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中田光彦さん 『神通硝子製作所』 滋賀県高島市

2025510日(土) 午前11時

琵琶湖を愛する滋賀のガラス作家

中田光彦さん 『神通硝子製作所』 滋賀県高島市

栃木県で開かれた、40万人もの人が訪れる「益子陶器市」。ここに、多くの人が詰めかける展示がありました。陶器ではなく、なんとガラスの器。まるで波紋のような「ゆらめき」を感じさせるデザイン。作ったのは滋賀県に住むガラス作家。様々な技法で、ガラスに命を吹き込みます。滋賀を愛し、琵琶湖を愛する作家の熱きチャレンジに密着しました。

琵琶湖の西側に位置する高島市。琵琶湖に接する高島に3年前に移住し、工房を構えた「サブロウ」こと中田光彦さん。妻の祐季さんと、この工房『神通硝子製作所』でガラス作品を作り続けています。板ガラスと粉ガラスを熱して融合させた器「あふみ」。溶けた雪の質感をイメージした「しゃりしゃり」。どれも琵琶湖の水と光をテーマにしています。

中田さんに様々なガラス作りを見せてもらいました。小さなガラス板や粉ガラスを組み合わせ、熱して溶かし一枚にする「キルンワーク」。冷ましてから研磨・成形を経て、陶器の型にのせて熱すると…琵琶湖の波紋をイメージしたカラフルなガラス皿ができました。他にも切子など、多彩な技法で皿やグラスを生み出していきます。

滋賀県の大津市で生まれ育った中田さん。海外への憧れが強く、高校卒業後はドイツに渡りワインを販売する仕事に。そこで妻の祐季さんと出会いました。そして二人で訪れた旅先の教会で、ガラス工芸に出会うのです。

帰国後、富山県にあるガラスの研究所で学んだ中田さん。富山でガラス作家として腕を磨きました。しかし、心の中にはずっと、地元・琵琶湖がありました。そうして2022年、琵琶湖に接した高島市へ移住。琵琶湖のそばでガラス作りを始めました。

春に個展を開く中田さんは、新たな作品に取り掛かります。地元・高島に咲く草花をモチーフにした切子のグラスです。しかし彫り方が難しい。そこで中田さん、以前に「花切子」を教わった第一人者に教えを乞うことにしました。藤本幸治さん95歳、現役最高齢の切子作家です。刃の当て方などを実演で教わった後、デザインにもアドバイスをもらいました。藤本さんの言葉から大きなヒントを得た中田さん。切子グラスの製作を再開します。そうして、出来上がったグラスは、どんな仕上がりになったでしょうか。

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神通硝子製作所
概要琵琶湖をイメージした作品を生み出すガラス作家の工房兼ショップ・ガラス体験
住所滋賀県高島市鴨1430
営業時間9:30~17:00
定休日不定休
備考インスタグラム
https://www.instagram.com/saburo1976/
                              
ホームページ
https://www.degamoya.com/

個展は5/10~14 器ギャラリー奈良町よつば(奈良市鵲町6-12)にて開催

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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