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松田悠さん 神戸市・東山商店街 「湊河湯」

20231216日(土) 午前11時

銭湯復活に奮闘する女性

松田悠さん 神戸市・東山商店街 「湊河湯」

神戸市兵庫区にある東山商店街。昔懐かしい「ひやしあめ」(50円)や一本120円の串カツなどを売る店があるディープでレトロな商店街です。昭和の雰囲気が色濃く残り、今や若者にも人気の街。そんな商店街の一角に、これまたレトロな銭湯が一軒。今から74年前、1949年開業の『湊河湯』です。この銭湯で奮闘する女性が松田悠さん。この銭湯を運営しています。

実は松田さん、昔からここの大ファンだったんです。前の店主が急逝したため、銭湯は休業。そのまま廃業寸前だった『湊河湯』を、廃業する銭湯を引き継ぐ事業を展開する「ゆとなみ社」のメンバーだった松田さんが新店主となり、今年8月に復活したのです。営業再開にあたり、番台を撤去してロビーを設け、バーカウンターを設置。お酒を楽しみながらおつまみも充実。地元市場の名物お惣菜が並びます。脱衣所の最新式ドライヤーも好評です。

朝9時。松田さんが『湊河湯』にやって来ます。銭湯で一番大事なことはお風呂の掃除。古いことは変えられなくても、清潔さは銭湯の命。松田さんは毎日2時間を掃除に当てています。そして、オープンするやいなや、いつもの常連さんだけでなく、新規のお客さんも次々と来店。松田さんは皆さんと気さくに会話して、お風呂上りも盛り上がります。さて、松田さんおススメの『湊河湯』の楽しみ方とは?そして閉店後の日課は、最後に一人で湯船に浸かることでした。

大阪の泉大津市に生まれた松田さんは、大学時代にフラッと訪れた東山商店街の活気と面白さに夢中になり、そこで『湊河湯』と出会います。その時は「キレイだなー、いいなー」と思っただけでした。その後、大学を中退して、実に様々な仕事に就きます。
松田さんが『湊河湯』の店主となるまでの道のりとは?

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湊河湯
概要廃業寸前だった開業74年の銭湯「湊河湯」
銭湯を残したいと一人の女性が再生に熱い情熱を注ぐ。
住所兵庫県神戸市兵庫区東山町2丁目3-5
電話番号070-3352-2680
営業時間13:00~23:00
定休日日曜
備考大人:450円 中人:160円 小人:60円

ホームページ
https://www.instagram.com/minatogawayu/
日の出湯
概要創業1920年、国の有形文化財にも登録されている日の出湯。
住所京都府舞鶴市字西吉原297-2
電話番号0773-75-0366
営業時間16:30~20:00
定休日要確認
備考大人:490円 6~12歳:150円 ~5歳:60円

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浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

2025524日(土) 午前11時

最後の京瓦職人

浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

京都市伏見区。この地で110年以上、瓦を作り続けている『浅田製瓦工場』。現在、京都でただ一人、「京瓦」を製造しているのが、三代目の浅田晶久さん。「京瓦」の神髄は「磨き」と呼ばれる技法。金属のヘラで丁寧に磨き上げ、重厚な光沢と深い鈍色の風合いを持たせる伝統の技術です。浅田さんの手掛けた瓦は、歴史ある寺社や建物の屋根を飾っています。

そんな「京瓦」も、時代と共に需要が激減。かつて京都に十数軒あった瓦工場は、今やここだけ。後継者もおらず、厳しい状況が続いています。「それでも後に残していかなあかん」。伝統を次の世代へ繋げたい。喜寿を目前にしても、休むことなく「京瓦」の可能性と未来への道を追求する浅田さん。しかし今、ある大きな決断を迫られていました。

先月、開幕した大阪・関西万博。「関西パビリオン」の中の京都ゾーンの床と壁を覆う素材として使われたのが「京瓦」です。瓦製作を監修したのが、浅田さん。オファーしたのは、空間デザインを担当した彫刻家の名和晃平さんです。「京瓦のおかげで、ここは静謐な空間になりました」。

浅田さん、屋根がダメなら床や壁にと、京瓦の未来のために、新たな可能性に挑みます。「これ、アインシュタイン・タイルといって、床に敷く」。不思議な形の13角形。早速、デザイン会社から発注がありました。その枚数、1840枚。一枚一枚、想いを込めて仕上げていきます。納品するのは東京都内のオフィス。さて、どんな空間になったでしょう。

切なる思いで、京瓦を残す道と、後継者を探し続けてきた浅田さん。しかし経営は厳しく、人材の採用すらままならないのが現実です。そこで昨年12月、大きな決断に踏み切りました。それは114年の歴史を持つ『浅田製瓦工場』の経営権の譲渡。

同じ未来を見据え、経営権の譲渡にむけて共に歩んできたのは、息子の憲和さんです。憲和さんが2年以上かけて探したのが、京都指定伝統工芸品の「事業再生と企画運営」を行う会社でした。しかし新体制に向けての大切なミーティングで、親子は激突します。心の整理がつかない父親の姿勢を見て、憲和さんがぶち切れました。「何が残したいや!全部自分で潰してるやんけ!必死やねんこっちは!」

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