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村井沙邦莉さん 兵庫県姫路市 「村井製菓」

20231111日(土) 午前11時

新しい風をもたらす女性和菓子職人

村井沙邦莉さん 兵庫県姫路市 「村井製菓」

SNSに投稿された姫路城バックのスイーツの写真。それはある和菓子店が販売する「どらぺちーの」。どら焼きを使った色鮮やかな和スイーツとして話題になっています。作ったのは、老舗和菓子店の3代目となる、村井沙邦莉さんです。「見た目が可愛いければ、味が良ければ、きっと伝わると思いました」。沙邦莉さんは次々と新感覚の和菓子を考案して評判に。しかし、人気商品の裏側には、作り手の苦難が隠されていました。

姫路城のすぐ側に佇む1964年創業の和菓子店「村井製菓」。昔ながらの素朴な和菓子を販売しています。店を切り盛りするのは、2代目の村井克行さんと妻の美保子さん。
長年地元に愛されてきましたが、10年前、取引先の大手スーパーからの発注が途絶え売上が大幅にダウンしてしまったのです。当時地元の銀行に勤めていた沙邦莉さんは、店の立て直しに役立とうと銀行を退職して、村井製菓に入りました。

ところが、父親やベテラン職人と意見が対立。悔しくて泣くこともありました。休みの日に一人だけ出社して、コツコツと独学で新商品を開発。コロナ禍に作ったアマビエが新聞に取り上げられ、「可愛い」「映える」と評判に。やがて全国から注文が入るようになり、厳しかったベテラン職人から認められるようになったのです。こうして沙邦莉さんは、次々と新商品を考案。「生どら」、カラフルな「琥珀糖」、そして「どらぺちーの」とSNSを使ってヒットを飛ばし、和菓子に縁遠かった子供たちも店に来るようになりました。

ある日、沙邦莉さんは父の克行さんに同行して、卵の仕入れ先である養鶏場へ。ここは祖父の代から取引があり、名物のどら焼きはここの卵を使っています。「ええもん使たら美味しなる」と先代の教えを守る克行さん。沙邦莉さんにも受け継がれています。

さて、沙邦莉さんは新作の「生どら」を作ることにしました。アーモンドを砂糖とバターでキャラメリゼして生チョコレートと合わせます。さてこの新作、ベテラン職人の口には合うでしょうか?さらに、秋ならではの新しい「どらぺちーの」とは?

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村井製菓
概要今回の主人公、村井沙邦莉さんの祖父が創業した和菓子店。昔ながらの素朴な和菓子が地域の方に愛されている。また沙邦莉さん考案のどらぺちーのや生どらはSNSで評判に。
住所兵庫県姫路市小利木町1
電話番号079-293-8421
営業時間10:00~18:00 ※季節によって変更あり
定休日日曜・祝日
備考どらぺちーの 500円~
生どら(塩バター)280円
※店頭価格

ホームページ
https://muraiseika.storeinfo.jp/
田隅養鶏場
概要村井製菓の初代から取引のある養鶏場。ここのたまごは名物のどら焼きに使われている。
住所兵庫県神崎郡市川町田中54-1
電話番号0790-28-0215
営業時間9:00~15:00
定休日日曜・祝日
備考フリーサイズ20個入り 780円

インスタグラム
https://www.instagram.com/tazumi_tamago/
香寺ハーブガーデン
概要今回の主人公、村井沙邦莉さんがハーブを買いに行った専門店。仕入れたハイビスカスティーで新作、秋のどらぺちーのを作ることに。
住所兵庫県姫路市香寺町矢田部689-1
電話番号079-232-7316
営業時間平日:10:00~15:00
土曜・日曜・祝日:10:00~17:00
定休日水曜
備考ハイビスカスティー25g 855円(税込)

ホームページ
https://www.koudera-herb.jp/

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次回の放送

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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