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【独自】「湯飲みは大多数が鍵なしで保管」 くら寿司×ちいかわ横領問題 現役従業員が明かした管理の実態 “限定品”がもたらす光と影

09/09 07:00 配信

現役従業員が明かした管理の実態

 子どもたちが心待ちにしていたはずのコラボキャンペーンが、一部の従業員の不正によって突如、幕を閉じました。大手回転寿司チェーン「くら寿司」と国民的人気キャラクター「ちいかわ」のコラボキャンペーンをめぐる問題です。

 ABCテレビは現役従業員への独自取材を行い、企業側の説明と食い違う管理体制の実態に迫りました。

 限定品をめぐっては、消費者・企業双方にとって明るい側面がある一方、深刻な問題も生じている現状があります。

【動画で見る】くら寿司の横領問題 現役従業員が独自証言「取ろうと思えば・・・」 コラボ中止は「朗報」?

「突如中止」の背景に従業員による横領

コラボキャンペーンの景品

 くら寿司は8月21日から、「ちいかわ」とのコラボキャンペーンを実施しました。その内容は、オリジナルの景品が先着でもらえるなどといったものでした。

 しかし、9月5日、キャンペーンは突如中止となります。理由は、従業員による横領です。景品をめぐってはフリマサイトへの出品が相次ぎ、SNS上でも従業員の関与を疑う投稿が広がっていました。

 くら寿司は「被害届の提出も検討しながら相談しているところ」とし、「今回のキャンペーンについては、復活する予定はない」と明言しました。

フリマサイトに「13,000円」の湯呑みセット

フリマサイトに出品された湯呑みセット

 フリマサイトを見てみると・・・中でも高値が付いていたのは、「湯呑みコンプリートセット」。

 フリマサイト「メルカリ」上では1万3,000円という価格で出品され、すでにSOLD(売り切れ)となっていました。

 本来、子どもたちが喜び、親子で楽しむはずの場所で起きた横領という最悪の事態。

 ABCテレビでは今回、関東地方の店舗で働く現役従業員への取材を行いました。

 取材に応じた関東地方の従業員は、キャンペーン期間中の来客数について「想像を遥かに超える客が来店した」「(1日あたりの来店者は)780〜800人くらいだったと思う」と振り返りました。そのうえで「うんざりするほど人がやって来るので、(コラボ中止は)朗報です」と語りました。

 それだけの集客力を誇ったちいかわとのコラボ。しかしその陰で、景品の管理体制に問題が潜んでいました。

企業の説明と食い違う"保管の実態"

くら寿司は「厳重に管理」と説明するが…

 くら寿司は「鍵付きの倉庫で保管する」など、景品を厳重に管理していたと説明しています。さらに、「ビッくらポン!」の機械に補充できるのは「ある程度高いランク」の人に限るというルールもあったということです。今回、取材に応じてくれた従業員が働く店舗でも横領は確認されていません。

 しかし従業員は、「湯呑みに関しては、大多数が鍵が付いていないところで保管されていたんじゃないかなと思います」と証言しました。「事務所の中に段ボールが山積みにされていて、実際に取れる状態だったかは分からないが、取ろうと思えば取れたんじゃないかと思う」とも話しており、「厳重に管理していた」とするくら寿司側の説明との矛盾は明らかです。

 社員が少なくアルバイトが多い業態のなかで、「どこまで限られた人が担当していたのか」という疑問も残ります。

専門家「仕組みと人の教育を続けていくしかない」

近畿大学の芳澤輝泰准教授

 企業で起こる問題に詳しい近畿大学の芳澤輝泰准教授は、今回の問題について「設置した管理体制というのは、機能していなかったという結論になる」と指摘しました。

 どうすれば従業員の不正を防止できるのかという問いに対し、芳澤准教授は「(不正防止の)仕組みをいくら作っても人は情緒的で、ときに良からぬことを考えてしまう」と指摘。そのうえで、「だからといって全く何もしないというのは問題で、仕組みと人の教育は続けていくしかない」と強調しました。さらに「(対策を)最終的にやり遂げたら、不正が完全になくなるのかに関しては、それを願ってはいるが、おそらくそういうことにはならないだろう」と率直に語りました。

なぜ"限定"は人を引きつけるのか

「限定」という言葉が持つ強い引力

 今回の問題の根底には、「限定」という言葉が持つ強い引力があります。電通の立木学之主任研究員によると、消費者サイドには次のような心理が働いていることが分かりました。

・ 手に入りにくい希少性への欲求
・ 「今しか買うことができない」「人とは違うものを持っている」という特別感

一方、企業サイドにとって限定品がもたらす価値も明確です。

・ 話題になることで知名度が上がる
・ 新たなターゲットを狙い、顧客接点の拡大など

 限定の種類としては、「期間・季節限定」「地域限定」「特別仕様(コラボ商品など)」「数量限定」などが挙げられます。今回のケースは、キャラクターとのコラボによる"特別仕様"にあたり、その訴求力がキャンペーンへの過剰な殺到を生んだとも言えます。

限定品がはらむリスクを企業は直視すべき

限定品をめぐってこれまでも問題が繰り返されてきた

 限定品をめぐっては、消費者・企業双方にとって明るい側面がある一方、深刻な問題も生じています。開店前からの大行列による安全上のリスク、グッズ欲しさに食品等を大量購入して廃棄するという行為が、これまでにも繰り返し問題となっています。

 ABCテレビの木原善隆コメンテーターは「限定品そのものが悪いわけじゃなくて、それによって起こりうる結果をよく予想してから、制度を組み立てるべきだ」と指摘しました。

 限定に惹かれる消費者心理は理解できます。しかし、限定品を出す側の企業もまた、転売リスクや従業員への負担、安全管理まで想像力を働かせた設計が求められます。振り回されるのは消費者であり、傷つくのは子どもたちの楽しみであることを、今回の問題は改めて示しました。

(『newsおかえり』9月8日放送分より)

最終更新:09/09 07:00

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