これまでの放送リスト
2011年7月10日放送

重さに耐えきれない家

この物件が抱える問題

  • ■建築当時9坪だった家に美容室の店舗などの増改築を繰り返し、今では23坪に。しかし、増した重さと、家を支える擁壁の上にまで増築していたことにより、コンクリートの擁壁が大きくひび割れている
  • ■擁壁のひび割れの中でも、特に真横に走った深い亀裂は、幅13mにもおよび、そのひびが内側から押されて、今にも張り裂けそうな状態
  • ■立っていても気持ちが悪くなるくらいに家が傾き、部屋の畳は波うち、家中の建具の立て付けも悪くなっており、冬は隙間風が酷い
  • ■店舗部分から居住スペースへの入り口をはじめ、家中至る所に段差がある為、入院中のおじいちゃんを自宅で介護したいが難しい
  • ■5畳ほどの窮屈な台所をはじめ、人が通るのもやっとなほど狭い場所が多く、おじいちゃんを連れ帰っても車椅子で移動できない
  • ■お店のお湯を沸かすためのボイラーは週に数回給油が必要で、その灯油を家の西側の倉庫から東側のボイラー室まで運んでいる
  • ■給油をするボイラー室の入り口には地面から高さ45cmの段差があり、高齢のおばあちゃんにとって危険過ぎる
  • ■部屋の不自然な位置に、増築の際に設置された鉄骨の柱があり、たんすの開け閉めの邪魔になっている
  • 写真:サムネイル
  • 写真:サムネイル
  • 写真:サムネイル
  • 写真:サムネイル
  • 写真:サムネイル
  • 写真:サムネイル

この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

内と外の媒酌人 清水康弘

一番気になったのは、やはり擁壁の亀裂。計画不十分な増築で家の荷重が増え、擁壁に無理がきて、家が傾いているので、その辺りを直していきたい。
また、入院中のおじいちゃんが退院して一緒に暮らすということなので、介護する側もされる側も暮らしやすい家にしたい。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

理髪店、新装開店
モダンな外観に生まれ変わった店舗の入口横には、お母さんのお気に入りの布を使って一新した看板が目を惹きます。

店舗の入り口を飾る正面の棚は、自由にレイアウトの変更が可能。その下は、仕事の道具が仕舞える収納になっています。

入り口を入って右手には、おばあちゃんの理髪店のスペースが。以前、おばあちゃんが一人で仕事をするには少し広すぎた仕事場は、コンパクトにまとめられました。レトロな風情を生かして以前の設備を再利用した店内は、常連のお客さんにも親しみ易い雰囲気に仕上がりました。

末永く頑張ってもらうため、仕事を助けるアイデアも「匠」は用意しました。床を四角く切った蓋を開ければ、切った髪の毛をそのまま掃いて入れられるダストボックスになっています。

お店の壁に設けられた小窓の奥にあるのは、住居スペースの台所。スライドの天板を引き出して、お茶などを出すことができ、お客さんへのおもてなしや、仕事の合間におばあちゃんが一息つきたい時などに便利です。
画像: 匠のアイデア
まるでバリのお店のように
入り口を挟んで、おばあちゃんの理髪店の反対側には、お母さんが営むエステサロン専用のスペースが作られました。

「匠」オリジナルのパーテーションで仕切られたエステルームは、お母さん好みのバリ風にまとめられています。

理容室の空間を仕切るこの4枚のパーテーションは、女性のお客さんへの配慮でエステルームが見えないようにする目隠しの役目だけでなく、お母さんが集めていた綺麗な布が貼られたパネルを自由自在に配置できる台座の役割も持っています。

窓の外の坪庭。
ベッドに体を横たえたお客さんの視線が、ちょうどその坪庭の景色に向かうように配置されています。

このエステルームのスペースは、ベッドとパーテーションを畳むことで、店舗入り口から続く広々とした空間となるので、エステの勉強会などに活用してもらうこともできるのです。
画像: 匠のアイデア
おじいちゃんが暮らしやすい家に
今回のリフォームでは、退院して一緒に暮らすおじいちゃんの事も考慮されています。

新しく作られた住居専用の玄関は、車いすでも入れる広々とした三和土(たたき)。庭が覗ける地窓や、宙に浮かんだような洒落たデザインの靴箱など、細部にわたって「匠」の豊かな感性が生かされています。

車椅子のまま屋内に入る場合は、玄関傍からつながるウッドデッキを通ることで、おじいちゃんの寝室に直接向かうことができます。

おじいちゃんの寝室は、黒松の庭が一望できる、この家で一番の特等席。介護に便利な小さな洗面台や収納なども設置されているこの部屋は、大きな扉のおかげでリビングダイニングへの出入りも楽にできます。

カウンター下に収納されているテーブルは、ベッドで寝たまま食事がとれる食卓としての用途をはじめ、ウッドデッキに出してイーゼル代わりに天板を立てれば、おじいちゃんの趣味とリハビリを兼ねた絵画のための作業机にも。
画像: 匠のアイデア
壁を取り払い生まれた余裕のある空間
家に帰りたがっていたおじいちゃんを温かく迎え、家族想いの孫も加わって、みんなで食卓を囲むという夢が叶うダイニングスペース。
中央に置かれたダイニングテーブルは、普段は4人がけの広さで。折りたたみ式の天板を上げれば、一続きの長テーブルに早変わり。来客や親戚が集る時は大活躍です。

そのテーブルの中央には、かつて箪笥の前にあり、構造上どうしても抜けなかったあの鉄骨が。ここにも「匠」がちょっとした楽しいアイデアを仕掛けていました。鉄骨の溝を利用した調味料入れになっているのです!

地元名産の庵治石を配した存在感たっぷりのシステムキッチンは、高齢のおばあちゃんたちの安全を考えてIH式コンロを採用。その後ろに備え付けた食器棚は「匠」オリジナル。窓からの明るい光が入る調理スペースを確保しながらも、家族全員分の食器が十分しまえる収納力です。

キッチンのすぐ近くには、車いすで出入りできるバリアフリーの広々とした水回りが作られました。浴室も介護しやすいゆとりの広さです。

おじいちゃんの寝室の壁一枚隔てた隣には、おばあちゃんの寝室が。壁際には仏壇を置くスペースやたっぷりの収納が完備されています。

2階の吹抜けは、その空間によって広さを感じさせ、大きな窓からは家中に光が届きます。この窓には、西日を遮る電動ブラインドがついています。

吹き抜け部分の北側にはお母さんの趣味のスペース。仕事と介護の合間の気分転換に、趣味の裁縫ができるとっておきの場所です。その後ろには、裁縫道具をしまうのに便利なたくさんの収納が確保されています。
画像: 匠のアイデア
おばあちゃんの菜園
おじいちゃんの部屋から臨む黒松の庭の傍らには、おばあちゃんのための小さな菜園が用意されました。以前はコンクリートの上に盛った土に植えていたため、育ちが悪かった野菜も、これで立派に生長することでしょう。

畑の横には、庵治石の廃材を利用した雨水タンクが。雨樋から落ちてきた雨水が合わせて120リットルほど溜まるので、水不足の時期でも安心して使えます。水やりに便利なポンプもついて、野菜づくりにますます精が出そうです。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
香川県高松市 建築工房ライズ株式会社
このサイトの最初のページに戻ります