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『島安汎工芸製作所』 漆器職人 島圭佑さん

2021515日(土) 午前11時

現代の生活に合う“新しい漆器”を!

『島安汎工芸製作所』 漆器職人 島圭佑さん

熊野古道が南北に走り、いにしえの時代から交通の要衝である和歌山・海南。ここは漆塗りの一大産地として知られ、漆器の工房が多く集まる街です。 和歌山が誇る漆塗りは「紀州漆器」と呼ばれ、日本四大漆器のひとつに数えられます。

創業大正5年、漆塗り工房「島安汎工芸製作所」。ここに「おしゃれな器をつくる」と評判の職人がいます。それが五代目となる島圭佑さん。業界では若手の島さんですが、企画力と技術力の高さで、一気に頭角をあらわしました。島安汎工芸製作所の2階にしつらえられたショールームには、伝統的な漆塗りから、白やピンクなどポップな色調の食器やインテリア、オブジェがずらりと並んでいます。

商品は、“ナチュラル・インテリア”がコンセプト。カジュアルに普段使いしてもらえるようなものを目指してつくられています。

幼い頃からものづくりが大好きだった島さん。2008年、京都嵯峨芸術大学短期大学部にてプロダクトデザインを専攻、その後、石川県山中にある「挽物轆轤(ひきものろくろ)技術研修所」で学びます。挽物轆轤とは、ろくろで挽いてつくった漆器や細工物のこと。2015年和歌山県に帰郷し、代々続く「島安汎工芸製作所」に入社。以後、身につけた技術を活かし商品の開発・制作に携わっています。

「漆塗りの魅力を広く伝えたい」と同じ海南にある「橋本漆芸」「山家漆器」「中西工芸」の若手たちと2015年に生産者集団「KISHU+(キシュウプラス)」というブランドを結成した島さん。斬新な製品を生み出し続ける気鋭の職人に密着しました。

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島安汎工芸製作所
概要創業大正5年の老舗紀州漆器メーカー。重箱などの伝統的な紀州漆器に加え、新しいデザインや色の漆器など人気を集めている。
住所和歌山県海南市大野中507-1
電話番号073-482-3361
備考ネットでの購入可。
https://www.uruwashi-urushi.com/
紀州漆器伝統産業会館 うるわし館
概要紀州漆器の展示や即売コーナーなど、漆器に関する情報や魅力を発信。
住所和歌山県海南市船尾222
電話番号073-482-0322
営業時間午前10時~午後4時30分
定休日お盆・年末・年始
備考入場無料
鰻 心艶(しえん)
概要地元で人気の鰻専門の割烹。2021年5月に移転リニューアルオープン。番組で紹介した島圭佑さん作の重箱と長皿で鰻がいただけます。
住所和歌山市北ノ新地田町5-1 1F
電話番号073-402-3951
営業時間日曜

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網野篤子さん 京都市

2025712日(土) 午前11時

ガラス細工で作るリアルな金魚

網野篤子さん 京都市

ガラス工芸の博物館で開催されていた「超絶技巧 硝子展」。ここで注目を浴びたガラス細工が…夏の風物詩、金魚。細部まで再現されたガラス細工の金魚は、まるで生きているような躍動感があります。まさに「超絶技巧」。この金魚の作品を作っているのが、ガラス作家の網野篤子さん。彼女が金魚をガラスで表現する理由、それは「金魚が大好きだから」。

京都の深泥池のほとりに、この地で生まれ育った網野さんのアトリエがあります。網野さんはバーナーワークという技法で、色ガラス棒を素材に20年以上、金魚を作っています。とにかくリアル。本物と比べてみても、その再現性に驚かされます。品種ごとに異なるシルエットや、ヒレの微細な特徴まで、見事に再現されています。では、その作品制作を見せてもらいましょう。

様々な色のガラス棒をバーナーで溶かして形にしてゆきます。溶けたガラスが垂れぬようつねに回転させ、温度を均一に保ちます。温度差ができると、ガラスが割れてしまうので、この調節がとても難しい。ガラスを継ぎ足し、先の細いピンセットでひれの膜を作り、尻びれ、尾ひれと、様々な器具を駆使して、本物に近づけてゆくのです。時には金箔や銀箔を使うことも。

網野さんは、ガラスの金魚を美しく仕上げるため、日々、研究を重ねています。やって来たのは、金魚の一大生産地・大和郡山。養殖のプロの話を聞き、様々な種類の金魚を見て、創作の源にしています。今日のお目当ては「大阪らんちゅう」。江戸時代から大阪を中心に、広く飼われた品種で、太平洋戦争の時代に絶滅の憂き目に遭いました。近年、愛好家たちが力を尽くし、見事、復活したそうです。網野さんのガラス細工で表現した「大阪らんちゅう」とは?

この日、網野さんに東京での展示会のオファーが舞い込みました。そこで新作を披露することにしたのです。挑戦するのは「ピンポンパール」という金魚。その名のとおり、まるでピンポン玉のように金魚です。網野さんはピンポンパール専門店を訪ね、じっくり見学して、創作のヒントを得ました。初めて表現する「ピンポンパール」、はたして納得のいくガラス細工に仕上がるのでしょうか。

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