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9月も暑い! 中でも暑さ対策が必須の工事現場の“秘訣”とは!? 熱中症対策ルームや暑さ指数を計測する機器などを導入 作業員の命を守る“セーフティネット”を取材

09/10 11:30 配信

屋外で働く30代男性と20代女性 「ファン付きウェア」を着用し暑さを軽減

 9月になっても暑さが残る2026年。

 この夏、屋外で街のインフラを整備する建設現場にとって、日々の暑さは働く人の命に関わる問題となりました。

 夏場も炎天下で作業を続ける現場では、どのように暑さと向き合っているのでしょうか。

 巨大インフラの建設を担う大阪市内の工事作業所を訪ね、現場での最先端の熱中症対策を取材しました。

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さまざまな年代の作業員が働く 「淀川左岸線」トンネル工事の現場

暑さ対策でパラソルの下に座る交通誘導員の姿も(提供:大成JV)

 取材したのは大阪市建設局からの発注を受け、大成建設を中心とする共同企業体が進めている「淀川左岸線」のトンネル工事の現場(1.8キロ工区)です。

 2025年の大阪・関西万博に合わせ一部区間が使用されましたが、現在は2032年の此花区から北区までの全面開通に向け、新御堂筋までの4.4キロを整備する最盛期。

 掘削や地盤改良といった炎天下でのハードな作業が続いています。

  10代から70代まで、複数の会社に所属する約200人の作業員が従事しているこの現場は、都市部の工事のため「近隣住民への配慮から早朝や夜間の工事が難しい」という制約が・・・。

 そのため、日中の作業員を“暑さから守る”安全対策の徹底が不可欠となっています。

作業の合間に避難できる「熱中症対策ルーム」

屋根やすだれで囲まれた熱中症対策ルームの足下には人工芝が敷かれている(提供:大成JV)

 取材した8月下旬も、記者が重機やトラックの並ぶ屋外の現場を訪れると、息が詰まるような湿気と照り返しで、気温以上の暑さを感じる状態でした。

 過酷な炎天下で働く作業員を守るため、要所要所に複数の休憩所が整備されていました。

 屋根とすだれで囲まれた休憩所は「熱中症対策ルーム」と呼ばれていて、大型ファンやスポットクーラーが稼働し、経口補水液や塩タブレットを常備しているほか、大型冷凍庫の中にはシャーベットが用意されています。

 また、作業時に履いている長靴を脱いで体温を下げられるよう、足下には人工芝が敷かれる工夫も。

 安全管理の担当者は「作業前に塩タブレットを摂取することを促す『一粒運動』も行っています」と話していました。

 休憩所になかなか行くことができない交通誘導員に対しては、パラソルの下で椅子に座ったまま対応する形式を導入し、「熱中症対策の為 着座にて失礼します」という看板を掲示して、通行人やドライバーへ理解を呼びかけています。

全員で「WBGT値(暑さ指数)」を共有 交代で1時間に10分以上休めるような体制づくりも

朝礼ではWBGT値の予測を踏まえ、作業員全員で対策を共有する(提供:大成JV)

 朝7時40分の朝礼では、広場のデジタルサイネージにその日の「WBGT値=暑さ指数」の予測が掲示され、作業員全員でその日のリスクと対策を共有しています。

 WBGT値は気温だけでなく、湿度や日差しなど周辺の熱環境を取り入れた指標です。この現場では、数値に応じた厳格なルールが運用されています。

▶WBGT28以上:厳重警戒として、1時間に10~15分の休憩と30分に1回の給水を義務付け。
▶WBGT31以上:全作業を強制的に一時中断。体調不良者がいないか確認したうえで、所長の許可を得てから再開する。

屋外で地盤改良などを担当する30代の男性
「僕が働き始めた数年前はWBGT計もなく、休憩のタイミングも決まっていませんでした。小規模な現場だと、『みんながしんどくなってきたら休む』というような感覚的な運用の場所もありました」

 この男性によりますと、以前は「仕事を進めなければ」という一心で無理をする人も多かったそうで、「僕自身もこの業界に入ってからずっと外での仕事を続けてきたので、体が暑さに慣れているところはあります。でも今はルールが徹底され、継続して機械を回し続ける作業をしていても、全員が1時間に10分以上休めるよう交代で休憩を回しています」と話していました。

体制以外でも・・・装備が進化! 「ファン付きウェア」が標準装備へ

着用が原則義務化されている「ファン付きウェア」

 作業員の装備にも、昔ながらの現場とは異なる変化が見られます。

 屋外で働く作業員が着用しているのは、腰部分に小型ファンが内蔵された「ファン付きウェア」。
 服の中に風を送り込み、汗を気化させることで体温の上昇を抑えるこの仕組みは今や現場の標準装備、なくてはならないものになっています。

 この「淀川左岸線」のトンネル工事の現場では、原則として着用が義務化されており、逆に重機のオペレーターなど、空調が利いた環境で働く人については許可制で脱ぐことができるルールになっています。

屋外で地盤改良などを担当する20代女性
「ファン付きウェアがあると全然違いますね。充電が切れた瞬間、暑さが襲ってきて地獄を見ます」

 バッテリーは予備も含めて準備されており、充電が切れてもすぐに交換できる体制が整えられているそうです。20代女性は「ウェアのほかにはサングラスや市販されているフェイスカバーを身につけたり、首筋に冷却スプレーをかけたりして暑さをしのいでいます」といいます。

地盤改良などを担当する20代女性
「炎天下の作業でもパラソルの日陰に入るなど、できるだけ日光に当たらないよう気をつけています。現場仕事も2年目になり、積極的に体を休めようという意識が出てきたと感じています。よく寝ること、朝食を抜かないことを心がけています」

最新のシステムを導入 それだけに頼らない「人の目」も加えた安全網

 この現場を管理している事務所は、年々厳しくなる暑さを念頭に作業員の熱中症対策を講じていましたが、昨年の労働安全衛生規則の改正を受け、よりルールを厳密に徹底しています。

 今年については、暑さ対策の取り組みは早くもゴールデンウィーク明けから始まったということです。

 現場の安全管理担当者は複数の会社が入り交じる現場だからこそ、共同企業体として一元化した厳しい安全基準を設けていると話していました。

 その一環で、1社につき1人の「熱中症対策推進者」を選定する取り組みも始めました。場所ごとのWBGT値の変化を自動で検知するシステムを導入し、推進者が携帯型のWBGT計を持ち歩きながら、リアルタイムで数値を確認しています。

 また同じ敷地内でも日当たりや風通しによってWBGT値が変わるため、場所ごとに数値の変化を自動で検知するシステムも採用して、人の手でこまめにチェックすることを大切にしているということです。

 取材に応じた地盤改良を担当する30代男性も、熱中症対策推進者を務めています。

地盤改良を担当する30代男性
「数値に応じて休憩の声かけをしていますが、作業員が多い現場では体調不良の人がいないか広く目を配るのが難しいこともあります。ルールが整ったことで全体のリスクが下げられていると感じます。作業員の間でも安全に対する意識が高まっています」

 最新の装備や設備、厳格な数値管理、そして現場で互いを気遣う「人の目」。

 街の未来を作る工事現場では、プロの目線による「暑さから命を守る」システムと意識のアップデートが、今日も着実に続けられています。

(朝日放送テレビ 大橋彩華)

最終更新:09/10 11:30

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