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「都市型水害」のリスクは関西でも 注意が必要なのは大阪府東部 車が水没したときの対処法は

08/21 12:30 配信

もしも水没した車に閉じ込められたら…

 千葉県で線状降水帯が発生した豪雨災害から1週間。死者13人、行方不明者1人、浸水被害は約2700棟、放置車両は一時3000台以上に上りました。これは決して遠い地域の問題ではありません。関西でも、同様の"都市型水害"が起きるリスクは十分にあります。

 関西大学環境都市工学部の橋本雅和准教授に、関西における浸水リスクや水害に巻き込まれた時の車の対処法を聞きました。

千葉豪雨被害の過半数が「想定区域外」で発生 河川から遠くても安心できない「内水氾濫」のリスク あなたの地域は大丈夫?

川沿いでなくても“氾濫”は起こる

外水氾濫と内水氾濫

 都市型水害には大きく2種類があります。

 ひとつは外水氾濫。河川の堤防が決壊し、川の水が市街地へあふれ出るもので、いわゆる洪水にあたります。

 もうひとつが内水氾濫。堤防は決壊していないにもかかわらず、市街地や商業施設に直接降り注いだ雨水が下水道の排水能力を超え、道路や建物に水があふれ出す現象です。今回の千葉豪雨も「ほとんどが内水氾濫に該当する」と橋本准教授は指摘します。

 内水氾濫の恐ろしさは、川沿いでなくとも起こりうること。橋本准教授は「内水氾濫は川から遠くても浸水する範囲が想定される」と強調しました。

大阪でも"1〜2メートル冠水"のおそれ

関西大学環境都市工学部の橋本雅和准教授

 関西において特に注意が必要なのが、大阪府東部です。上町台地と生駒山系に挟まれた低地は、雨が降ると台地から水が集まりやすい構造になっています。橋本准教授は「場所によっては1メートルから2メートルほど冠水するおそれもある」と指摘します。

 さらに深刻なのが、住之江抽水所(住之江区)の現状です。地下放水路に溜まった雨水をポンプで吸い上げ、川へ排出する能力を担う重要施設ですが、今年6月の大雨で6基あったポンプがすべて水没し、運転不能になりました。復旧には約4年かかる見通しです。

ハザードマップで白いエリアも注意が必要

内水氾濫ハザードマップの確認を

 現在は仮設ポンプを含む8基で排水していますが、水没前は約1時間で処理できた30万立方メートルの排水に、今は約1週間かかる状況です。橋本准教授は「仮設のポンプを入れてどんどん排水能力を高めている状態」と説明しました。

 排水能力の低下により、6月に大阪市生野区や東大阪市で起きた冠水・浸水と同様の事態が、より少ない雨量でも起こるリスクが高まっています。

 大阪市が公開する内水氾濫ハザードマップでは、梅田(北区)を含む複数のエリアが暖色(黄〜オレンジ)で示されており、浸水が深くなると想定されています。橋本准教授は「台地の中でも相対的に低いところには水が集まってくる」と話し、ハザードマップで白いエリアであってもすべて安全とは言い切れないと指摘しました。大規模な地形だけでなく、狭いエリア内での高低差にも注意が必要です。

冠水した道路に進入した車に起こること

車が冠水した道路に進入したら

 千葉の豪雨では車の水没も相次ぎました。千葉県柏市の住宅街では、周りに比べて低い土地に雨水が溜まって冠水した道路に車が進入するケースが発生。運転手から見ると「平地に見えた」可能性があります。

 冠水した道路に進入した場合、車には次のような被害が連鎖的に生じます。

・ 水深が床面を超えると電気装置が損傷し、自動のドアや窓が動作しなくなるおそれ
・ 水深がドアの半分を超えると、水圧でドアが内側から開かなくなるおそれ
・ 吸気口から浸水するとエンジンが停止し、再始動しなくなるおそれ
・ マフラーから浸水してもエンジンが停止するおそれ

車内に閉じ込められたら…脱出の手順と"最後の手段"

浸水で車内に閉じ込められた場合の脱出手順

 万が一、車内に閉じ込められた場合の脱出手順は、水位によって分かれます。

・ 水位が車の底面程度:シートベルトを外し、ドアを開けて脱出
・ 水位がドアの半分程度:ドアが開かない場合は窓を開けて脱出
・ 水位が窓の高さ程度:ドアも窓も開かない場合は、脱出用ハンマーで側面か背面の窓ガラスを割って脱出

 脱出用ハンマーは自動車用品店やホームセンターで販売されており、先端が小さく尖った構造で力を一点に集中させる作りになっています。女性でも簡単にガラスを割ることができるので、手の届く場所に固定しておくことが重要です。

 それでもガラスが割れない場合も、諦めてはいけません。

 橋本准教授は「外から圧力がかかっているから開きづらい。内側に水が入ってしまえば外と中が釣り合って、本来の力で開けられる」と説明します。最後の呼吸を大きく吸い、勢いよく扉を開けて脱出することが求められます。

愛車が浸水したら…車両保険の確認と災害後の手順

愛車が浸水した後の対応

 水害に備えて、車両保険も確認しておきましょう。強制加入の自賠責保険は人身事故のみを補償するもので、水没補償は含まれていません。水没補償が付いているのは任意加入の車両保険ですが、地震・津波を除いている場合も多く、加入内容を確認する必要があります。

 車両保険の加入率は全国で47.4%、大阪で51.6%(2025年3月時点、損害保険料算出機構による)と、約半数にとどまっています。

 浸水後にやるべきことは以下の手順で整理されます。感電などの危険があるため、水が引いてもエンジンはかけないでください。

①被害認定に役立てるため写真撮影
②保険会社に連絡する
③レッカー手配・修理工場へ搬送
④保険会社に書類を提出
⑤被害認定
⑥保険金が支払われる

愛車が浸水…知っておきたい制度

 このほか、ファイナンシャルプランナーの前野彩さんによると、任意の車両保険以外にも「自動車が使えない時は自動車税の減免」「災害減免法による所得税の軽減免除」といった制度が存在します。

大雨時は"無理に移動しない" 専門家が促す行動

大雨時は無理に移動しない

 橋本准教授は、大雨時の行動として「状況を甘く見ずにとどまり、様子を見ることが大事」と訴えます。まずは高い建物に車を移動させ、安全な場所にとどまることが優先されます。

橋本准教授
「雨が弱まって水が引くかもしれないと思っても、周辺地域の雨水が集まり内水氾濫が起こる可能性があります。大雨時は無理に移動しないなど警戒が必要です」

 気候変動により過去のデータを超える降雨が増えている今、都市のインフラだけに頼らず、個人でハザードマップを確認し、日頃からシミュレーションしておくことがいざというときの命と財産を守る第一歩となります。

(『newsおかえり』8月20日放送分より)

最終更新:08/21 12:30

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