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京都「五山送り火」が存続の危機 猛暑・人手不足・コスト上昇で変わりゆく夏の風物詩 お祭りの存続に必要なこととは

08/21 12:00 配信

これからどうなる?変わる夏の風物詩

 日本の夏の風物詩といえる夏祭りがいま、各地で岐路に立たされています。金銭面や担い手不足で維持が困難になっているものがあります。全国的に有名な京都の「五山送り火」も継続が危ぶまれたといいます。夏の風物詩の実態と今後について、「お祭り評論家」の山本哲也さんに解説してもらいます。

京都で伝統行事「五山送り火」 「帰っていくんかな」夏の夜空に思いはせる

京都の「五山送り火」が存続の危機に クラウドファンディングが窮地救う

「五山の送り火」の継続がピンチに

 「現状を維持することすら難しくなっていく」――京都の夏の伝統行事「五山送り火」の保存団体が、そう訴えています。

 京都の「五山送り火」は、お盆に迎えた先祖の霊を送り、無病息災を祈る伝統行事です。1983年に京都市登録無形民俗文化財に登録されました。

 しかし今、その存続が危ぶまれています。山の火床の整備や木の伐採、資材の運搬、安全対策などの問題が重なっているのです。

 これらの作業は、送り火保存会や地域の人々が担ってきましたが、高齢化による担い手不足や材料費の高騰で従来通りの運営を維持するのが難しくなっているのです。

 山本さんによると、火床の一部が崩壊し、修繕のために多額の追加費用がかかったといいます。

お祭り評論家 山本哲也さん

山本さん
「物価高騰と伝統的な施設の修繕が重なり、追加でかかる費用が多くなりました」

 さらに、自然環境からの"逆風"も加わっています。京都五山送り火連合会の岩﨑勉会長によると、異常気象に伴う土砂崩れや倒木が発生した場合、山の保全・維持管理の作業負担が一気に増えます。補修作業はすべて人力です。加えて、鹿の食害によって山肌が露出してしまい、作業者が滑落する危険まで生じているといいます。

 運営コストの上昇を受け、不足分を補うためクラウドファンディングが募られました。その結果、目標400万円に対して906万円以上が集まりました(8月19日午後4時時点)。

 東京藝術大学の太下義之客員教授は「様々な財源で収支を確保することは大切。これからほかの行事でもこうした取り組みは増えるはず」とコメントしました。

山本さん
「すでに多くの祭りでクラウドファンディングを活用しているという話をいくつも聞きます。クラウドファンディングは、地域の祭りへの関心を全国に広げるという意味合いでも有効な手段です」

花火大会も「秋・春」へ移行 24.1%が中止か規模縮小

花火大会にもさまざまな変化

 変化しているのは五山送り火だけではありません。花火大会も大きく変わりつつあります。2025年の全国花火大会白書によりますと、過去5年以内に、新型コロナ以外の要因で中止または規模縮小を決めた花火大会は24.1%に上ります。理由として挙げられるのは、資金不足、人手不足、天候不順の3点です。

 開催時期を変更した大会も出てきています。「なにわ淀川花火大会」は例年8月開催でしたが、去年は大阪・関西万博の開催期間を避けるため10月開催に変更し、今年も熱中症リスクを避けるため10月17日に開かれることになりました。

 「猪名川花火大会」は、熱中症リスクを勘案し秋に開催されることになりました。

山本さん
「暑さを勘案すると、もはや秋にやるくらいがちょうどいいです。春にやるケースも時々聞きます。夏は花火師さんのスケジュールを押さえるのが大変なので季節をずらすという事情もあります」

よさこいも対応を検討 暑さと向き合う夏祭り

 高知の「よさこい祭り」も変化の波に揺れています。今年は8月9日から12日に予定通り開催されましたが、主催団体は熱中症対策のために開催方式や時期を検討する委員会を設置しました。会長は「踊り子も地域も楽しめる祭りを継続的に発展させるため、議論していきたい」としています。

山本さん
「花火大会だけでなく、夏祭りも暑すぎるから行くのもやるのも大変という話はよく聞きます。ただし、大阪の天神祭のように日にちが重要な祭りもあります。そうした祭りを春や秋にやるわけにはいかず、祭りによって対応は変わってくるでしょう」

福岡県に祭りの「お助け隊」 派遣する取り組み

夏祭りの新たな取り組み

 福岡県では2023年、全国に先駆けて「地域伝統行事お助け隊」がスタートしました。

 高齢化や若者の流出で人手が不足している地域の祭りに、ボランティアを派遣する取り組みです。神輿担ぎや炊き出し、運営サポートなど、幅広い業務を担います。登録者は先月末時点で約400人。年代は10代から80代まで幅広く、40代から50代が多いといいます。

 2024年には要請のあった11件すべてに派遣し、今年8月までの段階でも4件すべてに対応。100人以上を派遣した実績があります。

山本さん
「こうした動きは福岡だけではありません。関東圏では神輿愛好会という会があり、各地の祭りに神輿を担ぐ人を派遣する仕組みが以前からあります。京都の祇園祭では引き手のボランティアを募り、阿波踊りでは『にわか連』として誰でも踊りに参加できる枠があります」

資金面の工夫も 一般化しはじめた「有料観覧席」

花火大会に有料観覧席が一般化

 資金面でも新たな工夫が生まれています。福島県郡山市の「あさか野夏まつり花火大会」では、送迎と食事付きの特別観覧席を初めて設けました。

 一般販売は6万6000円、ふるさと納税の返礼品としては寄付額21万円で提供されています。地元食材のオードブルや県外では買えないお酒とともに花火を楽しめる豪華な内容で差別化を図っています。

 大分県杵築市の「納涼花火大会」では、天守閣から花火を観覧できる席をわずか8席、1人3000円で提供しています。

山本さん
「花火大会で観覧席という形が非常に多くなっています。企業の協賛金が減った分、観覧席で費用をまかなわなければいけないケースが増えています。ただ、観覧席だらけになると肝心の地元住民が見られなくなるという問題もあります。地元枠など、若者や地域向けの対応をどうするかが課題です」

ロック、アニソン 盆踊りが"フェス化"

 夏の風物詩の代表格である盆踊りには新しい波が来ています。東京の神田明神の納涼祭りでは、2016年から新旧のアニメソングを取り入れた盆踊りを開催しています。秋葉原が氏子地域であるという縁からスタートしたもので、山本さんも「フェスとコミケを足して2で割ったような感じで、盛り上がりようがすごかった」と振り返ります。

 さらに、東京都の中野駅前の大盆踊り大会では、2018年にDJがたまたま流したボン・ジョヴィの曲にお手本役が踊ったことがSNSで一気に広がり、話題になりました。その話題が本人たちの耳にまで届き、「我々の『リヴィン・オン・ア・プレイヤー』が中野駅前の大盆踊り大会で愛されていると聞いてとてもうれしい。今年の夏もこの曲で踊って楽しんでね」というメッセージが届きました。

祭りはどうあるべき? 「単なる集客イベントにしないことが重要」

今後の夏の伝統行事のあり方は?

 山本さんは「祭りを単なる集客イベントにしないことが重要」と指摘します。伝統に込められた意味・核となるものは崩さないようにしつつ伝統を支える仕組みを考えていくことが重要だといいます。

山本さん
「祭りはそもそも神事であったり法要であったりするので、単なるイベントとは違います。お金と人を出して支えているのは地元の住民です。一方、見に来る人は全国、場合によっては世界中から訪れます。そのため、全国からクラウドファンディングやボランティアで人を集める仕組みを整えていくことが大切になっていくでしょう」

最終更新:08/21 12:00

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