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“行政初の試み” 泉佐野市が「赤ちゃんポスト」設置へ 命をつなぐ先の課題とは【岩本計介ニュースの現場から】

09/19 12:00 配信

 大阪・泉佐野市が導入を検討している「赤ちゃんポスト」。実現にむけて浮かび上がる課題を岩本計介アナウンサーが取材しました。

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“赤ちゃんポスト”導入検討 泉佐野市の千代松市長に単独インタビュー

泉佐野市の千代松市長に単独インタビュー

岩本アナ
「なぜ赤ちゃんポストを作ろうと思われたのでしょうか」

泉佐野市・千代松大耕市長
「令和6年1月『泉佐野市こども基本条例』を制定して、改めて子どもの人権を大切にしていこうという取り組みをスタートさせて、子育て施策とかを展開してるんですけれども、生まれてきた大切な命が遺棄されたりして非常に残念な事件が全国で相次いでいるというところで、その部分も何とかしたいと」

 泉佐野市が導入を検討しているのは、親が育てられない子どもを匿名で預かる『赤ちゃんいのちのバトン』、いわゆる「赤ちゃんポスト」の設置や身元を明かさずに出産する「内密出産」です。

民間から行政へ――なぜ“市がやる”のか

「赤ちゃんポスト」は2007年、熊本・慈恵病院で初設置

 「赤ちゃんポスト」は2007年、熊本県の慈恵病院で設置されたのが最初で、去年東京にも出来ました。ただ、この2つの病院に関しては民間事業。今回、泉佐野市は全国初の自治体主導での運用を目指します。

岩本アナ
「市がやることの意味は?」

千代松市長
「民間病院も初めは行政機関との連携が非常に大変だったと聞いて、吉村知事もこの事業には賛成という表明をしていただいているので、民間事業が手がける事業を実施するよりも、行政のほうが若干ハードル低いかと」

地元住民の受け止めは?

 全国初の取り組み、地元住民の受け止めは…

20代
「良いとは思います。市がやるやるというのは、きっとお子さんのことを考えてだと思う。市民としては応援しかないので、子どもは天使だと思ってるので、幸せになってくれる子どもが増えたらいいなと」

50代
「利用せざるをえなくて利用するんだろうけど、私は『赤ちゃんポスト』の存在はどっちかと言ったら否定的。責任がないんだったら産まない方がいい」

「赤ちゃんポスト設置だけでは不十分」「ポストに行く前に…」神戸の支援施設が指摘する“課題”

小さないのちのドア・西尾和子施設長

 一方、様々な事情で妊娠や出産に悩む女性を支援する施設の担当者は「赤ちゃんポスト」の設置だけでは不十分だと話します。

岩本アナ
「市が運営することに対して、どのように考える?」

小さないのちのドア・西尾和子施設長
「『赤ちゃんポスト』では赤ちゃんの命は助かるかもしれない、でも女性の人生は変わらない。そこを支えていくためには『赤ちゃんポスト』に行く手前に、こういうところが広がっていくことが、とても大切。それでも繋がりきれない人たちの命を守っていくという最後の最後のとりでが『赤ちゃんポスト』なのかなと」

妊娠や出産に悩む女性を支援する「小さないのちのドア」

 この施設では、対面や電話などでの相談や女性が自立できるまでの生活のサポートを24時間体制で行っています。

永原郁子代表理事
「誰でも来られるようにということで、(衣食住を)無償で提供している。(出産後)ご自分で育てる方もいれば特別養子縁組・乳児院にお願いする方もいる。その方に合わせた道を一緒に考えていくということをしている」

 年間の相談件数は約1万2000件。

岩本アナ
「件数の多さにびっくりしました。そこまで多いとは思わなかったですし、誰にも言えない相談できないことが一番予期せぬ妊娠の問題点なのかと」

西尾施設長「赤ちゃんのアイデンティティー形成にも影響する」

 ほかにも赤ちゃんポストの設置には難しい課題があるといいます。

西尾施設長
「赤ちゃんにとって、出自はアイデンティティー(自分が何者か)に影響する。(赤ちゃん)ポストだと、自分のお母さんがどういった人だったか見えにくい。赤ちゃんの成長、アイデンティティーの形成を考えるところで難しさを感じることは今後あるかもしれない」

千代松市長は今後について

 早ければ来年度中に導入される泉佐野市の「赤ちゃんポスト」。千代松市長は今後についてこう話します。

千代松市長
「『赤ちゃんいのちのバトン(赤ちゃんポスト)』に行くことは、母子が非常に危険な状況で出産されてるかもしれませんので、まずはそこに行き着く前の段階の相談や、内密出産や妊産婦シェルターなどの施設も今後整備をしていきます」

“行政初の試み”どうなる 運営費の確保や法整備にも課題が…

“行政初の試み”どうなる

 泉佐野市は、りんくう総合医療センターを改修し、赤ちゃんポストの設置と病院側にのみ身元を明かして出産する「内密出産」の受け入れ体制を整える計画です。早ければ来年度中の導入を目指しています。

 しかし、運営費の確保や法整備の課題があります。

 赤ちゃんポストをめぐる市の動きを継続取材している岡谷藍記者は次のように話します。

岡谷記者
「そもそも日本では『保護者のもとで子どもが育つべき』という考えのもとに制度が作られているため、赤ちゃんポストや内密出産は国には認められていないのが現状です」

受け入れた赤ちゃんの“その後”は? 見えないパートナーの問題も

受け入れた赤ちゃんの“その後”は?

 また、受け入れた赤ちゃんの“その後”のサポートについても課題があります。

 児童相談所の判断によって、赤ちゃんは0歳から3歳ごろまでを過ごす「乳児院」か、里親のもとへ振り分けられます。ところが、大阪府内の乳児院は4カ所・定員128人。

 去年は平均で9割近くが埋まっており、来年には受け入れ可能人数を超えるとみられています。里親についても、現時点で受け入れの余力はほとんどないといいます。

 泉佐野市は乳児院を1カ所新設する方針ですが、定員は20〜25人にとどまります。岡谷記者は「泉佐野市が赤ちゃんポスト・内密出産を始めた場合、その後の養育環境に責任を持たなければならない。吉村知事も制度自体には賛同しているが、受け入れ施設の確保が進まないうちは簡単には進められないとしている」と伝えます。

岩本アナが取材を通じて感じたことは

 また、岩本アナウンサーは取材を通じてこう感じたといいます。

岩本アナ
「赤ちゃんの命は尊いですが、赤ちゃんを産む女性の命も尊い。泉佐野市は赤ちゃんの命と女性の命を守るという両輪で進んでいってほしいです。また、女性が妊娠するに至ったパートナーの姿が見えないケースが圧倒的に多いといいます。この視点を決して忘れてはいけないと強く感じました」

(「newsおかえり」2026年9月17日放送分より)

最終更新:09/19 12:00

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