診察室
診察日:2009年8月25日
もう動脈硬化は怖くない!血管を若返らせる名医SP
テーマ:
『血管を若返らせる名医SP〜絶望の淵から患者を救う神の手〜』
『動脈硬化を治す!血管を若返らせるスーパーテクニック』

『血管を若返らせる名医SP〜絶望の淵から患者を救う神の手〜』

O・Kさん(女性)/68歳 --
38歳で糖尿病を患い、その後も不摂生な生活が続いた結果、脳の血管の動脈硬化から63歳の時に脳梗塞を起こしたO・Kさん。2年後には腎臓の動脈硬化が原因で腎不全になり、人工透析を余儀なくさます。さらにその2年後には、足が夜も寝られないほど強く痛むようになり、ついには指先が黒ずみ、甲全体が赤紫になりました。病名は「閉塞性動脈硬化症」。医師から、足の壊死を食い止めるためには足首もしくは膝下から切断するしかない、と宣告されてしまいます。そんな絶望の淵に立たされたO・Kさんを救ったのは、血管を若返らせる名医、千葉西総合病院の三角和雄医師。彼が得意とするのは「カテーテル治療」、不可能を可能にするその神業とは?
(1)右足が引っ張られる
(2)ろれつが回らない
(3)足が強く痛む
(4)指先が黒ずみ、甲が赤紫に
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
<O・Kさんが受けたカテーテル治療とは?>
 「カテーテル治療」とは、ガイドワイヤーと呼ばれるピアノ線のような細い管を、動脈硬化を起こした血管まで伸ばして行う治療法。今回は、そのワイヤーを伝わせてバルーンという治療器具を送り込み、狭くなった血管を広げます。
 しかし、O・Kさんの治療には、大きな困難が予想されました。特に彼女の膝下の血管の動脈硬化は、2つの問題をはらんでいたのです。一つは、足の血管は上半身に比べ、迷路のように入り組んでいること。目指す場所まで、カテーテルを正確に到達させることは離れ業なのです。そして二つ目は、その患部の状態。彼女の膝下の動脈は、直径2ミリの血管の80%が狭窄していたため、ほんの少しでもワイヤー操作を誤れば、血管壁を傷つけてしまう危険があったのです。
 通常なら彼女のケースは、カテーテル治療は不可能と考えるのが常識。しかし三角先生には、その常識を打ち破る、世界から「神技」と絶賛されたワイヤー操作術がありました。指先の感覚でワイヤーを操作する高度な技術があるからこそ、他の医師が治療を諦める動脈硬化でも、先生は治すことができるのです。
 さらに先生は、O・Kさんの心臓にも重大な問題が潜んでいることを見つけました。なんと、冠動脈の血管も80%が狭窄。いつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない状態でした。実はこれこそが、動脈硬化の怖いところ。全身、同時進行でおきるため、自覚症状がない場所も危機的な状態になっていることが多いのです。
 カテーテル治療の日。2万5000件を超える治療経験を誇る三角先生は、世界屈指のレベルと言われるワイヤー操作を駆使します。治療開始から15分で、ワイヤーを患部に到達させることに成功し、バルーンを送り込んで広げます。そして治療開始から40分後、足の血流は回復し、足先までしっかり血液が流れるようになりました。
 心臓の手術が行われたのは、それから数日後。心臓は足と比べ患部までの血管が太いため、ワイヤーはスムーズに到達。今度はステントと呼ばれる金網状の筒を患部に送り込み、それを開くことで血管を押し広げます。患部にステントが到達し開くと、O・Kさんの心臓は、見違えるほど血流が回復し、心筋梗塞の危険も回避されたのです。

『動脈硬化を治す!血管を若返らせるスーパーテクニック』

F・Mさん(男性)/71歳 --
動脈硬化が進み、心臓の血管がセメントのように硬くなる「石灰化」という現象を起こしていたF・Mさん。こうした場合、血管が硬くステントを入れられないため、外科手術で新たに血管のバイパスを作るのが最善の方法。しかし、胸を大きく開いて行うため、体にはかなりの負担となります。三角医師は、F・Mさんの動脈硬化はカテーテルで治せると判断しました。
動脈硬化
<血管を若返らせる、三角医師のスーパーテクニックとは?>
 三角先生は、セメントのように硬くなってしまったF・Mさんの血管をどう治すのか?実はとっておきの秘密兵器があるのです。それこそが、「ロータブレーター」と呼ばれる「ダイヤモンドドリル」。ドリルの直径は、マッチ棒より細い1.5ミリ。先端にはダイヤモンドの粉が吹き付けられ、それが毎分20万回のスピードで高速回転、ガチガチになった動脈硬化を削りとってしまうのです。ただ、手元を誤るとドリルが血管内にはまり込み、抜けなくなるため、高い技術が求められます。三角先生は、年間治療件数およそ600件を数える、ロータブレーターの世界一の使い手なのです。
 治療が始まると、三角先生は、「キツツキタッチ」と呼ばれるスーパーテクニックを駆使し、石灰化した部分を細かく砕いていきます。そして治療開始からわずか10分、見事、粉砕に成功。F・Mさんの心臓は、見違えるほど血流が回復するようになりました。
 しかし、三角先生のこだわりは、手術だけではありません。千葉西総合病院の院長である三角先生の一日は、朝の職員への訓示から始まります。この時、必ず口にする言葉が「どんなことがあっても救急患者は断らない」ということ。医療は患者さんのためのもの、自分たちの都合は一切認めない。それが三角先生のポリシーなのです。 午前9時、朝礼が終わると、すぐに手術着で外来を始める三角先生。これは、いつでも緊急手術ができるようにするため。さらに何より大切にしているのが、外来のシステム。予約は一切不要。たとえ100人来ても、その日のうちに必ず、全員、診察すると決めているのです。初めて病院を訪れた方が、その日に心臓に手術を受けることも。異常があればその場で対応する。それが三角先生の哲学です。
 さらに千葉西総合病院には、迅速な対応を可能にする秘密兵器があります。それがアジアで初めて導入されたという「256列マルチスライスCT」。通常のCTなら検査後の解析に30分ほどかかるのですが、これならわずか10分。しかも、今まで映すことのできなかった細い血管の状態も見逃さず、極めて精度の高い情報を得られるのです。
 午後6時20分、外来を終えた三角先生は、いよいよカテーテル治療を開始。2つのカテーテル室を同時に稼働させ、行ったり来たり、片時も休む暇はありません。そして翌日の午前2時半すぎ、ようやくこの日予定していた10人の治療が終わりました。三角先生の命と向き合う待ったなしの時間は、今日も続いています。