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奥野むつみさん 京都

2022416日(土) 午前11時

着物の世界に新風を吹き込む注目の京友禅の染色作家

奥野むつみさん 京都

京都「みやこめっせ」。この日は京都の伝統工芸が一堂に会する日。ここに、ひときわ目を引く京友禅の着物がありました。人気漫画「魔法騎士レイアース」をイメージした着物です。染めたのは奥野むつみさん。さらに東京ガールズコレクションでフワちゃんが着た着物で、一気に注目されました。2021年10月「きもの芸術展」にて「京都市長賞」を受賞。今ブレイク中の京友禅の染色作家です。

奥野さんの着物は、きらきらした輝きが特徴です。「京友禅の多くは、ぼかして淡いグラデーションを描きますが、私は水色に対して黄色や紫などを挿してメリハリをつけて光らせます。いかに着た人を輝かせられるか、それが勝負なんです」また着物だけでなく、バックや名刺入れなど、手に取りやすい小物も制作しています。これは京友禅の技法を幅広い世代に伝えたい、という想いからです。

奥野さんは福井県の越前出身。着物が好き、と自覚したのは3歳の頃。親戚の結婚式で着た着物がステキ過ぎて、脱ぎたくないと駄々をこねたそうです。高校卒業後、京都の大学の芸術学部に入りますが、ここでも着物のことばかり考えていたといいます。そして京友禅の工房が職人を募集していると聞き、門を叩いたのです。それから10年、奥野さんは基礎からみっちり学びました。

現在は75年の歴史がある「木村染匠」に所属する奥野さん。「おしゃれは乙女の戦闘服!自分を誇りに思える一着を」をモットーに、斬新で瑞々しい京友禅を生み出しています。
また、複雑な工程を経て作られる京友禅を身近に感じてもらおうと、子供用の「キモノぬり絵」を発売。そのぬり絵に合わせて、3歳児用に、実際の着物を作ろうとします。
自分が着物愛に目覚めた年齢の着物ですが、子供の着物を作った経験はなく、初めての試みです。さて、どんなものが出来上がったのでしょうか。

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木村染匠
概要新しい京友禅の作品を生み出す染色作家・奥野むつみさんが所属。
定休日土曜・日曜・祝日
備考ホームページ http://www.kimurasenshow.co.jp/
インスタグラム https://www.instagram.com/kimurasenshow/

「乙女のキモノぬり絵」のお問い合わせはホームページからお願いします。
https://kimura1946.thebase.in/

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浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

2025524日(土) 午前11時

最後の京瓦職人

浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

京都市伏見区。この地で110年以上、瓦を作り続けている『浅田製瓦工場』。現在、京都でただ一人、「京瓦」を製造しているのが、三代目の浅田晶久さん。「京瓦」の神髄は「磨き」と呼ばれる技法。金属のヘラで丁寧に磨き上げ、重厚な光沢と深い鈍色の風合いを持たせる伝統の技術です。浅田さんの手掛けた瓦は、歴史ある寺社や建物の屋根を飾っています。

そんな「京瓦」も、時代と共に需要が激減。かつて京都に十数軒あった瓦工場は、今やここだけ。後継者もおらず、厳しい状況が続いています。「それでも後に残していかなあかん」。伝統を次の世代へ繋げたい。喜寿を目前にしても、休むことなく「京瓦」の可能性と未来への道を追求する浅田さん。しかし今、ある大きな決断を迫られていました。

先月、開幕した大阪・関西万博。「関西パビリオン」の中の京都ゾーンの床と壁を覆う素材として使われたのが「京瓦」です。瓦製作を監修したのが、浅田さん。オファーしたのは、空間デザインを担当した彫刻家の名和晃平さんです。「京瓦のおかげで、ここは静謐な空間になりました」。

浅田さん、屋根がダメなら床や壁にと、京瓦の未来のために、新たな可能性に挑みます。「これ、アインシュタイン・タイルといって、床に敷く」。不思議な形の13角形。早速、デザイン会社から発注がありました。その枚数、1840枚。一枚一枚、想いを込めて仕上げていきます。納品するのは東京都内のオフィス。さて、どんな空間になったでしょう。

切なる思いで、京瓦を残す道と、後継者を探し続けてきた浅田さん。しかし経営は厳しく、人材の採用すらままならないのが現実です。そこで昨年12月、大きな決断に踏み切りました。それは114年の歴史を持つ『浅田製瓦工場』の経営権の譲渡。

同じ未来を見据え、経営権の譲渡にむけて共に歩んできたのは、息子の憲和さんです。憲和さんが2年以上かけて探したのが、京都指定伝統工芸品の「事業再生と企画運営」を行う会社でした。しかし新体制に向けての大切なミーティングで、親子は激突します。心の整理がつかない父親の姿勢を見て、憲和さんがぶち切れました。「何が残したいや!全部自分で潰してるやんけ!必死やねんこっちは!」

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