今年の6月、大阪の北新地にオープンした「リストランテ・ピノッキオ」はカウンター11席だけの隠れ家的レストラン。腕を振るうのは、フレンチからイタリアンまで、世界の名店で修行を重ね、関西の美食家たちを唸らせる中山裕朗シェフだ。
中山さんが作るのは、イタリアンにフレンチの技法も取り入れた「五感で楽しむフュージョン料理」。メニューは月替わりのおまかせコースのみだが、どの皿も食材の組み合わせが多彩で、想像を超える美味しさだと大評判。なかでも、大分県産の濃厚な玉子を使ったパスタ料理「龍の玉子の濃厚カルボナーラ」は大好評の定番の皿だ。
もともとはフレンチの出身で、神戸の伝説の名店「ジャン・ムーラン」で料理人人生をスタート。その後、東京の「帝国ホテル」でフレンチの巨匠、村上信夫シェフのもとで6年間、伝統的なフレンチを学んだ。さらに、本場フランスの名店で腕を磨き、帰国後は日本を代表する名店で研鑽を重ねた中山さん。それから料理の道を究めようと、イタリアンに転身。日本とイタリアの名店を渡り歩き、修行に明け暮れた。そんな料理の探求者・料理バカともいえる中山さんが開いた自分の店が「リストランテ・ピノッキオ」だ。
「どうすれば美味しい料理が作れるかを、1年365日、ずっと考えている」という中山さん。休日は、暇さえあれば料理の本を読み、食べ歩きに出かける。
話題の店があると聞けば足を運ばないと気が済まないそう。今回向かったのはお寿司屋さん。そこで使われていた「昆布」が気になり、10月のメニューに昆布を取り入れたいと考えた中山さん。西天満にある昆布店を訪ね、「全ての皿に昆布を使った」フルコースの試作を開始した。
さらに、それに合う野菜を求め、岡山県の牛窓にある野菜農家へ。
そこで出会った美味しくて、珍しくて、美しい野菜を使って昆布を使ったフルコースを完成させる。