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マジシャン 新子景視さん

2021918日(土) 午前11時

新しいマジック

マジシャン 新子景視さん

「ブレインダイブ」というマジックをご存知でしょうか?カードの数字やサイコロの目、誕生日や何かの暗証番号、誕生日から結婚記念日、さらには初恋の人の名前まで、その人しか知らない情報を、相手の脳に潜り込んで読み取り、当ててしまう。そんな、何だか超能力のような、でもれっきとしたマジックが、「ブレインダイブ」です。このマジックを考案したのは、マジシャンの新子景視(あたらしけいし)さん。相手との会話や接触によって成立するマジックを封印し、新型コロナウイルス禍の中、これまでにないソーシャル・ディスタンスを守ったマジックに挑む、新進気鋭のマジシャンの夢のカタチとは?

1987年、和歌山県で生れた新子さんが、マジックに興味を持ったのは小学4年生の時。
母親が見せてくれたカードマジックに驚き、そこからのめり込んでいったといいます。中学、高校とマジックのおかげで人気者だった新子さんは、大阪の大学に進学。ゼミやバイト先でもマジックを披露していましたが、卒業後は普通に就職しようと考えていました。ところが、ゼミの教授から、「お前はマジシャンにならなあかんやろ」と言われて一念発起。
卒業後、アメリカに渡り、マジックの本場、ラスベガスでも腕を磨きました。

帰国後、ブレイクダンスやジャグリング、マジックといった演技を、ノンバーバル、つまり言葉を使わずに物語を演じるパフォーマンス集団『ギア』のオーディションを受け、合格。プロの道を進み始めます。そこで「ブレインダイブ」が生まれたのは、関西人の気質にあったといいます。
「たとえばカードマジック。マジシャンはカードを混ぜたり、切ったり、布で隠したり、数字を当てるまでいくつか工程を踏みます。それを見ながらお客さんは、『どこにタネがあるのだろう?』と考えます。ところが関西人はせっかちなので、触ってはいけないカードに手を出してしまったりします。それなら、考える時間を与えなければいい。数字を当てるまでの工程を全部削ぎ落すことにしました」

この「ブレインダイブ」で人気になった新子さんでしたが、コロナ禍で舞台やマジックの公演が次々と中止になってしまいました。生でマジックを披露出来なくなった新子さんは、どんな手でパフォーマンスを見せていくのか?そして昨年5月に新型コロナの影響を受け、上演中止となってしまった初挑戦の演劇舞台、この夏、無事に千穐楽の舞台に立つことはできたのでしょうか?

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ギア-GEAR-
概要光や映像と連動したマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングによる迫力のパフォーマンス。セリフを使わない “ノンバーバル”という演出により、子供から大人、そして外国の方までもが、言葉の壁を越えて楽しめるシアター。
住所京都市中京区三条御幸町角 1928ビル3階
電話番号075-254-6520
定休日不定期
備考※緊急事態宣言発令中は公演は休止となっております。
HPにてご確認ください。
https://www.gear.ac
居酒屋 たこしげ
概要関西の芸人がこぞって通う知る人ぞ知る名店。
お店の名物オーナーが作る、種類豊富な居酒屋メニューはどれも絶品。
住所大阪府大阪市中央区千日前1-4-1
電話番号06-6213-3398
営業時間18:30~3:00
定休日なし
備考新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

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浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

2025524日(土) 午前11時

最後の京瓦職人

浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

京都市伏見区。この地で110年以上、瓦を作り続けている『浅田製瓦工場』。現在、京都でただ一人、「京瓦」を製造しているのが、三代目の浅田晶久さん。「京瓦」の神髄は「磨き」と呼ばれる技法。金属のヘラで丁寧に磨き上げ、重厚な光沢と深い鈍色の風合いを持たせる伝統の技術です。浅田さんの手掛けた瓦は、歴史ある寺社や建物の屋根を飾っています。

そんな「京瓦」も、時代と共に需要が激減。かつて京都に十数軒あった瓦工場は、今やここだけ。後継者もおらず、厳しい状況が続いています。「それでも後に残していかなあかん」。伝統を次の世代へ繋げたい。喜寿を目前にしても、休むことなく「京瓦」の可能性と未来への道を追求する浅田さん。しかし今、ある大きな決断を迫られていました。

先月、開幕した大阪・関西万博。「関西パビリオン」の中の京都ゾーンの床と壁を覆う素材として使われたのが「京瓦」です。瓦製作を監修したのが、浅田さん。オファーしたのは、空間デザインを担当した彫刻家の名和晃平さんです。「京瓦のおかげで、ここは静謐な空間になりました」。

浅田さん、屋根がダメなら床や壁にと、京瓦の未来のために、新たな可能性に挑みます。「これ、アインシュタイン・タイルといって、床に敷く」。不思議な形の13角形。早速、デザイン会社から発注がありました。その枚数、1840枚。一枚一枚、想いを込めて仕上げていきます。納品するのは東京都内のオフィス。さて、どんな空間になったでしょう。

切なる思いで、京瓦を残す道と、後継者を探し続けてきた浅田さん。しかし経営は厳しく、人材の採用すらままならないのが現実です。そこで昨年12月、大きな決断に踏み切りました。それは114年の歴史を持つ『浅田製瓦工場』の経営権の譲渡。

同じ未来を見据え、経営権の譲渡にむけて共に歩んできたのは、息子の憲和さんです。憲和さんが2年以上かけて探したのが、京都指定伝統工芸品の「事業再生と企画運営」を行う会社でした。しかし新体制に向けての大切なミーティングで、親子は激突します。心の整理がつかない父親の姿勢を見て、憲和さんがぶち切れました。「何が残したいや!全部自分で潰してるやんけ!必死やねんこっちは!」

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