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「油長酒造 13代目」 山本長兵衛さん

2019127日(土) 午前11時

300年続く蔵元の挑戦! 奈良発のクラフトジン

「油長酒造 13代目」 山本長兵衛さん

奈良県御所市の中心部、「御所まち」は伝統的な古い町並みが残るエリア。そんな町の一角に、今年で300年を迎えた蔵元「油長酒造」があります。蔵主は13代目の山本長兵衛さんです。「油長酒造」の代表銘柄は「風の森」。口の中に広がる微発泡感が特徴で、現代的な味わいで入手困難なお酒として知られています。

子供の頃からいずれは家業を継ぐと考えていた山本さん。大学卒業後は百貨店勤務を経て、酒の流通やバイヤーの仕事を学ぶためにイギリスに留学。帰国後に家業に携わり、今年、13代目を継ぎました。

そんな山本さんは2017年の初めに新たなプロジェクトを設立。それが、「油長酒造」の向かいに建つ「大和蒸留所」。ここで造られるのは、奈良に古くから伝わるボタニカルを使ったクラフトジンです。もともと薬用として誕生したジンは、ボタニカルのジュニパーベリーやセイヨウネズの実で香りづけするのが最大の特徴。そこで山本さんは、奈良発のジンは奈良の素材を使いたいと、奈良に古くから伝わる2つのボタニカル「大和橘」と「大和当帰」に着目しました。

様々な試行錯誤を経て、2018年の9月に完成したクラフトジンは「KIKKA GIN」と命名。ジュニパーベリーに大和橘と大和当帰を加えたジンは、華やかで深みのある香りと味わいが印象的です。そんな「KIKKA GIN」のはじまりは、山本さんと日本を代表する名バーテンダーとの出会いがきっかけでした。

蒸留所が本格始動してちょうど1年。そこで、毎年11月に御所まち一帯で開催される「御所まち霜月祭」で、「KIKKA GIN」をお披露目することになりました。お客さんたちの反応に「KIKKA GIN」の可能性を感じ取った山本さんは新たな挑戦を決意しました。
それは、イギリスで開催されるコンペティションへの挑戦。酒類の品質を競う「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」は、毎年、世界各国から多種多様な酒類がエントリーする酒類品評会です。エントリーするジン造りに取り掛かる山本さん。
出品する新作には、大和当帰の花を加え印象的なジンが出来上がりました。世界の評価はどうなるでしょうか?結果が出るのは来年の夏となります。

奈良に伝わる香りで世界へ挑む、老舗の蔵主に密着しました。

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油長酒造
概要今年創業300周年を迎えた奈良県御所市の老舗酒蔵。山本長兵衛さんが13代目蔵主を務める。代表銘柄は、無濾過無加水、火入れなしの生原酒「風の森」。
住所〒639-2200 奈良県御所市1160番地
電話番号0745-62-2047
大和蒸溜所
概要油長酒造初のジン製造部門。大和橘、大和当帰などをボタニカルに使用した奈良発のクラフトジン「KIKKA GIN」を造っている。
住所油長酒造のはす向かいにある古民家
電話番号油長酒造と同じ
備考KIKKA GIN 5,500円(税込)
THE SAILING BAR
概要KIKKA GINを取り扱うバー。国際大会で数々の賞を受賞している世界トップクラスのバーテンダー、渡邉匠さんがオーナー。
住所〒633-0065 奈良県桜井市吉備564-3 SHRビル5F
電話番号0744-49-0040
営業時間18:00~25:30(ラストオーダー)
定休日12月31日、1月1日、2日、3日

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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