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「昇六」 下田正人さん

20191130日(土) 午前11時

浪速の食い味を追求! ミシュラン星獲得でも話題の割烹新店

「昇六」 下田正人さん

最初の一口目から食べ終わりまで、ずっと美味しさが続く。そんな深みを持った味わいを「浪速の喰い味」と言います。そんな、大阪らしいの「食い味」を提供する店、「昇六」が今年オープンしました。店主は気鋭の若き料理人・下田正人さん。支えるのは、かつてミナミで人気の割烹「㐂川 昇六」を営んでいた父・昇さんです。

昇さんは、浪速割烹の名店として知られる「㐂川」の出身。名料理人の父の元に生まれた正人さんは、一旦専門学校でデザインを学び、その後料理の道へ。息子のために修行先を探した昇さん、「できるだけ厳しい店を」と、三条木屋町のお店「藤や」へ修業に出しました。修業は厳しく、100kgあった正人さんの体重は3カ月で60kgになったとか。その後神戸の割烹でさらに7年間の修業を積み、今年3月、満を持して独立開業を成し遂げました。父の屋号を受け継いで開いた正人さんの店。新旧の浪速の味の融合が大きな魅力になっています。

開業以来、休みらしい休みもない中、正人さんは出張料理を引き受ける等、日々さらなる高みを目指して挑戦を続け、情報を収集し、新たな料理を生み出し続けています。

そんな新店を料理界が放っておくわけもなく、この秋、オープン半年にしてミシュラン一つ星獲得のニュースがもたらされました。嬉しい知らせの記念に、正人さんは父への恩返しの思いも込めて、特別なメニューを考えていました。それは、かつての父の店「㐂川 昇六」の味だけを再現したコース料理。父を客席に迎え、腕を振るう正人さん。息子の手による自分の料理を食べた昇さん、美味しいと顔をほころばせていました。

「大阪の食い味」を追求する親子の割烹に密着しました。

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昇六
概要今回の主人公・下田正人さんが腕をふるう日本料理店。関西に伝わる大阪の食い味にこだわり、瞬く間に人気店に。今回、ミシュランガイドで星ひとつの評価を受け掲載された。
住所大阪市西区靭本町1-16-18
電話番号06-6443-1088
営業時間昼11:30~ 夜17:30~ ※要予約
定休日不定休
備考昼5,000円(税別)/夜8,000円(税・サ別)から

<インスタグラム>
https://www.instagram.com/syouroku.sh/
玄斎
概要下田さんが7年間修業した神戸の割烹料理店。浪速割烹の名店「喜(※「喜」は「七」が三つ)川」の先代店主の息子、上野直哉さんが腕を振るっている。
住所神戸市中央区中山手通4-16-14
電話番号078-221-8851
営業時間昼12:00~14:00 夜18:00~22:30
定休日月曜
備考昼6,000円(税別)から/夜13,000円(税別)から

<フェイスブック>
https://www.facebook.com/kobegensai/

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

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浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

2025524日(土) 午前11時

最後の京瓦職人

浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

京都市伏見区。この地で110年以上、瓦を作り続けている『浅田製瓦工場』。現在、京都でただ一人、「京瓦」を製造しているのが、三代目の浅田晶久さん。「京瓦」の神髄は「磨き」と呼ばれる技法。金属のヘラで丁寧に磨き上げ、重厚な光沢と深い鈍色の風合いを持たせる伝統の技術です。浅田さんの手掛けた瓦は、歴史ある寺社や建物の屋根を飾っています。

そんな「京瓦」も、時代と共に需要が激減。かつて京都に十数軒あった瓦工場は、今やここだけ。後継者もおらず、厳しい状況が続いています。「それでも後に残していかなあかん」。伝統を次の世代へ繋げたい。喜寿を目前にしても、休むことなく「京瓦」の可能性と未来への道を追求する浅田さん。しかし今、ある大きな決断を迫られていました。

先月、開幕した大阪・関西万博。「関西パビリオン」の中の京都ゾーンの床と壁を覆う素材として使われたのが「京瓦」です。瓦製作を監修したのが、浅田さん。オファーしたのは、空間デザインを担当した彫刻家の名和晃平さんです。「京瓦のおかげで、ここは静謐な空間になりました」。

浅田さん、屋根がダメなら床や壁にと、京瓦の未来のために、新たな可能性に挑みます。「これ、アインシュタイン・タイルといって、床に敷く」。不思議な形の13角形。早速、デザイン会社から発注がありました。その枚数、1840枚。一枚一枚、想いを込めて仕上げていきます。納品するのは東京都内のオフィス。さて、どんな空間になったでしょう。

切なる思いで、京瓦を残す道と、後継者を探し続けてきた浅田さん。しかし経営は厳しく、人材の採用すらままならないのが現実です。そこで昨年12月、大きな決断に踏み切りました。それは114年の歴史を持つ『浅田製瓦工場』の経営権の譲渡。

同じ未来を見据え、経営権の譲渡にむけて共に歩んできたのは、息子の憲和さんです。憲和さんが2年以上かけて探したのが、京都指定伝統工芸品の「事業再生と企画運営」を行う会社でした。しかし新体制に向けての大切なミーティングで、親子は激突します。心の整理がつかない父親の姿勢を見て、憲和さんがぶち切れました。「何が残したいや!全部自分で潰してるやんけ!必死やねんこっちは!」

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