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小野雅世さん 京都市中京区

2022115日(土) 午前11時

京の宿 綿善旅館の女将

小野雅世さん 京都市中京区

京都の台所、錦市場。そのほど近くに創業天保元年(1830年)、190年の歴史を誇る老舗旅館があります。四季を通じ多くの観光客や、修学旅行生に人気の宿「綿善」です。
そこで女将を務める小野雅代さんは、綿善旅館七代目として生まれました。
大学卒業後、銀行に就職し結婚を機に退職。その後、最初はアルバイトとして旅館で働き始めました。その時に旅館の改革が必要だと感じ、日本一の旅館を目指そうと思った雅世さんは7年前、若女将に就任し、改革に取り組み始めました。
客室係がチェックアウト状況を確認するため、フロントと客室を何往復もしていたのを、モバイル端末を配布し、情報をすぐに共有できるように改革するなど、昔からの慣習で行ってきたムダな作業を省き、仕事の効率化をはかりました。他にも年間休日を増やすなど、従業員の待遇面でも改革を行ってきました。

しかし一昨年、コロナ禍により京都を訪れる人々は激減。宿も危機的状況に直面しました。それでも雅代さんは、様々な工夫と試みでコロナ禍に立ち向かってきました。
旅館の板前さんが作るお弁当を販売。板前さんの仕事を確保し、取引先に少しでも食材を発注できるようにしました。
また、学校が休校になって困っているお母さんのため、旅館の大広間を使って子供達を預かり、自習やオンライン学習させる「旅館で寺子屋」プロジェクトを実現。自らも7歳と3歳の子供を持つ親ならではの発想でした。

「綿善」の味を全国へ届けたいと、ECサイトの立ち上げを目指し、料理長とのメニュー開発。また、旅館で働きたい人を増やすための講演活動への取り組みなど、コロナ禍を乗り越えて旅館を未来へつなぐために、奮闘する女将の姿を追いました。

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京の宿 綿善旅館
概要小野雅世さんが女将を務める、1830年創業の京都の老舗旅館。
住所京都市中京区柳馬場六角下ル井筒屋町413
電話番号075-223-0111
備考詳細はホームページまで。
https://www.watazen.com
鈴木松風堂
概要和紙を手染めして作った型染紙を使った箱や小物などの和雑貨が人気のお店。
住所京都市中京区柳馬場六角下ル井筒屋町409・410
電話番号075-231-5003
営業時間10:00~18:00
定休日水曜
備考詳細はホームページまで。
http://www.shofudo.co.jp
井半畳店(有限会社 井半)
概要綿善旅館がお世話になっている創業360年の歴史を持つ畳店。
住所京都市山科区椥辻草海道町23-70
電話番号075-581-7312
営業時間9:00~17:00
定休日日曜・祝日
備考詳細はホームページまで。
https://ihan1663-kyotatami.com

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次回の放送

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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