関西ニュースKANSAI

“実行犯”が乗ったバイクか…犯行直前の現場周辺の防カメ画像を独自入手 「餃子の王将」社長射殺事件の真相は?

10/19 11:30 配信

 13年前の2013年12月19日。この日の午前5時半すぎ、王将フードサービスの本社前へと向かう1台のバイク。バイクは本社付近を約40分にわたり徘徊。

 これは取材班が独自に入手した画像です。

 捜査当局は「実行犯が乗ったバイク」としてきました。事件の真相とは…

検察が控訴しても「無罪がくつがえることは難しい」 王将社長射殺事件 今回の判断のポイントは?

「餃子の王将」社長射殺事件 9年の捜査を経て暴力団幹部を逮捕

『王将フードサービス』の社長・大東隆行さん

 事件が起きたのは2013年。当時、全国で「餃子の王将」を600店舗以上展開していた『王将フードサービス』の社長・大東隆行さんが何者かに銃撃され死亡しました。

 2000年に社長となった大東さんは当時、経営難に陥っていた会社を立て直した「敏腕経営者」として知られていました。日課としていた早朝の掃除のため出勤。その直後、大東さんは凶弾に倒れました。

暴力団・工藤会系の幹部、田中幸雄被告

 京都府警は、のべ36万人を超える捜査員を投入。事態が急転したのは、事件から9年が経とうとしていた2022年。

 大東さん殺害などの容疑で逮捕・起訴されたのは、福岡県を拠点とする暴力団・工藤会系の幹部、田中幸雄被告。現場付近では、たばこの吸い殻が見つかっていて、その吸い殻から田中被告と同じDNA型が検出されています。

 誰もが知る外食チェーンの社長がなぜ殺害されたのか。その動機が注目されるなか、裁判で田中被告は…

「私は決して犯人ではありません。『決して』がつきます」
「任侠道を志す者として濡れ衣の1つや2つ甘んじて受け入れますが、センセーショナルな事件までは到底承服できません」
「もう一度申します。私は決して犯人ではありません」

 一方の検察側の主張はこうです。

「被告人は被害者が運転席から降車した際、待ち伏せをしていた東側通路から被害者に至近距離まで駆け寄り、拳銃で弾丸4発を発射し、その全てを被害者に命中させた。その後、被告人は直ちに東側通路に戻り、停車していたバイクに乗って逃走した」

防犯カメラが捉えた“不審なバイク” 現場周辺を約40分間にわたり徘徊

犯行直前の現場周辺の防犯カメ画像を独自入手

 裁判で検察が犯人の立証に繋がる大きな証拠としたのが、現場付近で見つかったたばこの吸い殻。そして、銃を用いた際の火薬成分が検出されたバイクでした。

 今回、取材班は犯行直前の現場周辺の防犯カメラ画像を捜査当局から独自に入手しました。そこに映っていたのは、事件直前に現場周辺を走る不審なバイクの姿でした。

バイクは現場周辺を約40分間にわたり徘徊

 テールランプがついていない1台のバイクが最初に防犯カメラに捉えられたのは、事件が起きる約1時間前の午前4時55分。

 近隣の防犯カメラが捉えた様子から、その軌跡を辿るとバイクは現場周辺を約40分間にわたり徘徊していました。

 最後に防犯カメラにバイクが映った9分後、事件は起きました。

「相当な計画性、緻密に現場の状況を見ている」

元刑事・小比類巻文隆さん

 なぜバイクは事件直前に現場周辺を行き来していたのか。元警視庁刑事の小比類巻文隆さんはこう分析します。

「そこに現れる被害者の出勤する時間帯を確認して、ある程度情報は得ていたと思うが、それが本当であるのかどうか自分で確かめるために相手の行動確認をしているということ。必ず敢行する、必ず成功させるという強い意志がみられます」

 さらに小比類巻さんは相手の行動確認だけでなく、自身の逃走経路の確認もかねている可能性もあると指摘。

「相当な計画性をもって、こういう行動に出ているんだと思う。かなり緻密に現場の状況を見ていて、逮捕に至るまでに時間がかかっていると、裁判でもこれだけ争点が争われているところを見ると、こういった計画が犯行に功を奏しているのは否めない」

バイクは京都府内で盗難されたもの

 有力な目撃者や物証が少ないこともあり、捜査機関は総力を上げてこのバイクを追跡。バイクは事件の約2カ月半前に京都府内で盗難されたものでした。

 警察が行方を追った不審なバイクは事件発生から約4カ月後、京都・山科区の集合住宅の駐輪場で発見されました。

 そのバイクのハンドルグリップ部分からはある成分が検出されます。それは銃を撃った人間がそのグリップを握ったことを示すものでした。

間接証拠のみでの審理 裁判所が下した判決は…

暴力団幹部に無罪判決

 捜査機関はこのバイクが犯行に使用されたものと特定。このバイクに田中被告が乗っていたとする検察に対し、当時被告は京都府内にいなかった可能性があるとする弁護側。

 裁判所が下した判決とは…

裁判長
「主文、被告人は無罪」

 無罪判決の理由―。裁判長は、現場付近の吸いがらは田中被告のものと認められるとした上で…

「別の真の実行犯が持ち込んだり、被告人が犯行とは別の機会に、具体的計画を知らされずに下見や被害者の行動確認等を行った際に、遺留したりした可能性を排斥できない」

 また、犯行に使用されたバイク。検察は、その盗難にも被告が間接的に関与したと主張しましたが…

裁判長
「(バイク盗について)被告人を実行犯と推認させるものと評価できるものでもない」

「予期せぬ判決で非常に落胆」大東さんの遺族がコメント

「予期せぬ判決で非常に落胆」大東さんの遺族がコメント

 無罪判決を受け、大東さんの遺族がコメントを発表しました。

「予期せぬ判決で非常に落胆しています。極めて不当な判決であり、検察庁には控訴をしていただくよう強く申し入れました。大阪高等裁判所で適切に審理され、納得できる判決が出ることを切に願います」

 京都地検は「判決内容を精査し、上級庁と協議のうえ、適切に対応したい」とコメント。

 判決後、田中被告もコメントを発表しました。

「裁判官の判決の言葉に溜飲が下がるとともに、この4年の垢が洗い流された気持ちになりました。検察も人間ですから、間違うこともあります。過ちは過ちとして、勇気を持って振り出しに戻って、過ちを正され、真犯人を追っていただきたい」

 事件から13年。大東さんは誰に命を奪われたのか。被告が吸ったとみられるたばこがなぜ現場付近にあったのか。そして、あのバイクに乗っていたのは誰なのか…。真相は依然、闇に包まれたままです。

(「newsおかえり」2026年10月16日放送分より)

最終更新:10/19 11:30

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる