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「箱屋常吉」 笹井雅生さん

20201031日(土) 午前11時

木の文化と魅力を発信する「箱屋」5代目の挑戦

「箱屋常吉」 笹井雅生さん

明治元年。大阪・江戸堀で一人の職人が「木箱」の商いを始めました。有名料亭の料理箱や、京都都踊りの弁当箱などを手がけ、屋号は“箱屋の常吉”「箱常」です。最大の特徴は「角丸」。角型が主流だった時代に初代が考案、木箱に華やかさと柔らかさを添えた弁当箱の形です

その職人の技を再現したのが5代目の笹井雅生さん。
東大阪市の工場から生まれる看板商品が、国産の天然杉を使って、使い込むほどに味わいが増す「おひつのようなお弁当箱」です。 サイズも形も様々。百貨店の催事などでも話題の商品。

笹井さんは1968年大阪・阿倍野生まれ。家業を継ぐつもりはなく、大学を卒業後はパイロットを目指しアメリカへ。しかし、夢叶わず複数の職に携わるうち、母が病で倒れたことをきっかけに実家へ。当時、安価な中国製品に押され箱常は廃業の危機でした。笹井さんはアルバイトをしながら家業を立て直し、現在の「箱屋常吉」への道を開きました。

多忙な日々の中、新製品開発にも熱心に取り組み、木で作ったハンドバッグや、豆行灯、木のスピーカーなど次々に新作を送り出してきました。

この秋は百貨店の催事のために、瓢箪柄の象嵌がほどこされた新製品を考案。瓢箪の部分が取り外せて箸置きにもなるという精巧な逸品が完成しました。

家業を次の時代へつなぐ、5代目の挑戦に密着しました。

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箱屋 常吉
概要樹齢100年以上の木材を使ったお弁当箱を作る
住所東大阪市渋川町
備考木のお弁当箱 長方形お弁当箱 6,600円~
木のバッグ 50,000円~(受注生産)
スピーカー 110,000円(受注生産)
新作「松花堂」(箸置き付き) 20,900円

お問い合わせは http://tsunekichi.net まで
髙島屋 大阪店での催事は11月3日(火)まで
源氏物語
概要健康のために調理された食事を楽しめる薬膳カフェ
住所奈良県桜井市初瀬1059
備考info@yamatoyakuzen.com

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佐々木萌水さん 京都市

202575日(土) 午前11時

川底から宝物を探す漆作家

佐々木萌水さん 京都市

よく見るとガラス玉が埋め込まれていたり、様々な模様が散りばめられていたりする独創的な見た目の器たち。実は川で拾った様々な陶器のカケラを漆の力で継ぎ合わせて、一つの器に仕上げた作品なんです。川の清掃活動から作品づくりを始めるのが、京都で活躍する漆作家の佐々木萌水さん。

京都市内の中心部を北から南に流れる、高瀬川。江戸時代初期に運河として造られた水深、数十センチの浅い川です。この川の川底には、江戸時代から昭和中期にかけて捨てられた陶器のカケラが眠っていました。萌水さんは高瀬川を掃除しながら、そのカケラを拾い集めているのです。

カケラを繋ぎ合わせるのは漆の力と、萌水さんオリジナルの技法「羊毛乾漆」。イメージする器に足りない部分を、漆をたっぷり吸ったフェルトで補います。隙間を漆で接着するのは、金継ぎと同じ要領。様々なカケラを一つの器にしていきます。

漆を学ぶきっかけになったのは、祖母とのやりとり。持っていた漆塗りの茶器の柄がズレていたのが気になって祖母に聞くと「これは機械で絵付けしてるから、出力した時にズレたのよ」。機械で作る割に完璧じゃないなら、人の手でやればもっと良いものが出来るのではと考え、京都市立芸術大学、そして大学院に進学し、本格的に漆を学びます。

漆という材料が持つ魅力を、もっと多くの人に広めたい。萌水さんは漆教室の活動も精力的に行っています。この日、漆教室の受講生を連れて向かったのは、1909年創業の老舗漆店です。漆がどのように製造されているのか、見学ツアーを企画しました。

京都市立芸術大学のキャンパス内にも流れる高瀬川の環境を整備するにあたり、ホタルを育てる活動が始まっていました。成虫が上がってきやすいよう砂利を敷いたりと、地道な作業が実って、光を灯し始めたホタルたち。新しく生まれた高瀬川の風景を萌水さんは新たな作品のモチーフにします。さて、どんな作品が生まれたのでしょうか。

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