関西ニュースKANSAI
戦後最長の“景気拡大”にも「全然感じない」 政府が示す数字と生活実感との深い溝 私たちの生活が良くなるのは「来年4月」・・・
09/14 07:00 配信
「戦後最長の景気拡大到来か」 国がそう発表した一方で、街を歩けば聞こえてくるのは嘆きの声ばかりです。好景気の数字と、生活者の実感の間にある深い溝。その正体を、岩本計介アナウンサーがニュースの現場から報告します。
4人の採用枠に210人が応募 大阪・和泉市で来春入庁「社会人採用」の倍率が52.5倍に 「初任給日本一」掲げ人材確保に力
数字が示す"最長の景気拡大"の中身
景気拡大の期間は74カ月に達した
今週、国が発表した7月の景気動向指数は、前の月から1.7ポイント上昇し120.6を記録しました。
これにより、景気拡大の期間は74カ月に達し、2002年2月〜2008年2月にかけて73カ月続いた「いざなみ景気」を超えたと見られています。
いざなみ景気は輸出拡大などが景気を支えた一方で、国民への恩恵が少ないとして「格差景気」とも呼ばれました。今回の景気拡大にも、同じような性質が透けて見えます。
「なにかを我慢するしかない状態」 街の声が示す実感のなさ
街の声は「使えるお金は変わらないのに…」
でも、今がそんな好景気だという実感ってありますか?
女性
「(Q.国によると戦後最長の好景気だが?)ええ?そんなん全然なんも感じない」
「もうちょっと庶民を見て欲しい、庶民の生活を見て欲しい」
女性
「(Q.子育て、家族が増えると出費も変わる?)そうですね。オムツ代とかミルク代の出費がすごい」
男性
「使えるお金が変わらないのに、物価は上がっていくんで、なにかを我慢するしかない状態が続く」
「(Q.なにを我慢している?)居酒屋に行くのも、今まで行けていたところを、ちょっとランク下げたり、ハッピーアワーに行ったりとか」
女性
「(Q.景気は良いと感じている?)全くです」
「(Q.戦後最長の好景気と言われているが?)ふざけんなって。どこがやろう!?」
売上は増えても利益は減る 豆腐店に見る製造業の苦境
社内食品の社内謙一社長
大阪府八尾市にある創業62年の豆腐店を訪ねると、製造業の苦境がより鮮明に浮かび上がりました。
青森県産のオオスズという銘柄をはじめとした厳選した国産大豆や天然にがりなどを使ったこだわりの豆腐は、料亭や学校給食でも重宝されています。6月の売上は5月より20%近くアップ。ただ、利益は去年の同月比で4%減少しています。その最大の要因はガス代の高騰です。
社内食品の社内謙一社長によると「ガス代が1番の値上がり。去年と比べたら7割、8割上がっている」ということです。大豆を炊くボイラー、豆腐の殺菌、お湯の供給まで、製造工程のあらゆる場面でガスが必要です。光熱費に加え、包装用のパック、人件費などのコスト増は直接利益を圧迫します。
経費を削ろうにも、「大豆が原料ですから、大豆をケチると形とか味に直結する」と語ります。さらに、機械の精密化も経営を圧迫する新たな要因として浮上しています。昔は部品を取り寄せて自分たちで修理できた設備も、今は業者を呼ぶだけで数万円の支出になるといいます。「売上は、見かけは上がるんですけど、利益が残らない」という社内社長の言葉が、現在の製造業の構造的な苦しさを端的に表しています。
なぜ実感がないのか 景気拡大の"理由"
戦後最長の「景気拡大」の背景は?
日本総研の藤山光雄上席主任研究員への取材をもとに、景気拡大の背景を整理すると、主に以下の要因が挙げられます。
・コロナ禍の終息による経済活動の正常化
・AI・半導体関連銘柄を中心とした株価上昇
・円安による輸出企業の業績拡大
・7カ月連続での実質賃金上昇
ただし、株価の上昇は特定の業種への富の集中という側面があり、円安は輸出企業には追い風となる一方、輸入品の価格上昇という形で一般消費者の生活を直撃しています。中東情勢の不安定化による燃料価格の高騰も、家計と企業経営の双方を圧迫し続けています。
賃金は上がっているものの、物価高に追い付いていないのが現状で、出ていくお金も増えていることが、景気拡大の実感がない要因になっていそうです。
生活が好転する見通しは「来年4月ごろ」
生活が上向くのは来年4月ごろ?
専門家の分析では、生活実感の改善が見込まれる時期として「来年4月ごろ」が示されました。
その根拠として挙げられたのは、飲食料品への消費税1%開始と、今後も続く可能性が高いとされる実質賃金の上昇傾向です。賃金がじわじわと上がり続け、そこに減税の効果が重なることで、「同じものを買ったのに、今までよりお金が減っていない」という実感が生まれてくるというロジックです。
ただし、円安の是正や中東情勢の安定といった外的要因は、私たち個人の努力でどうにかできるものではありません。生活者の苦境の多くが、個人の手の届かない構造的な問題に起因しているという事実が、今回の取材を通じて改めて浮き彫りになりました。
"景気拡大"を示す数字と、生活現場での実感の乖離。その溝が埋まるかどうかは、来年春以降の政策の実効性と、賃上げの継続にかかっていると言えます。庶民の声が国の政策に届いているかどうか、引き続き注視が必要です。
(『newsおかえり』9月10日放送分より)
最終更新:09/14 07:00


