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後を絶たないSNSでの誹謗中傷 “チャンネル登録者数100万人超”の動画で「詐欺師です」 中傷受けた男性は自ら命を絶っ事態に・・・ 遺族は「人間って言葉ひとつで殺せる」思い語る

10/31 07:00 配信

 あとを絶たないSNSでの誹謗中傷。

 チャンネル登録者数100万人を超える動画配信者がある1人の男性をターゲットに、「詐欺師」と迫った結果、男性は自ら命を絶ちました。

 男性の遺族はSNSの誹謗中傷に対し、「人間って言葉1つですよ、殺すの。簡単です。暴力も何もいらない。口だけでいいんです」と警鐘を鳴らします。

 なぜ男性は追い込まれたのか。遺族がABCテレビの取材に思いを語りました。

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金銭トラブルの中で・・・100万人超のYouTuberから「詐欺師です」

去年7月に亡くなった中野拓磨さん(当時36歳)

 京都市内で不動産業を営んでいた、中野拓磨さん。

 遺族などによりますと、中野さんは金銭トラブルで、一時役員を務めていた会社の会長に特別背任の疑いで刑事告訴されたということです。

 このトラブルをめぐり、拓磨さんをチャンネル登録者数100万人超のYouTuberが“糾弾する”動画が配信されました。

「詐欺師です」
「完全なる計画性を持った組織ぐるみの犯行」

 動画の中で拓磨さんは犯人扱いされ、誹謗中傷を受けることに・・・。拓磨さんは去年7月、自ら命を絶ちました。

中野さんの名誉を傷つけた疑いで逮捕されたのは「KENZO【新宿109】」として活動する男らだった

KENZO【新宿109】YouTubeチャンネルより

 この動画を投稿したのは、KENZO【新宿109】として活動し、チャンネル登録者数100万人を超えるYouTuber、池田実貴容疑者(28)です。

 池田容疑者は去年6月、拓磨さんを糾弾する動画を投稿し、名誉を傷つけた疑いが持たれています。

 さらに10月27日、動画編集を請け負っていたという多田圭佑容疑者(33)も名誉棄損の疑いで逮捕されました。

 2人は「弁護士と話し合ってから話す」と供述しているということです。

拓磨さんの母・中野さえ子さん(右)

 ABCテレビは中野さんの母、さえ子さんに話を伺うことができました。

 いま、さえ子さんは亡き夫と拓磨さんの写真に囲まれて過ごす日々を送っています。

 拓磨さんはバラの花が好きだったため、亡くなってからずっと、4日に1回バラを替え続けているといいます。

 取材の中でさえ子さんは、死亡した拓磨さんに「何があったのか」という真実を明らかにしたい、その思いと同時に、「なぜここまで人が追い込まれてしまうのか」という憤りも抱えていました。

亡くなった男性は「動画が反響がありすぎて、自分たちの主張もできなくなった」と言葉を残す

動画の内容について、さえ子さんは…「ひどかった」

 「詐欺師」などと拓磨さんが誹謗中傷を受けた動画の内容について、さえ子さんは「ひどかった」と話します。

中野さえ子さん
「ひどかったです。でも私から見ると、死ぬほどのこと・・・」
「(動画は)拓磨がやってないことを全部言っている。作られているから、これは大丈夫だ(と思っていた)」

拓磨さんが亡くなる前に撮影した動画(遺族代理人 提供)

 拓磨さんは亡くなる前に撮影した動画の中で、「名誉を毀損された」と語っていました。

拓磨さん
「今回、KENZOさん(池田容疑者)があげた動画が、反響がありすぎてですね、自分たちの主張もできなくなった」
「悪いことをしたのか、していないのかもわからない。それを印象操作する動画をあげて、人って簡単に死ぬし」

 さえ子さんは拓磨さんの遺書に書かれていた「この家族に生まれて幸せだった。この家族でよかった」 「恥ずかしいことは何もしてないから、信じてください」という言葉が印象に残っているといいます。

 そして「私はそれを信じるだけ」と話します。

遺族は「(トラブルの)両方からきちんと話を聞いたものを出してほしかった」動画配信者に思うこと

 さえ子さんは、拓磨さんが亡くなったことと動画の拡散は、深くつながっているのかについて、「あの動画がなければ、これだけの問題にはならなかったと思う」と話しました。

 そして、池田容疑者については「どうせだったら、どうせ撮るんだったら、両方からきちんと話を聞いたものを出してほしかった」と訴えます。

 さえ子さんは15日、池田容疑者と、動画の制作を指示したとする岡山市の不動産会社の役員らを相手取り、約2億3000万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴しました。

 ただ、「お金なんていらない」「何があったかを知りたい」と話しています。

「意味のない命なんてねえな」自殺しようとする人のために歌を作っていた息子 なぜ追い込まれてしまったのか 

20歳のときに父親を亡くした拓磨さん

 拓磨さんは20歳のときに父親を亡くしました。優しい人で、小さいころから友達の悪口を言わず、周りには笑顔があふれていたそうです。

 さらに拓磨さんは11年前、自殺しようとする人たちのために歌を作っていました。

 さえ子さんは「拓磨は一生懸命、助けようとしてたんだなというのがよく分かります」と話します。

 曲には「聞こえたんだよ、確かにその命が」「意味のない命なんてねえな」という歌詞が並んでいます。

拓磨さんはなぜ死を選んだのか…さえ子さんは「私で最後にしたいという思いがあったんじゃないか」

 そんな拓磨さんが自ら命を絶つほど追い込まれてしまったことについて・・・。

さえ子さん
「人間って言葉1つですよ、殺すの。簡単です。暴力も何もいらない。口だけでいいんです」

 元気だったころの思い出もあります。ある夜、拓磨さんは「お袋は信用せんやろうけど、俺すごいマザコンなんやで」と、自分のことを打ち明けてくれたそうです。

 さえ子さんは拓磨さんに「嫌われているのかも」と感じていましたが、のちに周りに聞いた話では、何かあるとすぐ「お袋が」と話していたことを知ったそうです。

 拓磨さんが、なぜ死を選んだのか。さえ子さんは「私で最後にしたいという思いがあったんじゃないか」と考えています。

 こうした事態があると知らしめるために、息子は死を選んだのではないか。涙を流しながらの言葉でした。

「見ない、広めない、加わらない」正義のつもりでも加害者に

SNS中傷 なぜ過熱するのか

 ネット上の誹謗中傷に関する相談件数は、2021年と比較しても増加の一途をたどっています。

 これは「相談できた人」の数で、他にも、相談することができず、“こらえ続けている人”もいる可能性があります。
 
 国際大学の山口真一教授によりますと、ネット上での誹謗中傷は、大勢の第三者が短時間で加われることで、罰の重さを誰も決めないまま、さらには真実かどうかも分からないまま、制裁が過剰になってしまいかねない問題があるということです。

 「正義のつもり」で加わった人も加害者になり得るため、「見ない、広めない、加わらない」ことが大切だと山口教授は話します。

 簡単なスマートフォンなどの操作で、よかれと思って「リポスト」したことが、誰かに重くのしかかり、苦しめている可能性を考えなければいけないのかもしれません。

※ 厚生労働省は、悩みを抱えている人に相談窓口の利用を呼び掛けています。どうか1人で悩みなどを抱え込まず、「こころの健康相談統一ダイヤル」や「いのちの電話」などに相談してください。  

こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
(相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります)

いのちの電話:0570-783-556
(午前10時~午後10時)

(『newsおかえり』10月29日放送より)

最終更新:10/31 07:00

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