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2014年11月30日(前編)放送・2015年1月11日(後編)放送

床下から潜望鏡が覗く家

この物件が抱える問題

  • ■築50年で、立川談志さんが世を去って以降、人が住んでいない家は老朽化が進んでいる
  • ■庭の桜の木の下に、談志さんの遺言により散骨をしたので、桜への思い入れは強い
  • ■湿気がひどく、1階の床のあちこちにカビが発生している
  • ■談志さん愛用の着物にもカビが生えてしまっている
  • ■床下の湿気を抜くために、パイプを床下換気口としてつけているにもかかわらず、床は湿気ている
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

自然素材の伝道師 瀬野和広

一番の懸念事項は家の足回りの腐食。低い床が原因の湿気対策は必要不可欠。
師匠の家を弟子が受け継がれるので、十分に尊重しいい意味で継承できるようにしたい。

現場検証 問題解決のために必要なリフォームは…?

師匠ゆかりの桜を守るために

画像:床下から潜望鏡が覗く家

まずは解体、かと思いきや匠が、樹木医を現場に連れてきました。
リフォームを始める前に桜の木の健康状態を診断します。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

昔切った枝の切り方が良くなかったため、枯れこんでしまっている部分はあるものの、幹はたたくと固い音がするため、問題はありませんでした。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

根元の土が固いため、根が上に浮いており、地面に太い根がはっている。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

枝が茂っていて、下の方に枯れ枝がいくつかあり、枯れた枝にはキノコが生えている。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

早速、枝が茂り、枯れ枝も見られた桜の木の南側の剪定が始まりました。
枝を切り落とした断面には、桜を枯らす菌が入らないように、コーティングする薬も塗られました。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

地表に張り出していた根は、ポリエチレンシートと足場で囲まれ、根を踏んだり、つまずく危険のない動線が出来ました。
桜の根の保護対策を済ませ、ようやく解体作業が始まります。

露わになる家の歴史

画像:床下から潜望鏡が覗く家

解体で明かされる、この家の知られざる過去。
木造なのにブロックの壁…

画像:床下から潜望鏡が覗く家

そして、至る所から現れる鉄骨のフレーム…
それはなんと天井裏にまで。思いもよらぬ事態に匠も大混乱。

画像:床下から潜望鏡が覗く家

匠「わかった。謎が解けたひとつ。これ元々家じゃない、全部」
匠が解いた謎。この家の不思議な構造の秘密とは果たして…?

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

情緒と風情が活かされた外観
重くて開けるのに一苦労だった鉄の門扉は、開閉が楽な跳ね上げ式を採用しました。
人の出入りは、駐車場横の軽い木の扉からになりました。

門から玄関まで7メートルのアプローチは、夜になると、玄関まわりの照明だけでなくグレーチングの隙間からの明かりが足下を照らし安心して歩けます。



足下灯は、かつて潜望鏡のように外壁周りに顔を出していた換気口のパイプを再利用しています。




江戸の町を作った建材である「天竜杉」を使った外壁は、杉皮を張ったり、屋根のように板を重ねて張ったり特徴的な仕上がりに。
天竜杉を使うことで、江戸の文化である落語を継承する家に、江戸の街の情緒を醸し出したいと「匠」が考えました。


玄関は以前と同じ場所ですが、かつての勝手口は談志さんの書斎へつながる専用の入口へと姿を変えました。
画像: 匠のアイデア
師匠の想い出をそのままに
机の上もそのまま再現しました。もちろん、談志さんが書いた泥棒さんへの手紙も。


湿気がこもり、カビがひどかった資料庫は、使えるラックは再利用しながら、大切な資料がカビに蝕まれないよう断熱材と全館空調の最新技術によって湿気対策を万全にしました。


冷蔵庫とミニキッチンの奥には、新たに架けられた第2階段。
壁を飾る、談志さんの懐かしい写真を見ながら2階へ上がれます。



カビだらけになっていた談志さんの写真パネルは、デジタル加工で元々の綺麗な状態に復元。
その下のショーケースに並ぶ古い貴重な資料も、表具師の技で修復されたもの。
100年近く前の、シミだらけでヨレヨレの演目帳がシミを落とし、裏打ちをしてハリを与えることで見違えるほどきれいになりました。

様々な品で満たされた資料室の奥には、飾り切れない品や舞台衣裳を保管するための4畳の納戸も。
衣裳のカビもきれいに取って、再び箪笥へ戻しました。
全館空調で湿度を管理しているので、カビとは無縁です。

納戸から天井裏へ延びる梯子は、これまで一切使われていなかった傾斜の深い、切り妻屋根の大きな屋根裏空間へつながります。
屋根裏に床板を張り、両サイドに棚をしつらえ、まだまだ沢山ある書物や資料を段ボール箱に詰めたまま保管できる10帖の屋根裏収納を作ったのです。
画像: 匠のアイデア
桜を身近に感じる書斎
机の横に設けられたピクチャーウインドウは、まさに1枚の絵画のような眺め。 春には、満開の桜の絵が楽しめます。

桜の庭に面した東側の漆喰壁には、剪定した庭の桜の枝を粉砕した粉が混ぜ込まれています。
さらに、漆喰壁の色付けは、剪定した桜の小枝を18時間あまりじっくりと煮込んだ液体を吹き付けました。
画像: 匠のアイデア
光をふんだんに取り入れた住居スペース
書斎を出て、廊下と中央階段を挟んだ西側にあるのが家族の住居スペース。
トイレの脇の引き戸の先にある衣裳部屋を抜ければ住居スペースからも資料室へ行き来できます。

二面採光の明るい個室は、娘さんが大きくなったら子供部屋に利用できます。




夫婦の寝室は、南西の角部屋で日当たりもいい暖かな空間。
壁には、衣裳持ちの夫婦でも十分な大容量の収納を2面用意。
家族の荷物がたっぷりと収まります。


廊下の南面には大きな開口を取り暗くなりがちな内廊下に明るい日差しを呼び込みます。
窓の外には、以前は無かった物干し場を作りました。
画像: 匠のアイデア
本格的な稽古もできる空間
立川流の紋を彫った建具の後ろに納戸を設え、座布団や座卓などが仕舞えます。


さらに納戸の下の台を引き出すと高座に。
本番さながらの稽古ができます。





鴨居の上には、談志さんを筆頭にずらりと並べられた立川流一門の名入りの木札。
歌舞伎文字や相撲字と並ぶ江戸文字の一種、寄席文字で書かれています。
画像: 匠のアイデア
大人数でも余裕のあるLDK
前座部屋からつながる家族の空間はかつての台所裏の風呂場や衣裳部屋の一部まで広がった20畳のLDKに。
お弟子さんが居る時もゆったりと過ごせます。

リビングダイニングを見渡す対面式キッチンには、大容量の収納が。
皆が集まる時にはたくさんの食器が要りますがこの収納量なら、なんの問題もありません。


元からある階段下収納も残しました。
食品庫や日用品の収納に役立ちます。





かつて湿気が多く、カビだらけになっていた、1階北側の衣装部屋があった場所に新たに水回りを集約。
足に心地よい杉のフローリングの床が段差なく、洗面所、浴室へ続きます。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
埼玉県和光市 株式会社 田中工務店
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