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小西豊さん 大阪市中央区淡路町 「プレスマン」

2024113日(土) 午前11時

「忘れられへん名刺」を生み出す活版印刷職人

小西豊さん 大阪市中央区淡路町 「プレスマン」

活版印刷。紙に圧力をかけてインクを刷り込む、原始的な印刷方法です。版を押し付けるので、紙には独特の「凹凸」が生まれます。昭和の半ばに廃れてしまったこの活版印刷ですが「まるで工芸品のようなスゴイ名刺を刷る印刷職人がいる」と評判の工房が大阪にあります。

淡路町にある活版印刷工房『プレスマン』。ここを一人で切り盛りするのが、小西豊さんです。アフロヘアが目を引きますが、彼が刷る名刺は、一度もらったら忘れられない、圧倒的な存在感があります。漫画になっていたり、裏と表で紙の色が違ったり、文字の色も様々。「普通、名刺って、もらっても忘れるじゃないですか。でも僕の名刺は、受け取った人が、これ、どこで印刷したんですか?と訊いてくるので、会話のきっかけになるんです。だから紙選びから紙の加工、そのデザインまで、相手の印象に残る名刺を心掛けています」。

小西さんの精密な表現を支えているのが、昭和56年製のレトロな活版印刷機。ローラーにインクを乗せて円盤が回るとインクが行きわたる、極めてアナログな機械です。しかし出来上がった名刺は、まるで彫刻作品のような凹凸があり、手触りも楽しい。プリントマンではなく、『プレスマン』なのがよくわかります。

名刺といえば、安さと納期の速さだけが重視される時代。しかし小西さんが作る名刺は、若手のクリエイターから会社経営者まで、幅広いファンを持っています。これから受注された名刺たちがどうなっていくのか、打ち合わせから納品までを追ってみました。

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株式会社プレスマン
概要活版印刷で忘れられへん名刺をつくる職人。
住所大阪市中央区淡路町1-1-8 エイワビル1階
備考ホームページ
https://pressman.co.jp/menulist_categories/press/

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https://twitter.com/CONY_KAPPAN

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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