関西ニュースKANSAI

【独自】「いってきます」から半年…沖縄・辺野古沖転覆事故 女子生徒の遺族が語るいま【岩本計介ニュースの現場から】

09/14 22:14 配信

 「いってきます」と言って家を出た娘が、「ただいま」と帰ってくることはありませんでした。

 今年3月、沖縄・辺野古沖で起こった転覆事故から、まもなく半年が経ちます。

 事故で犠牲となった女子生徒の遺族に岩本計介アナウンサーが話を聞きました。

 両親の口から語られたのは、我が子に対する愛、そして学校に対する不信感でした。

【動画】「いってきます」から半年…沖縄・辺野古沖転覆事故 女子生徒の遺族が語るいま

楽しい修学旅行のはずが・・・ 沖縄・辺野古沖転覆事故 遺族の“半年”

武石知華さんの両親

知華さんの父親
「本当にいろんなところでたくさん写真を撮って」

知華さんの母親
「これはハーバードで、これはバリで。これはすっぴんで、私と知華が。いつもこう横にいて、うれしそうにずっといたんで、ママの横が大好きだったんで。大きくなってからも、ずっとこんな感じだった」

岩本計介アナ
「素敵なお名前だなと。子どもに名前をつけるのに、すごくいろんなことを考えた経験が私にもあるんですけど、どんな思いでお名前を決めたんですか」

知華さんの母親
「“知性のある華やかな女性になってほしい”と思ってつけたんですけど、名前どおりに育ってくれて、よく勉強していました」

武石知華さん(17)

 武石知華さん、同志社国際高校に通う2年生。
 学校のプログラムでハーバード大学に留学するなど勉強熱心で、宇宙や天文学の分野に大きな関心を持っていたといいます。

 今年3月14日、知華さんは高校の研修旅行に出かけるため、家を出ました。その2日後のことでした。

 3月16日、沖縄・辺野古沖で2隻の小型船が転覆。平和学習のため船に乗っていた生徒と、船長の金井創さんが亡くなったほか、14人が重軽傷を負う惨事となりました。

 亡くなった生徒、それが知華さんでした。

知華さんの父は「遊覧船だと思っていた」

知華さんの母親
「救急車で運ばれたよって言われた時も、サンゴに頭をぶつけて脳とか腕を傷つけちゃったとか、手足に何かあったのかなって。まさか心肺停止なんて思わなくて『え?なんで?』って。『転覆するほどの深いところ行ってないでしょ?』って」

 転覆した小型船は、米軍・普天間基地の移設に伴う新基地建設に反対する“抗議船”としても使われていた船でした。生徒たちはその船に乗ることを知らされないまま、防波堤の上を歩かされ、乗船していました。

知華さんの父親
「海上での抗議活動というのは、あまり自分の中でイメージはなかった。完全に遊覧船だと思っていました」

事故直前に生徒らが撮影した映像

 これは事故直前、生徒らが撮影した映像。波に揺られる船に、教師の姿は見えません。

 体調不良などを理由に引率教師は乗船せず。当日、波浪注意報が出ていましたが、教師らはそのことを把握していませんでした。

「知華さんはコース変更を希望」第三者委の報告書で両親が初めて知った事実

第三者委は学校側の安全配慮義務違反を認定

 学校法人は3月、事故原因を究明するための第三者委員会の設置を決定。7月に公表された調査報告書で、第三者委員会は学校側の安全配慮義務違反を認定し、生徒の安全確保に対する「想像力の欠如」があったと指摘しました。

 この報告書で、知華さんの両親が初めて知った事実があったといいます。それは、知華さんが研修旅行の前に、船に乗るコースの変更を願い出ていたということでした。

知華さんの母親
「知華も3月16日に亡くなってから、心のどこかで自分で選んで行ったコースだったから、しかたないって思わなければいけないのかなって、私はちょっと心の中で思ってたんですけど、そうじゃなかった」

 知華さんはコース変更の希望者を対象にした抽選で外れ、そのまま乗船していたのです。

知華さんの母親
「なんで知ちゃん変更しなかったのかなって、ずっと思っていた。(コース変更できることを)知っていたのかな、読んでいなかったのかなって。でも、きちんと変更を出していて、その変更希望が通らなくて命を落とした。その事実は、事故後すぐに(私たちに)伝えても何の罪にも影響しないことですよね。7月31日まで調査委員会の報告を待つまで、私たちに誰からも伝えられない状況って何なんだろう。遺族になってしまった親の気持ちは、何も酌んでもらえてないんだなと」

岩本アナ
「この6カ月間の学校側の対応の受け止めは、どうですか」 

知華さんの父親
「一貫して不誠実で、私から見ると保身と思われる行動が続いている。事故直後、けがをした生徒、救急搬送されている知華の保護者にすぐに連絡がなかった。捜査中、調査中、これを理由に『表向きに今話せることはない』。そういう説明を生徒の前でもしていた」

8月、知華さんの初盆法要が営まれる

知華さんの初盆法要(8月)

 8月、初めて迎えることとなった、お盆です。沖縄・辺野古沖の小型船転覆事故で亡くなった武石知華さん。初めてのお盆で法要が営まれました。

知華さんの姉
「目がパンパン。夜遅くまで知華が好きなゲームをしていて、私とお父さんで。お別れだ。形は違えど、いつまでもちょっと慣れないよね。バイバイって言うのは」

知華さんの母親
「さみしいですね。久しぶりに4人分の朝食を並べて、ダイニングでご飯食べてね、夕食もね。でも減らないんですよ、知華の席だけ。さみしいです」

「逃げるために待たされたのか」——2回目の保護者説明会でも“裏切られた思い”

先月30日に2回目の保護者説明会が開かれました

 先月30日、事故後2回目となる保護者説明会が開かれました。出席した両親はここでも裏切られた思いを強めました。

知華さんの父親
「一番残念だったのは冒頭、西田校長が簡単な説明とともに退出してしまった。まだ2日間、校長の職にあるはずだったわけです。8月末で解任だったので、まだその時点では校長は西田先生だった。その一番責任ある立場で、今まで表向きにも説明をしてきた人が、最後自分の言葉で説明することから逃げ、会場からも去っていった。これに関しては本当に失望というか残念というか、なんでそういう行動するんだろうって、とても理解できない」

知華さんの母親
「何のために私たち5カ月6カ月、学校の回答を待ち続けたのかなって。逃げるために待たされたのかって思いましたね」

岩本アナ「知華さんが2人を見ているとしたら、なんと言ってくれると思いますか」

 約2時間、両親に話を聞いた岩本アナは、最後にこう質問しました。

岩本アナ
「この6カ月、苦しい思いをされて、学校の理不尽に振り回されて。でも毎日はやってきて、朝が来て日が暮れて時間は過ぎていくっていう中、知華さんが2人を見ているとしたら、なんと言ってくれると思いますか」

知華さんの母親
「四十九日の前の日に主人が夢をみて、後ろからいつもどおりちょこちょこって来て、腕を組んで。『もう大丈夫だよ』って言ってくれたから。7月の上旬にはじめて事故後、書類片付けてたらパラパラっと落ちたような付箋紙があって、本当にたまたま『ママ、お仕事ガンバ』『知華、もう全然大丈夫だから さみしいけど」って。偶然だとは思うんですけど。本当に優しい子だったんで、心配かけないように『大丈夫だよ』って伝えてくれると思います」

(「newsおかえり」2026年9月14日放送分より)

最終更新:09/14 22:23

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる