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三谷涼さん 京都府長岡京市 「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」

20221112日(土) 午前11時

型破りな作風で人気の左官職人

三谷涼さん 京都府長岡京市 「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」

「左官」とは、土や砂など自然の素材で、建物の壁や土堀を「こて」を使って塗り上げる仕事。材料の配合、「こてさばき」の技術によって、壁の表情は大きく変わります。
京都に、「モダンな壁を作る」と評判の左官職人がいます。「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」の三谷涼さん。左官歴27年のベテラン凄腕職人です。

三谷さんが手掛けた壁には、圧倒的な迫力があります。築70年の倉庫をリノベーションした壁は、砂利や石で厚みを出し、異なる色でうねりを描きました。これを「こて」だけで生み出すのです。「伝統は大切です」と三谷さんは言います。「でも伝統をなぞるだけでは、どの職人も同じものを作ってしまう。それでは左官に未来がない。僕は左官の固定観念をぶっ潰したい」。色彩だけではありません。長岡京跡の研究に一生を捧げた「中山修一旧居宅」では、曲線の美と凹凸の立体感を表した壁を製作しています。「やったことのないことをやる」三谷さん。ついた異名が『左官界の異端児』。

長岡京市で育った三谷さんは、小学校3年の時、家の向かいで壁を塗っていた左官職人を見て「めちゃくちゃカッコいい」と憧れを抱き、高校を中退して有名な左官の工房に弟子入り。厳しい修業を重ね、2018年に独立しました。

毎週日曜は、家族でテーブルを囲む三谷さん一家。妻と小6の長男、小4の長女、9月に産まれたばかりの次女。ご家族は三谷さんのことを、どう見ているのでしょう。

さらに、三谷さんが大切にしていることがあります。それは子供たちと開くワークショップ「光る泥だんごづくり」。子供たちに土に親しんでもらい、左官を身近に感じてほしいと、ピカピカに光る泥だんごの作り方を教えているのです。まん丸でカラフル、ツルツルで、とても泥だんごとは思えない出来栄えに、子供たちも大喜びです。

そして、今までやったことのない大きな仕事が舞い込みます。新築のモデルハウスで5メートルを超える巨大な壁。「京都のリゾート」をイメージして、なんと20色に塗り分けましたが、はたしてその出来栄えは。

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京都ぬりかべ屋 三谷左官店
概要自然素材にこだわった独自の表現で壁などを塗る左官。
備考ホームページ
https://mitaniryo.com/
インスタグラム
https://www.instagram.com/mitani.sakanten/
SNS
https://lit.link/Mitanisakanten
株式会社サンエー
概要不動産売買・仲介・リフォームを手掛ける会社。今回の三谷さんへ20色の壁を発注。
備考三谷さんが塗った20色の壁は2023年初頭からモデルハウスとして公開予定。

ホームページ
https://san-ei-kyoto.com/

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網野篤子さん 京都市

2025712日(土) 午前11時

ガラス細工で作るリアルな金魚

網野篤子さん 京都市

ガラス工芸の博物館で開催されていた「超絶技巧 硝子展」。ここで注目を浴びたガラス細工が…夏の風物詩、金魚。細部まで再現されたガラス細工の金魚は、まるで生きているような躍動感があります。まさに「超絶技巧」。この金魚の作品を作っているのが、ガラス作家の網野篤子さん。彼女が金魚をガラスで表現する理由、それは「金魚が大好きだから」。

京都の深泥池のほとりに、この地で生まれ育った網野さんのアトリエがあります。網野さんはバーナーワークという技法で、色ガラス棒を素材に20年以上、金魚を作っています。とにかくリアル。本物と比べてみても、その再現性に驚かされます。品種ごとに異なるシルエットや、ヒレの微細な特徴まで、見事に再現されています。では、その作品制作を見せてもらいましょう。

様々な色のガラス棒をバーナーで溶かして形にしてゆきます。溶けたガラスが垂れぬようつねに回転させ、温度を均一に保ちます。温度差ができると、ガラスが割れてしまうので、この調節がとても難しい。ガラスを継ぎ足し、先の細いピンセットでひれの膜を作り、尻びれ、尾ひれと、様々な器具を駆使して、本物に近づけてゆくのです。時には金箔や銀箔を使うことも。

網野さんは、ガラスの金魚を美しく仕上げるため、日々、研究を重ねています。やって来たのは、金魚の一大生産地・大和郡山。養殖のプロの話を聞き、様々な種類の金魚を見て、創作の源にしています。今日のお目当ては「大阪らんちゅう」。江戸時代から大阪を中心に、広く飼われた品種で、太平洋戦争の時代に絶滅の憂き目に遭いました。近年、愛好家たちが力を尽くし、見事、復活したそうです。網野さんのガラス細工で表現した「大阪らんちゅう」とは?

この日、網野さんに東京での展示会のオファーが舞い込みました。そこで新作を披露することにしたのです。挑戦するのは「ピンポンパール」という金魚。その名のとおり、まるでピンポン玉のように金魚です。網野さんはピンポンパール専門店を訪ね、じっくり見学して、創作のヒントを得ました。初めて表現する「ピンポンパール」、はたして納得のいくガラス細工に仕上がるのでしょうか。

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