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古谷浩一さん 滋賀県・信楽町 「古谷製陶所」

2023225日(土) 午前11時

工房の中にオープンキッチンを開いた異色の陶芸家

古谷浩一さん 滋賀県・信楽町 「古谷製陶所」

信楽焼で知られる、焼き物のふるさと、滋賀県の信楽。町の中心から離れた、のどかな里山にある陶芸工房が「古谷製陶所」。日常で使われるリーズナブルな食器で人気の工房です。丸みがあって飽きの来ない、やさしい色合いが特徴。職人の数はおよそ20人。20代の若手から70代のベテランまで、幅広い世代の職人たちが、伝統を重んじながらも現代にフィットする器を生み続けています。工房の一角にはショールームも設置し、一般の人も購入が可能。

窯元の3代目は、古谷浩一さん(43歳)。祖父が窯を開き、父が発展させた工房でしたが、父が病に倒れ、20代の若さで製陶所を引き継ぐことに。そして昨年、古谷さんが起こした大きな改革が、キッチンを開くことでした。陶芸工房の中に、食器を使って調理や食事ができるスペースを設けたのです。「お客さんからよく、この器はどうやって使うのですか?と質問されることが多くて、それなら器を使う体験をしてもらおうと」以来、和食、洋食、薬膳と、様々な料理人を招いて料理教室を開き、古谷さんの器に盛られた料理を皆で食べるという、珍しいスタイルの陶芸工房が誕生しました。

実際に料理が盛り付けられるのを見て、新しい発見があるそうで、「料理が美味しく見える」と評判の古谷さんの器には、そういった研究と努力がありました。また、父が焼いた高級和皿は、主に料亭などで使われる高級和皿でしたが、古谷浩一さんは父の伝統を受け継ぎつつ、「和食、洋食、イタリアンなど、様々な料理に合う器が焼きたかった。使いやすさ、軽さ、重ねやすさ、かわいさにこだわりました」

父親の代では、問屋への卸しが仕事の中心でしたが、古谷さんが工房を継いでからは「消費者に近づきたい」と、全国の陶器市やクラフトフェアなどに積極的に参加。また、料理のプロたちにも、「使いやすく、素朴で愛らしい」と評判で、次々に注文が入るように。さらに、古谷さん、器の絵付けにも挑戦しますが、その技法が大胆過ぎました。
さて、どんな器になったのでしょう。さっそく工房の料理教室で使ってみました。

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古谷製陶所
概要今回の主人公、古谷浩一さんが窯元を務める信楽焼の製陶所。急遽3代目を引き継いだ浩一さんが作る器が大ヒット。プロアマ問わず、ジャンルを問わず人気となっている。
住所滋賀県甲賀市信楽町神山2397
電話番号0748-82-1041(ショールーム)
営業時間9:00~16:00
定休日日曜
備考価格:ホームページ参照。

料理教室はフェイスブックなどで要確認。

ホームページ
http://furutani.handcrafted.jp

フェイスブック
https://www.facebook.com/furutaniseitousyo/?locale=ja_JP
釜炊近江米 銀俵
概要信楽町で人気の食事処。炊き立てのご飯にこだわる。お昼の定食のメイン料理を乗せる器はすべて古谷さんが作ったもの。
住所滋賀県甲賀市信楽町牧1396
電話番号0748-83-8016
営業時間平日11:00~16:00
土曜・日曜・祝日 11:00~19:30
定休日なし
備考近江米粉の唐揚げ定食 1,790円

ホームページ
https://gindawara.co.jp/pages/gindawara
ティー&スイーツ マシュマシュ
概要今回主人公の古谷さんが訪れた人気のカフェ。5年前のオープン時からランチやスイーツに古谷さんの器を使用している。
住所滋賀県甲賀市水口町名坂1031-20
電話番号0748-78-0322
営業時間月曜・火曜・木曜 11:00~19:00    
金曜・土曜・日曜 11:00~20:00
定休日水曜(不定休あり)
備考近江牛インサイドのステーキ 1,980円(約100グラム) 
焼き立てフレンチトースト 858円

ホームページ
https://masyumasyu.net/

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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