これまでの放送リスト
2011年6月26日放送

「定員オーバーの家」(2002年9月22日放送) その後…

写真:「匠」の顔写真

多機能の奇才 大川一廣

「お風呂が大変なことになっている」と連絡をいただいたので、駆けつけました。
まぁ、家族が多いから…大体の予測はつくんですけれど…

アフターのアフター その後、家族の生活は、どう変わったのでしょうか…

もっと大きな問題点

画像: アフターのアフター

「匠」が到着すると、ご夫婦が迎えてくれました。挨拶もそこそこに、すぐに問題のお風呂場へと向かう「匠」。それは、リフォーム時に庭に増築した、お父さんの夢だった檜に囲まれた浴室。その癒しの空間は、9年の年月と共に壁の一部は腐食し、ボロボロになっていました。特にシャワーの周辺の壁は、穴が開くほど腐食が進んでいました。

画像: アフターのアフター

その原因は、常時天井に水滴が溜まるほどの浴室内の湿気。生活サイクルが違う家族11人が24時間交互に利用する上、窓を開けて換気をすること忘れてしまい、乾く暇の無いサウナのような状態になっていました。天然木を使っているため、定期的な防水処理などのメンテナンスが必要なのですが、それも行き届かず…

画像: アフターのアフター

更にお母さんが「匠」に見てもらいたい、と案内したのがリビング。その壁には、リフォーム時には無かった大きな棚が。それは家族にも内緒で、お父さんが無理矢理増築した畳一畳分のスペース。しかも、外壁は施工も途中にむき出しのまま。更に最悪なことに、そのスペースを確保したことと引換に、1階から2階を貫いて家を支える通し柱の1本を切断してしまっていたのです!

画像: アフターのアフター

家が傾くかもしれない大きな危険を「匠」に指摘され、お母さんにも叱られたお父さんは反省しきり。
その夜開かれた家族会議では、傷んだ浴室と失われた柱の修繕を少ない予算でおこなうため、お父さんが自分の安易な判断で招いた問題であることを謝った上で、作業の協力を家族に求めました。家そのものの危機ということで、なんとか理解を得て、いよいよリフォーム開始です!

家を支えるために

画像: アフターのアフター

お父さんが後から入れた、ほとんど補強の意味をなしていない飾りの梁に切りこみを入れ、新しい柱となる太い角材をかませます。そして、壁を剥ぎとり切断された通し柱の残った部分をチェックすると…柱は梁に固定されることもなく、なんと筋交いまで無残に切断されていることが発覚。早速、切られた柱の上部の補強にかかります。

画像: アフターのアフター

金物とボルトで通し柱と梁をしっかりと密着し、さらに以前の倍以上の太さはある角材を、新たな筋交いとしてはめ込みます。叩いたくらいではビクともしないガッチリとした柱と筋交い。出来上がった三角形の隙間を何かに利用できないかと懲りずに考えるお父さんでしたが、残念ながらこのスペースは柱と筋交いを挟みこむ形で構造用合板を貼りこんで塞がざるをえませんでした。

浴室に輝きを

画像: アフターのアフター

大問題を無事解決したところで、ようやく風呂場の修繕に。湿気が溜まりきっている浴室を、温風機を使って2時間かけて乾燥。そして子ども達に協力してもらい、乾いた檜の表面を一気にヤスリがけして、腐って黒ずんだ部分を取り除いていきます。こうすることで使える素材は活かしてコストを抑えます。

画像: アフターのアフター

腐食が進んだシャワー周りの壁は、さすがに切り取ることになったのですが、そこから現れたのは、辛うじて原型をとどめているだけの腐った土台でした。このままでは危険と判断した「匠」は、大工さんの手を借り、完全に腐食した所を取り除いて、防腐処理された新たな角材と交換しました。

画像: アフターのアフター

家の外では「匠」がなんともいびつな形にベニヤ板を切りだしていました。それは、腐食した箇所とそうでない箇所が混在した面を丸々捨ててしまうのは勿体無いので、その面に板を貼りつけて、防水処理をして補強するという「匠」のアイデアに使用するものでした。いびつな形にしたのは、左官の経験があるお父さんに防水セメントを塗ってもらう際に、素人仕事でも粗が目立たないようにするためだったのです。

画像: アフターのアフター

更に「匠」は、浴室リフォームにもう一工夫。24時間フル回転で、乾く暇もなかった浴室の一部をメンテナンスしやすいパネルにしたのです。そのパネルには鮮やかな紅葉の絵が描かれていました。実はこの絵、お父さんが描いたもの。「匠」は毎年届く年賀状で、お父さんが絵が上手なことを知っていたので、色紙に描いてもらい、それを拡大してパネルにプリントしたのでした。

朽ちた庭を

画像: アフターのアフター

問題も全て解決!と思っていた家族に「匠」から声がかかりました。それは9年前のリフォームで、家族皆で作り上げたリビングから庭へと続くウッドデッキ。その腐食部分の修繕をおこなうというものでした。全く手入れしていなかったため、日陰部分は土台まで腐食が進んでいましたが、家族総出で腐食部分を解体し、撤去できました。

画像: アフターのアフター

デッキの解体で出た廃材を「匠」たちが運び込んだのは、廃棄物処理場。コスト削減の為、自分たちの手で廃材の移送をおこなったのです。廃材を下ろして空いた荷台には、コンクリートやアスファルトなどの廃材から再生した砕石を安い値段で購入し、積みこんで持ち帰りました。

画像: アフターのアフター

持ち帰った砕石を、水はけが悪い赤土の庭に敷き詰めることで、その問題点を解決。上を歩くと音が鳴るため、防犯効果も。ただ一角だけ砕石が敷かれていない場所が。そこにはお父さんと子どもでブロックとレンガを積み上げて、子ども達の夢だったバーベキュー用の炉を作り上げたのでした。こうして、傷んでいないものは残し、ウッドデッキには防腐剤入りの塗料が塗られて、使われなくなっていた庭が再び甦りました。

画像: アフターのアフター

庭に続く通路に突き出るようにあった、あのお父さんが増築したスペース。内側からは塞がれてしまいましたが、外側に扉が付けられ、手付かずだった外壁もお父さん自身の手でセメント仕上げをおこない、無事、収納倉庫として再利用されました。

画像: アフターのアフター

問題点が全て解決し、再び笑顔が溢れる大家族に、「匠」からプレゼントが渡されました。それは子ども達がまだ幼かった頃の家族の集合写真。「匠」は写真に映った一人ひとりの笑顔全てを素敵に思い、パネルにして、お父さんがリビングにあけたあの穴を塞いだ壁に飾ったのでした。

このサイトの最初のページに戻ります