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谷村圭一郎さん、ゆみさん 奈良県生駒市 「翠華園 谷村彌三郎商店」

2024713日(土) 午前11時

茶道の茶筌を世界に

谷村圭一郎さん、ゆみさん 奈良県生駒市 「翠華園 谷村彌三郎商店」

近年、世界的ブームとなっている抹茶。この抹茶をなめらかに攪拌するために、室町時代に発明されたのが「茶筌」です。その一大産地が奈良県生駒市高山町にあります。国内生産の9割以上を占める「高山茶筌」は、530年の歴史を誇る伝統工芸品。この地に1908年に創業した『翠華園 谷村彌三郎商店』があります。現在、三代目当主で彌三郎を標榜する父・谷村佳彦さんと修業中の息子・圭一郎さん、その妻・ゆみさんが中心となって切り盛りしています。

翠華園の茶筌は長持ちします。国産の竹を使用して、可能な限り裏山で育てているから。そこから長い時間をかけて育てた竹を12センチ弱の竹にカットします。
これを小刀で割ったり細かく裂いたり。デリケートな技法で、竹が茶筌になるまでを追ってみましょう。

1970年代には50軒近くあった高山茶筌の業者ですが、茶道人口は減り続け、現在は16軒。さらにコロナ渦でお茶会がなくなり、家業は大ピンチに。育ち盛りの3人の子供との生活を守るため、夫婦はオシャレな新ブランド「SUIKAEN」を立ち上げました。しかし父の佳彦さんは、格式を落とすと反対。ところが…SNSで発信したオシャレ茶筌は大反響。国内だけでなく、海外からも注文が舞い込むようになったのです。伝統を守るための革新。今がその時期だと、圭一郎さんは言います。

この日、翠華園に大勢の外国人客が訪れました。「国際日本茶協会」からの依頼で開かれた茶筌の歴史を伝えるイベントです。佳彦さんも圭一郎さんと共に、茶筌を語ります。最後は茶筌でお茶を点てました。お客さんの感想は?

少しずつ海外からの需要が高まる新ブランド「SUIKAEN」。実は今、タイでは空前の抹茶ブームが来ているのです。夫婦で開発した新スタイルの茶筌が異国の地でどのように使われているのか?ゆみさんは新作を携え、タイに向かいました。タイで大人気の抹茶カフェで、思わず涙したゆみさん。その嬉しい理由とは?

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翠華園 谷村彌三郎商店
概要奈良県生駒市にある「翠華園 谷村彌三郎商店」。
茶筌の伝統を守りながら革新を加える若夫婦に密着。
住所 奈良県生駒市高山町5725
電話番号0743-78-0053
営業時間09:00~15:00
定休日土曜・日曜
備考ホームページ
https://www.yasaburo.com/

インスタグラム
@suikaen_takayamachasen

事前予約必要
八十八良葉舎
概要高山茶筌を使って点てた抹茶ドリンクを頂けるお店。
住所京都府京都市右京区嵯峨朝日町22-66
電話番号なし
営業時間月曜~金曜:11:00~17:00
土曜・日曜・祝日:10:00~17:00
定休日不定休
備考参考料金
700円

ホームページ
https://www.8108kyoto.com/

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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