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光武みゆきさん 京都市東山区 「NIEI」

202218日(土) 午前11時

清水焼の絵付師

光武みゆきさん 京都市東山区 「NIEI」

繊細な色彩感覚と緻密な技巧で、陶器に絵を描く絵付師が、京都にいます。
近年一気に頭角をあらわした清水焼の絵付師、光武みゆきさんです。
清水焼は各工程が分業になっていて絵付師はその仕上げを担当。「美術品ではなく、あくまでも普段使いできる器で、使う人の心を華やかにしたい」と言う光武さんは、今年11月、東山の八坂神社にほど近い場所で、清水焼の新ブランド「NIEI」を立ち上げ、アトリエ兼ショップをリニューアルオープン。気鋭の絵付師、光武さんに密着しました。

アトリエで光武さんの仕事ぶりを見せてもらいました。成形された器に絵を描き、再び工房の窯で焼き上げるのですが、光武さんは「描詰め」という、色を密集させていく技法を用います。素地に絵や模様を描き、釉薬をかけて高温で焼いた器に色を入れていきます。顔料にはガラス質が混合しており、再び窯で焼きつけると起伏に富んだデザインとなります。色数によって何度も何度も焼きを入れ、驚くほど密度の高い色彩と精緻な描き込みの清水焼が出来上がります。

光武さんは子供の頃から手を動かしてものを作るのが好きで、京都の短大の生活デザイン科を卒業後、印刷会社に就職しますが、退職。23歳で陶工技術専門校に入学して絵付けを学びます。そしてこの世界では有名な窯元「京泉窯」に入り、働きながら絵付けを修行したのです。

実は光武さん、2020年に「伝統工芸士」「未来の名匠」に選ばれて以来、矢継ぎ早に名だたる賞を続々と受賞。成形師を頂点とする陶芸界で、絵付師が一気に注目を浴びるのは異例のことだとか。その一方で、光武さんは、鳥獣戯画のパロディにしたユーモラスでカジュアルな「お揃いの器めおと屋」というブランドも展開しています。雅と素朴さを行き来するハイブリッドな感覚を持っているのです。

そんな光武さんに舞い込んだ大きな依頼、それは海外への挑戦でした。

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NIEI
概要今回の主人公、光武みゆきが立ち上げた清水焼絵付けの工房兼ショップ。伝統とモダンが混ざり合う作風で数々の賞を受賞。絵付師としては異例の注目を浴び、注文が殺到している。
住所京都市東山区東大路三条下る南西海子町434-5
電話番号075-531-7930
営業時間不定
定休日不定
備考販売作品は要確認。
ホームページ
https://niei.jp
タッセルホテル三条白川
概要NIEIの近くにあるホテル。光武さんの和と洋が混ざり合う作風に共感しロビーでNIEIの作品を展示販売している。宿泊客からも好評で注文が相次いでいる。
住所京都市東山区三条通白川橋大井手町103-3
電話番号075-771-0775
営業時間要問合せ
定休日要問合せ
備考ホームページ
https://tasselhotel.jp
京料理辰巳屋
概要主人公が賞を受賞し家族で食事会を開いたいお店。店主が以前から光武さんの器を気に入り料理に使用している。
住所京都府宇治市宇治塔の川3-7
電話番号0774-21-3131
営業時間要問合せ
定休日要問合せ
備考ホームページ
https://uji-tatsumiya.co.jp
京都岡崎蔦屋書店
概要光武さんの作品を展示販売している店舗。蔦屋書店は今後海外の支店で光武さんの作品を販売していく予定。
住所京都市左京区岡崎最勝寺町13
電話番号075-754-0008
営業時間8:00~22:00
定休日年中無休
備考販売作品は要確認。
ホームページ
https://store.tsite.jp

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前川恭子さん 滋賀県栗東市

2025719日(土) 午前11時

JRA初の女性調教師

前川恭子さん 滋賀県栗東市

馬主から預けられた競走馬の体調を管理し、トレーニングを行って最良のコンディションでレースに出走させることを主な仕事とするのが、競馬の調教師。日本中央競馬会・略称JRAが発足して70年、女性の調教師は一人もいませんでした。新たな歴史の扉を開いたのは、前川恭子さん。JRA初の女性調教師として2025年3月、前川厩舎を開業しました。「自分が関わるスタッフと馬を、幸せにしたい。」

滋賀県栗東市にある、栗東トレーニング・センター。競走馬に携わる人たちの1日は夜明け前から始まります。少しでも異変があれば、調教には出しません。馬の一生を左右する大きな怪我につながることもあるからです。馬が調教コースに出た後は、スタンドから動きをチェック。仕上がり具合を確認し、万全の状態でレースに出走できるよう計画を立てます。

前川恭子さんは千葉県出身。11歳のころから乗馬クラブに通い、馬に関わる仕事がしたいと思うようになります。筑波大学では馬術部に所属し、卒業後は北海道での牧場勤務を経て、2003年にJRAの厩務員になると、2004年に調教助手に。調教師になることには悩みもありました。しかし、「自分が思い描く厩舎を作って、馬とスタッフを幸せにしたい」と覚悟を決め、5度の受験を経て、合格率10%以下の調教師試験の難関を突破したのです。

この日、前川さんは北海道にいました。名門の育成牧場「社台ファーム」で、未来の名馬を見つけ出し、馬主に推薦するためです。前川さんと共に鋭い眼光で馬を見つめていたのが、数多くの名馬を輩出してきた矢作芳人厩舎の矢作調教師でした。実はこの二人は師弟関係。
「彼女は大胆不敵だが、細やかな面もある。後に続く女性たちのためにも成功してほしい。」

開業したばかりの前川厩舎。厩務員と調教助手、12名のスタッフと共に、前川さん独自の工夫でサラブレットの世話をしています。いくつか見せてもらいました。

7月1週目、栗東トレーニング・センターでは、厩舎で最も人気のある牝馬、モズメイメイの調教。狙うは前川厩舎初となる「重賞レース」制覇です。前川さんは7月6日、福岡県の小倉競馬場へ。モズメイメイは賞金の高い重賞レース『北九州記念』に挑みました。前川厩舎、初の重賞制覇なるか?いよいよレースがスタートします!

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