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2021年7月3日(土) 午前11時~
伝統の「奈良団扇」で涼を呼ぶ六代目の若き職人
奈良「池田含香堂」六代目 池田匡志さん
今年4月、奈良の魅力を発信する新しいスポットが誕生しました。その名も「鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング」。店内には奈良の工芸が生み出した生活雑貨品が並んでいます。
中でもひときわ夏向きな商品が、奈良団扇。奈良に古来より伝わる、透かし彫りの技法で、太陽にかざすと、鹿や、鳳凰、春日大社の灯篭など、奈良にちなんだ100種類もの絵柄が浮き上がります。目にも楽しい「奈良団扇」、その伝統を受け継ぐ職人が、池田匡志さんです。
創業から170年の「池田含香堂」、奈良団扇はそこで作られています。六代目の池田匡志さんと母・俊美さんが制作し、接客は祖母という、家内制手工業です。江戸時代に誕生したといわれる奈良団扇ですが、扇面に模様を彫る透かし彫りには、高度に熟練された技術が必要なため、いったんは途絶えてしまいます。それを江戸末期に復活させたのが、池田含香堂の初代でした。そして二代目が、昔に滅びたはずの文献や道具、型紙一式を発見し、その技法を確立させます。
その作り方ですが、これが大変複雑で、紙を丈夫にするため、冬にドーサ液を塗った後、1年間寝かせます。そして再び乾燥した冬に、色を付けて、彫りにかかるのです。骨は真竹を極めて細くして作ります。一般的な団扇の竹骨は、20本から30本ですが、奈良団扇は60本以上。それなのに重さは20gほどで、プラスチック製の三分の二ほどしかありません。初夏を迎える頃、彫り終えた紙と竹骨を貼り合わせてゆきます。
実は池田さん、小学2年生のとき、五代目だった父親を突然亡くしました。中学3年の時に、跡を継ぐ決心をしますが、「もっと世間を広げなさい」という母の勧めで大学まで進み、その後、職人の道へ。キャリア36年の母親からは、何も教わることなく、独自の手法で、自分の作風を会得していきました。けれど、まだまだ五代目の父には届かない。そんな中、五代目が遺した「鹿唐花文」に挑戦することに。はたして、どんな団扇が出来たのでしょうか。
概要 | 伝統工芸品「奈良団扇」を唯一販売する老舗。透かし彫りの美しいうちわが100種類以上並ぶ。 |
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住所 | 奈良市角振町16 |
電話番号 | 0742-22-3690 |
営業時間 | 9:00~18:30 ※コロナ禍のため、時間変更あり。 |
定休日 | 9月~3月:月曜 4月~8月:無休 |
備考 | 上鹿 4,400円 上正 4,400円 https://www.narauchiwa.com/ |
概要 | 2021年4月にオープンした、奈良の老舗・中川政七商店による複合施設。 |
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住所 | 奈良市元林院町22番 |
営業時間 | 中川政七商店 奈良本店 10:00~19:00 ※他、各店舗による。 |
備考 | https://www.nakagawa-masashichi.jp/ |
概要 | 奈良の工芸品を多数展示する施設。制作実演や、体験なども行なっている。 |
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住所 | 奈良市阿字万字町1番地の1 |
電話番号 | 0742-27-0033 |
営業時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
定休日 | 毎週月曜(その日が祝日の場合は開館) 祝日の翌日(その日が土曜・日曜・祝日にあたるときを除く) 年末年始(12月26日~翌年1月5日) |
備考 | https://azemame.web.fc2.com/ ※現在リニューアルに伴い閉館中。8月オープン予定。 |
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