本やアメリカからもチームが参加し、2056台のロボットがサッカー・陸上・工場作業など51の競技を披露しました。
AIが身体を持った「フィジカルAI」
AIを搭載した人型ロボット
これらのロボットの多くに搭載されているのが、「フィジカルAI」と呼ばれる技術です。
従来のAIは身体を持たず、データ上で動くものでした。一方、フィジカルAIは現実世界で身体を使う人工知能のことです。見る・聞く・触るといった感覚で周囲の状況を把握し、次の動作を考えて実際に行動します。
中国はこのフィジカルAIの技術で世界をリードしています。
人型ロボットの開発をリードする中国
2026年上半期、人型ロボットの出荷台数(1万9,100台)のうち、約97%を中国企業が占めています。
野村総合研究所チーフエキスパートの李智慧さんによると、AIやロボット関連を専攻する世界全体の学生のうち、中国が42%を占めています(2024年時点)。「中国政府は『人間とロボットが共生する社会の実現』を目標に掲げ、開発を進めている」と指摘します。
国だけでなく、地方政府も動いています。北京経済技術開発区では研究開発や事業化への資金補助を提供しているほか、上海市、杭州市、武漢市などでも地域産業を生かした支援策が導入されていて、中国では独自の優遇政策が次々と打ち出されています。
アメリカvs中国、それぞれの得意分野は
アメリカvs中国、それぞれの得意分野は
フィジカルAIの世界では、アメリカと中国の間で競争が過熱しています。
東京大学大学院の松嶋達也特任助教によると、AIの頭脳やデータ学習といった「AI開発」ではアメリカがリードしています。
一方で、実際にサービスを発案・提供する「社会実装」では中国が一歩先を行っています。中国では、ロボットによる労働を市民生活に取り入れて研究を進めているということです。
国際的な枠組みもできつつあります。
アメリカは日本を含む20以上の国・地域と、AI技術開発を安定して行う国際的な枠組みを設立。一方で、中国はロシアなど約30カ国と、AI技術協力や人材育成を共有する国際機関を設置しています。米中それぞれが仲間を囲いながら、開発競争を繰り広げる構図です。
最前線に並ぶアメリカ 競争加速
ただし、米中の開発は競争だけではありません。松嶋特任助教によると、米中のAI技術者の中には、開発データを囲い込むのではなく、共有することでさらなる技術発展につなげる動きもあります。
かつての"ロボット大国"日本のいま
日本はかつて“ロボット大国”だったが…
かつて、日本はロボット大国でした。製造業の従業員1万人あたりの稼働ロボット台数では、日本は1990年代から2009年まで世界トップでしたが、2024年には世界5位にまで後退しています。
世界の産業用ロボット生産に占める日本のシェアも、2015年には54%ありましたが、2024年には29%にまで低下しました。
米中を追う日本の強みはどこにあるのでしょうか。
早稲田大学の菅野重樹教授によると、日本はハード面とソフト面を一体化させる技術に強みがあり、「福祉や医療現場など人を支援する技術でリードしている」ということです。
ロボットとの共生、実現はいつ?
ロボットとの共生、実現はいつ?
現時点ではロボットの作業範囲はまだ人間と同等のレベルには達していません。2030年ごろに技術が完成し、実際にサービスとして受けられるようになるのは2035年から2040年頃になると菅野教授は予想しています。
懸念点は技術の発展だけではありません。ロボットの普及には社会受容性も考える必要があります。
たとえば車であれば、車そのもののほかに、法律・保険・免許制度・メンテナンスといったインフラが整備されたことで普及に至りました。
菅野教授は、ロボットにはこれらに加えて、文化・価値観・倫理・マナーなどへの考慮も必要になると指摘します。生成AIはすでにサイバー攻撃や犯罪に悪用されていて、世界が連携して知恵を絞ることが求められています。
(「newsおかえり」2026年8月26日放送分より)
最終更新:08/28 12:30


