バックナンバー

佐藤聡さん 京都市 「PONTE」

2022723日(土) 午前11時

京都の料理人から愛される宙吹きガラス作家

佐藤聡さん 京都市 「PONTE」

夏本番を迎えた京都。祇園の一角にある路地に店を構えるのが、宙吹きガラスの専門店「PONTE」です。宙吹きガラスとは、高温で溶かしたガラスに息を吹き込んでさまざまな器を作る伝統的な技法。手作りならではの「ゆらぎのある形」と、控えめでありながら個性もある繊細なデザインの器は、料理を引き立てる名脇役として京都の名だたる料理人から愛されています。

「PONTE」の器を作っているのは、ガラス作家の佐藤聡さんです。緑豊かな京都の八瀬に古民家を改装した工房を構えています。
佐藤さんの代表作のひとつが「レースガラス」を使った器。レースガラスとは、透明なガラスに白いガラスを練り込んでレースのような柄を作る技法です。イタリアのヴェネチアで生み出されたのですが、佐藤さんは京都ならではの繊細な感覚を取り入れることで、和風でも洋風でも合う上品な器を作り上げています。

佐藤さんがガラスに興味を持ったきっかけは、少年時代を過ごした長野県にあります。
冬の田んぼや水たまりに張った氷や軒に下がるツララの美しさに心惹かれた記憶からガラスの透明感や反射、きらめきに興味を持つようになったとか。大手住宅メーカーで設計の仕事に就きますが、ガラスへの憧れは消えず退社。専門学校やドイツの工房で腕を磨いて2000年に山科の自宅でガラス工房をオープン。2014年に祇園でショップをオープンし、料理人からの難しいオーダーにも応えることで、料理を引き立てる名脇役の評価を得ました。

そんな佐藤さんがこの夏、新たに挑むのは「溶けたガラスの様子をそのまま留めた器」を作ること。1,000℃を超える溶けたガラスの美しさを引き出そうと試行錯誤を繰り返します。新作の発表は、木工や陶芸などの作家やイタリアンのシェフと共に開く器と料理を楽しむディナーイベント。どんなガラスの器を仕上げて、料理とのコラボを見せてくれたのでしょうか?

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真
PONTE Glassblowing
概要宙吹きガラス作家 佐藤聡さんの作品を販売する店です。
住所京都市東山区祇園町南側570-210 ZEN内
電話番号075-746-2125
営業時間11:30~18:00
定休日月曜・火曜
備考ホームページ
http://ponte-kyoto.com

※八瀬のガラス工房の一般見学は行っていません。

※佐藤聡さんが参加する食とアートのイベント
「ECHO あしたの畑 丹後・城崎」
期間 7月22日~8月21日
会場 間人スタジオ、竹野神社、城崎温泉三木屋
くわしくはHPをご覧ください。
https://www.tomorrowfield.org/echo
Vena(ヴェーナ)
概要旬の食材で作るイタリアンと熟成イタリアワインの店。
住所京都市中京区室町通夷川上る鏡屋町46-3
電話番号075-255-8757
営業時間ランチ 12:00~13:00(最終入店)
ディナー 17:30~21:00(最終入店)
(完全予約制)
定休日水曜
備考ホームページ
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260202/26028480/

※佐藤聡さんのお皿をランチコースの前菜盛り合わせで使用しています。
cenci(チェンチ)
概要名店で腕を磨いた坂本シェフが作るイタリアン。
住所京都市左京区聖護院円頓美町44-7
電話番号075-708-5307
営業時間ランチ 12:00~12:30(L.O.)/15:00閉店
ディナー 18:00~19:00(L.O.)/21:30閉店
定休日月曜・火曜、不定で日曜
備考ホームページ
https://cenci-kyoto.com

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー

次回の放送

網野篤子さん 京都市

2025712日(土) 午前11時

ガラス細工で作るリアルな金魚

網野篤子さん 京都市

ガラス工芸の博物館で開催されていた「超絶技巧 硝子展」。ここで注目を浴びたガラス細工が…夏の風物詩、金魚。細部まで再現されたガラス細工の金魚は、まるで生きているような躍動感があります。まさに「超絶技巧」。この金魚の作品を作っているのが、ガラス作家の網野篤子さん。彼女が金魚をガラスで表現する理由、それは「金魚が大好きだから」。

京都の深泥池のほとりに、この地で生まれ育った網野さんのアトリエがあります。網野さんはバーナーワークという技法で、色ガラス棒を素材に20年以上、金魚を作っています。とにかくリアル。本物と比べてみても、その再現性に驚かされます。品種ごとに異なるシルエットや、ヒレの微細な特徴まで、見事に再現されています。では、その作品制作を見せてもらいましょう。

様々な色のガラス棒をバーナーで溶かして形にしてゆきます。溶けたガラスが垂れぬようつねに回転させ、温度を均一に保ちます。温度差ができると、ガラスが割れてしまうので、この調節がとても難しい。ガラスを継ぎ足し、先の細いピンセットでひれの膜を作り、尻びれ、尾ひれと、様々な器具を駆使して、本物に近づけてゆくのです。時には金箔や銀箔を使うことも。

網野さんは、ガラスの金魚を美しく仕上げるため、日々、研究を重ねています。やって来たのは、金魚の一大生産地・大和郡山。養殖のプロの話を聞き、様々な種類の金魚を見て、創作の源にしています。今日のお目当ては「大阪らんちゅう」。江戸時代から大阪を中心に、広く飼われた品種で、太平洋戦争の時代に絶滅の憂き目に遭いました。近年、愛好家たちが力を尽くし、見事、復活したそうです。網野さんのガラス細工で表現した「大阪らんちゅう」とは?

この日、網野さんに東京での展示会のオファーが舞い込みました。そこで新作を披露することにしたのです。挑戦するのは「ピンポンパール」という金魚。その名のとおり、まるでピンポン玉のように金魚です。網野さんはピンポンパール専門店を訪ね、じっくり見学して、創作のヒントを得ました。初めて表現する「ピンポンパール」、はたして納得のいくガラス細工に仕上がるのでしょうか。

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー