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出会い系アプリに”なりすまし登録”→男性400人から大量の性的メッセージ・・・ 被害女性が実名顔出しで語る、慰謝料引き上げよりも「大事なこと」 SNS中傷、国が慰謝料引き上げ検討へ

10/06 17:00 配信

出会い系アプリで壮絶ななりすまし被害に遭った平尾曜子さん

 SNS上で相次ぐ、匿名の投稿者による個人への中傷被害。憎悪をむき出しにしたメッセージの嵐は、時に人を死に追いやることもあります。

 法務省は先月末、SNS上の誹謗中傷に対する損害賠償額の引き上げなどを検討する、民法改正の研究会を立ち上げました。

 「低すぎる」と言われていた慰謝料の算定基準が見直されるかもしれません。

 そんな動きが出てきた中、ある悪質な中傷被害を受けた女性が実名で取材に応じました。被害の実態と慰謝料の増額よりも「大事なこと」とは。

「言葉が人を殺す」 SNSでの誹謗中傷の怖さ “山火事みたいな”デマ拡散・“マチアプなりすまし”でDM殺到 被害者が証言

「おまえはビッチ」「どういうプレイが好き?」性的DMが突然大量に

 「恐怖。とにかく経験したことのない恐怖でした」。そう語るのは、佐賀市に住む会社員の平尾曜子さん(40)です。
 
 ことの始まりは、いまから5年前の2021年2月5日。不特定多数の見ず知らずの人からぽつりぽつりとダイレクトメッセージ(DM)が届き、それはあっという間に数十通、数百通と増えていきました。メッセージにはどれも共通点がありました。

 「連絡取りたいです」
 「イチャイチャ濃厚じゃないと満足できないです。責め好きのSです」
 「どういうプレイが好きなの?」
 「おまえ、ビッチだな!」

実際に平尾さんに届いた性的DM

 どれもむき出しの”欲望”を言葉にした性的DM。一部に出会い系アプリの名前が書かれていたため、平尾さんが確認しにいくと、目を疑うような投稿がそこにはありました。

 なんと平尾さんが以前、自身のインスタグラムなどに投稿していた写真が悪用され、ひわいな文言が並ぶアカウントが作られていたのです。

(平尾さん)「私は精神的に結構タフなところあったんですが、その私でも・・・。自分で見に行かなくても勝手にずっとスマホが鳴り続ける。ずっと攻撃される、そういう状況。ただデータの保存期限などもあるので、本当は手が震えるほど怖かったんですが、当日警察にも行きました。涙も出ました。もうとにかく怖かったです」

3カ月で20キロやせ、重度うつ病に

出会い系アプリに勝手に作られていた平尾さんのアカウント

 アカウントには平尾さんの出身校や職歴など個人情報も書かれていました。

 アカウントの削除を依頼してもまた何者かに作成され、結局2日間で、見ず知らずの男性たちから400通あまりの性的DMが届いたといいます。

 精神的にも変調を来しました。

 (平尾さん)「食事っていう感覚が抜け落ちて、3カ月で20キロやせて。骨と皮だけになってしまった。1人になった時だけですが、死にたいという感情が出てきてしまった。めまいとかで階段とかから落ちたりして体はあざだらけ、顔も打ってけがをしたり・・・」

 睡眠障害も発症し、受けた診断は重度のうつ病などでした。

精神的ショックで体重が20キロ落ちたという平尾さん(平尾さん提供)

 深く傷つき、絶望の中にあったという平尾さん。それでも「被害の証拠は残さなければ」という思いから、なりすまし投稿の記録をとり、町の法律相談を活用して弁護士に依頼して投稿者情報の開示請求を進めました。

 およそ2年後、投稿者の情報が明らかに。その意外な人物は――。

「元カレの現在の妻が・・・」2年超の開示請求手続きで分かったこと

(平尾さん)「15年以上前の元カレの、現在の妻が犯人といいますか、被告でした。その方は全く面識がない方でした」

 なんと、ひわいな文言を散りばめて平尾さんになりすまして出会い系アプリのアカウントを作っていた人物は、15年も前の元交際相手の妻だったのです。

 平尾さんは去年4月、この女性を相手取り、780万円あまりの損害賠償を求めて佐賀地裁に提訴。この裁判の中で、女性はこんな主張をして棄却を求めました。

相手方の女性が提出した答弁書

(なりすまし投稿をしていた女性)「SNSに投稿したことは覚えていません。また賠償金の額が大きすぎて工面できません。」「今回のことは覚えていません」

平尾さん「ただ私が裁判をして、私の中で裁判が終わったっていう形に」

 さらに驚くべき主張も。女性の答弁書には平尾さんがDJとして活動していた頃の写真が添付され、「平尾さんはDJ活動を肌の露出が高い服装でされています。こちらも男性恐怖症や、鬱の回復が見込めない状態とは思えません」と書かれていました。

 (平尾さん)「ここまでの頭使った設計、マッチングアプリでなりすまして誹謗中傷して、二次的性被害まで考えたことまでしておいて、第一回目の答弁か何かでは、私は病気なので、記憶がありません。私は国の援助で生きているので、お金はありませんとだけ言って、あとは毎回体調が悪いとか、お金がないとか・・・ただ私が裁判をして、私の中で裁判が終わったっていう形になってて」

佐賀地裁の判決文

 今年7月、佐賀地裁は女性に約529万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。判決は確定したものの、その後、相手方から支払いはおろか謝罪すらないと平尾さんは話します。

 (平尾さん)「本当によくある言葉、泣き寝入り、ですね。せっかく裁判官、私の代理人とかが頑張ってくれた判決文が紙切れになってしまうっていうこともあるので、それはちょっと私はどうしても諦めきれない」

「賠償金が低い」検討を始めた法務省 それでも・・・

 「人格権侵害に対する損害賠償額が低廉であると。低いという指摘があることは承知しております」。先月29日の閣議後会見で、山下法相はこう述べ、有識者による新設の研究会の中で、どのような対応ができるのか多角的に検討する方針を明らかにしました。

 平尾さんはこうした国の動きを受けて、いまこう話します。

平尾曜子さん

(平尾さん)「(賠償金の)額が上がっても本当に回収できないと意味がないです。支払い能力がない人から取れないというものがあって、一部の人はそれをうまく利用して、何回もそういった攻撃的な書き込みをする人がいるわけであって、そこからどう賠償金を回収するかっていうところまでは、国に考えてほしいなと思っています」

最終更新:10/06 17:00

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