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患者・医師ともに負担少ない新技術 iPS細胞で重症心不全の治療 実用化後初 患者女性は「すごく気持ちいい」

10/22 17:00 配信

「iPS細胞」。2006年に京都大学の山中伸弥教授らが初めて作製に成功し、万能細胞と呼ばれました。
 あれから20年が経ち、夢の万能細胞はついに現実の医療の新たな希望になりました。

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重症の心不全の移植手術に応用 実用化後は初

手術を受けた女性が語った思い

 重症の心不全に苦しんできた50代の女性は先月、iPS細胞で作られた心筋シートの移植手術を受けました。
 今年、厚生労働省の承認を受けて保険適用対象となったこの手術。女性は手術の実用化後、初めての患者となりました。

手術を終え、患者の女性らが会見し、すがすがしい思いと今後の希望を語りました。

患者女性
「やっぱり生きてる実感というか、なんかすごく気持ちいい心地いい感じでした。まず犬の散歩に行きたいです。思いっ切り走りたいです。先生方には本当に感謝しかありません」

(Q.今後手術を受けられる人が増えると考えられるが、実際に手術を受けられた立場から思うことは?)
「1時間くらいで終わる手術なので、体自体には負担がない手術です。不安は今のところはありません。(回復への)期待しかないです」

万博でも展示の「心筋シート」 貼り付けるだけの治療で心機能回復

大阪けいさつ病院 澤芳樹総長

 手術を執り行ったのは、大阪市内にある大阪けいさつ病院です。病院の澤芳樹総長が、取材に応じました。

 今回の手術に使われたのはiPS細胞由来の心筋シート「リハート」です。これは去年開かれた大阪・関西万博でも展示され、ピクピクと自律的に動く様子が大きな話題となりました。

澤芳樹総長
「万博で展示したようにものすごくダイナミックに動くにはちょっとした工夫がある。貼る時にあんなに動いていたら扱いが悪い。心臓の上でピクピクされては困る。実際には心筋シートの動きは肉眼では分からないといいます」

手術に臨むチーム

 心筋シートは直径3~4cmほどです。
(Q.この心筋シートに細胞はどれくらいあるのですか?)

澤総長
「3330万個。3枚で1億個になるように計算されている」
 
 この心筋シートを心筋梗塞などを患う虚血性心疾患の患者の心臓に貼ると3~6時間ほどで血管が生えてくるといいます。
 これまで、重症化すれば人工心臓や心臓移植しか選択肢はありませんでしたが、貼り付けるだけで弱った心機能が回復するということです。

澤総長
「心臓にメスを入れるということは全くなく治療をするので心臓への負担はゼロだと言っても間違いはない。これが私のこだわりなんですよ」

 切開する部分は5cmで済むため、術後の痛みが少ないといったメリットもあります。
 保険適用前に実施した臨床試験で手術を受けた8人は、全員が日常生活に戻れるほど状態が良くなっているということです。

(Q.手術時間はどれくらい?)
澤総長
「1時間ぐらいですね」

「病気になる前の生活に」患者女性が希望語る 総長からは今後の展望

会見に臨む澤総長ら

 iPS細胞から作られた心筋シート移植。今回、世界で初めて実用化手術を受けた女性が、会見で術後の経過を語りました。

患者女性
「術後1週間くらい経ってから深呼吸がすごく深くできるようになりました。それが1番初めの実感。(今後は)病気になる前の生活に戻したいです。例えばスキーに行ったり、海に行ったり、趣味を楽しみたいです」

澤総長ら医師は今後の治療への応用について語りました。
(Q.今、患者さんを横にして、この手術の今後の可能性を教えていただけますか)

澤総長
「限界を一つずつ越えていく意味では、重症心不全治療の新たな治療法の確立は大変重要。その重要なミッションを担えたらと強く思っています」

 また、澤総長は難しい手術ではないことも大きいと指摘します。澤総長は、自分ではない医師でも実施可能だといいます。大学附属病院のような大規模病院ではなく、地域の医療機関でも実施できる可能性があり、これまでよりも手軽に手術を受けられる可能性にもつながっているのです。

iPS細胞とは ほかの病気治療への広がり

iPS細胞とは

 iPS細胞は、皮膚や血液などの細胞を取り出して培養して作ります。作製した京都大学の山中伸弥教授は2012年にノーベル生理学医学賞を受賞しました。

皮膚や血液などの細胞を一度初期化し、心臓や神経など、様々な組織や臓器の細胞に変化できるようにしたものです。

 iPS細胞は、複数の分野で応用が見込まれます。
・パーキンソン病
・脊髄損傷:手足に不自由が残った人も治る可能性
・糖尿病:なかなか治らない病気への期待
・子宮頸がん:がんを攻撃する免疫細胞をiPS細胞から作り、投入して治療
 このうちパーキンソン病は今月中に1例目の手術が予定されています。

 iPS細胞の技術の応用は、医療の未来を開く一歩です。症例が増える中で経過を丁寧に追うことが、さらなる進化につながるといえそうです。

最終更新:10/22 21:23

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