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2015年8月2日放送

土間に橋を架ける家

この物件が抱える問題

  • ■コの字型の隣家の真ん中に家があり、壁は密接している
  • ■玄関前の道が舗装され敷地より高い為、雨が降ると側溝からあふれた雨水が玄関に。土間に流れ込む前にマンホールのフタを外し、雨水を放出しなくてはいけない
  • ■無駄に広いコンクリート土間が、生活動線を分断
  • ■土間にトイレがあり、杖が必要なお父さんは部屋と土間の間にすのこを渡し、段差を越えなくてはいけない
  • ■土間の奥にむきだしのユニットバスが設置されていて、壁が薄く冬場の入浴は極寒
  • ■小さな板を脱衣所代わりにし、服の置き場もなく浴室で着替えている
  • ■土間から浴室に上がるには30cmの段差があり、高さ62cmの浴槽には手すりもない為、足の悪いお父さんは家でお風呂に入れない
  • ■隣家に囲まれ日当たりが悪い庭。日が当たるよう、長い竿でハンガーをひっかけ、物干し竿ではなくその上にある雨樋に洗濯物を干している
  • ■三方を囲まれている為、窓が少なく昼間でも日が入らず、一日中電気はつけっぱなし。隣家と壁を共有する南面には一切窓がなく、電気を消すと真っ暗
  • ■部屋が建具に仕切られ、手すりをつける壁がない
  • ■夜7時に就寝するお父さんの部屋は通れないので、2階にあがるには土間を通って移動している
  • ■傾斜角50度の急な階段には、手すりがない
  • ■2階の天井が低く、梁や天井に頭がぶつかる
  • 写真:サムネイル
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

古の技の継承者 石井和浩

敷地がコの字型に隣家に囲まれ直射日光が入りにくく、雨水が溜まり易いという木造建築の欠点である湿気の解消が必須。
明治時代の伝統的工法の良さを残しつつ、親子共々使い勝手の良い家にしたい。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

住む人にやさしいエントランス
再生した地棟梁はこの家のシンボル。地棟飾りのガラス越しに顔を出します。


東に向きを変えた玄関は、家でも杖が手放せなかったお父さんのために両側に手摺りのある緩やかなスロープを備えました。




スロープから玄関へは段差もなく一直線。
靴の脱ぎ履きが楽なベンチもあります。下駄箱の建具の葦戸は通気性がよく、湿気やニオイがこもりません。
画像: 匠のアイデア
家の中心となるダイニングキッチン
土間を無くし、移動が楽になった家の中央にはダイニングキッチンが配置されました。


ダイニングテーブルの上の照明は娘さんが作った瓶手毬を使ったオリジナル。





天窓とハイサイドライトのある吹き抜けが、かつて昼でも真っ暗だった家の中に光を取り込みます。





日差しが強い日や、冷暖房効率を高めたい時はスライド式の透過性の建具で仕切ることも出来ます。





対面式のシステムキッチンは、調理スペースも収納もたっぷり。
床下収納から収納棚、頭上の吊戸棚に至るまで食器や調理器具がたくさん仕舞え、使い勝手も抜群です。


キッチンの裏は、家族待望の広い洗面脱衣所と風呂場。
3枚引き戸なので車椅子や介護にも対応できます。
画像: 匠のアイデア
生まれ変わった庭
ダイニングの東側、庭に面した場所には仏間を併設。定期的に来てもらうお坊さんがわざわざ玄関から回ってこなくても外から直接、出入りできる動線を作りました。

新たにウッドデッキを作った庭へも直接、出入りすることが出来ます。
デッキの奥には、今回降ろした瓦や束石を利用した坪庭を造り元からあった柿の木は剪定して残しました。

匠オリジナルの物干し台は、おもりでバランスを取るので濡れて重い洗濯物も楽に上げ下げ可能。
高い所に洗濯物を干しておけるので、もう日差しを追いかけ洗濯物を移動する手間は要りません。
画像: 匠のアイデア
両親の生活を考えた個室
東側のダイニングと、西側の家族の個室スペースを間仕切る葦戸の先、両親それぞれの部屋から近い場所にトイレを備えました。


1階に降り注ぐ光は、階段を上がった先の壁に取り付けられた窓からのもの。
踊り場の床に透過性の高いハニカムパネルを使い、トイレにも光を取り入れました。


トイレの北側の部屋は路地に面した窓のある、5畳半のお母さんの部屋。
窓の外には、大切に育てている鉢植えが並べられ部屋からそれを眺められるだけでなく水やりや簡単な世話もできます。


お隣と接する壁面を収納にすることで防音効果も。






お父さんの部屋に落ちる光は、2階の天井に開けた天窓から届いているもの。
ちょうどその真下に位置する遮光用の大きな建具を開けば2階の天窓から入る光が1階まで落ちてくるという仕掛けです。


壁際にはぐるりと手摺りを取り付け、そこを伝い歩きすれば廊下に出ることなく、直接、トイレに行けます。





収納の建具の戸を閉めている時に壁面の板を倒しておけば手摺りとして使えます。
その手摺りは直接、洗面脱衣所へ導きます。
画像: 匠のアイデア
解放感がうまれた2階
天井が低い壁際には低くても奥行きのある収納を置き寝具を入れる押入れ代わりに使います。


かつてはただの小屋裏だった2階の東側に新たに4畳分の空間を作り、手前をワークスペース、奥をクローゼットに。




娘さんの要望に応え、趣味の瓶手毬を作る際いちいち道具や毬を出したり仕舞ったりせず広げておけるスペースを作りました。




客間には布団を仕舞える押入れもあります。
障子を開くと、天窓と窓のあいた空間。その床はファイバーグレーチングで作られ1階のお父さんの部屋へ光を落とします。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
滋賀県蒲生郡 (株)ヤマタケ創建
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