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生活道路の法定速度 9月から時速30キロに 「行ってきます」「おかえり」を守るために…事故で娘を失った父の思い【岩本計介 ニュースの現場から】

09/03 06:00 配信

 住宅街の細い路地を、車が抜け道として走り抜けていく。そこは小学生が毎朝通う通学路でもある。そうした"生活道路"の法定速度が、9月1日から60km/hから30km/hへと引き下げられました。

 単なる数字の変化と受け取る方もいるかもしれません。しかし、この改正には、取り返しのつかない喪失を経験した父親の、14年にわたる思いが重なっています。

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事故で亡くなった真緒さん(当時7歳)

 小谷真樹さん(44)。14年前、交通事故で小学2年生だった娘の真緒さん(当時7歳)を失いました。

(岩本計介アナウンサー)
「可愛い表情ですね。これは何の時の写真?」
(小谷さん)
「何気ない普段の1枚ではあるんですけど、明るい子で、パッと陽気で、本当に人を楽しませてくれるような子だった」

車を運転していた少年は無免許でした

 2012年、京都府亀岡市で居眠り運転の車が、集団登校の列に突っ込み、真緒さんを含む3人が死亡、7人が重軽傷を負いました。車を運転していた少年は無免許でした。

 突然、家族を奪われたあの日から14年。事故がなければ21歳になっているはずの娘の姿を、想像することはできません。

(岩本アナ)
「私、娘がいまして。21歳なんですね、いま。それを思うと…」
(小谷さん)
「どんな大人になってたんだろうなというのは想像しても、当時の7歳のままで止まっている」
「参観日とかも、教室に真緒がいないのは分かるんですけど、真緒の姿はここにあったんかなと思って、ずっと見に行ったりしてる自分がいた」

大人になった真緒さんの友人

 小谷さんを救ってくれたのは、真緒さんの大人になった友人たちでした。

(小谷さん)
「成人式に真緒ちゃん連れて行って良いですかと言って、成人式の前にうち来てくれて。成人式に写真を連れて行ってくれて、写真撮ってきてくれて」
「そうやって今でも真緒のことを、心に置いてもらってくれていることは、やっぱり嬉しいなと思います」

小谷さんが取り組んだのは、家の前の「生活道路」の安全を守る活動でした

 事故のあと、小谷さんが取り組んだのは、家の前の「生活道路」の安全を守る活動でした。

(岩本アナ)
「ご自宅の前の道路なんですけど、ここの制限速度に関しても思うところが?」

(小谷さん)
「事件があって娘を失ってからではあるんですけど、こんな(家の前の)道路が60キロ制限でいいわけないと思ったので」
「そういったところ(生活道路)の法定速度に関しては、大いに意味があるとに思っています」

小谷さんと岩本アナウンサーが事故現場を訪ねました

 小谷さんと岩本アナウンサーが事故現場を訪ねました。14年前、娘の命が奪われた現場に立つ小谷さん。

(小谷さん)
「この辺り一帯が事故現場になります。私の子供が倒れたのは、この塀の前」
(岩本アナ)
「相当なスピードだったんでしょうね」
(小谷さん)
「もう間違いなく相当なスピードで走っていて、子供たちを後ろからなぎ倒すという形で」

小谷さんに今、思うことを聞きました

 交通ルールが大きく変わった今、思うことを聞きました。

(小谷さん)
「その日朝、『いってらっしゃい』と言って送り出して、その日を境に、真緒が『ただいま』と帰ってくることもなくなりましたし、私が真緒を『おかえり』と迎えてやることができなくなりました」
「速度が引き下げられたという側面だけを見るんじゃなくて、みんな朝出ていくときに、『いってらっしゃい』と送り出して。『ただいま、おかえり』って言い合えるような毎日が送れるための改正なんだと、重く受け止めてほしいと思っています」

”抜け道”として使われる生活道路 過去5年間で120件もの事故

警察が通学路などで啓発活動

 9月1日から始まった法定速度30キロへの引き下げ。8月下旬、奈良市にある危険な生活道路に取材班が向かいました。幹線道路を結ぶ約1.7キロの生活道路。付近に大型商業施設があり、”抜け道”として使われています。

過去5年で120件の事故が

 警察によるとこの道路では、過去5年間で120件もの事故が起きているといいます。毎日、子どもの登下校の見守りに立つという男性は。

(交通安全指導員)
「朝晩、2つの幹線道路が混むと”抜け道”になっていますので、どうしても慌てていかれる方がいるので、自転車または人が歩いていたら、注意して減速していただきたい」

そもそも”生活道路”とは? 全国の一般道のうち約7割が該当

慣れた道ほど要注意

そもそも”生活道路”とは、具体的にどんな道路を指すのでしょうか。法律上の厳密な定義はありませんが、一般的には「住宅街にあるような細い道」のことを指します。全国の一般道のうち、約7割を占めています。

 今回、法定速度が60km/hから30km/hへと引き下げられたのは、「中央線・中央分離帯がない」「速度標識がない」道路です。ABCテレビの木原善隆コメンテーターは、「遅すぎる改正だ」と指摘しました。

木原コメンテーター
「60km/hという速度制限は、1960年に道路交通法が制定されたときから66年間、ずっと変わっていなかった。まだそれほど車も多くなかった時代のルールを、ずっと適用してたというのは、ある意味、政治の不作為。やらなかった罪は大きい」

 奈良市にある生活道路を取材した大阪府警担当の石村彩華記者は、「幹線道路への抜け道になっている道と、通学路が重なっている生活道路が特に危険」といいます。この状況は、京都・亀岡市の事故現場と同じ構図です。

 登校する子どもたちのそばを、スピードを上げたまま走り抜ける車も多く見受けられ、「非常に危険だと感じた」と、石村記者は現場の印象を語りました。
 
 また石村記者は「慣れた道ほど要注意」と指摘します。

石村記者
「生活道路は身近な道路であるからこそ、『この道なら大丈夫だろう』と油断してしまい、スピードを出しがちになる。その油断が、取り返しのつかない事故につながる可能性がある。今回の法改正を、見直すきっかけにしていただきたい」

(「newsおかえり」2026年9月1日放送分より)

最終更新:09/03 15:02

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