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宮本我休さん 京都市 「宮本工藝」

2024413日(土) 午前11時

1000年後に伝えたい仏像を彫る仏師

宮本我休さん 京都市 「宮本工藝」

全国の古刹・名刹から依頼が殺到し、イケメン過ぎる仏像がSNSでも話題になっている若き仏師が京都にいます。宮本我休さん、43歳。ファッション業界から転身した異色の経歴。目指すのは1000年、2000年先も美しいと思える仏像を彫ること。そして開眼法要を控えるのは、3年越しの大作です。仏像制作に打ち込む日々を追いました。

2000以上のお寺や神社が点在する京都。市内のとある長屋に、宮本我休さんの工房があります。横たわっているのは平安時代の古い仏像。これを修復するのですが、修復には二通りあって、こちらは現状保存修復。無くなったものは新たに造作しますが、古色(こしょく)仕上げと呼ばれる技術で経年劣化を完全に再現。もうひとつは、仏像が出来たときの煌びやかな姿に戻す完全復元修復。清水寺から毘沙門天像の修復も依頼されています。

我休さんは奧さんと、子供2人の4人家族。朝ごはんや学校への送迎のあとは、近所の嵐山までランニング。ここで座禅を組むのも、日々のルーティンです。あとは工房でひたすら仏像制作というストイックな生活。ファッション業界に5年間いたこともあって、仏像の衣の表現が大変美しい。現在は同時進行で30体ほどの仏像を制作中。18年先まで仕事が決まっている我休さんを一躍有名にしたのが、韋駄天像。イケメン過ぎると話題になり、SNSの総フォロワーは約7万人に。

京都生まれ京都育ちの我休さん。おしゃれが好きで中学の時にはファッションの道を志すことを決めていました。それが仏師になったのには、いったいどんな訳があったのでしょう。25歳の春に弟子入り、9年間の修行を経て、2015年4月、34歳で独立しました。ちょうどその頃、友里さんと結婚。仏師として歩み始めた旦那さんに不安はなかったかと尋ねると、意外な答えが。

日々制作に追われる我休さん。大きな仕事の納期が迫っていました。それは3年以上かけて作り上げた「准胝(じゅんてい)観音像」。仏師・宮本我休の集大成です。その実に見事な准胝観音像の開眼法要をご覧ください。

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宮本工藝
概要京仏師・宮本我休さんの工房。仏像の制作・修復を行う。学生時代に学んだ服飾技術を活かし、木彫での衣文表現を得意とする。
電話番号075-202-2292(平日9:00~17:00)
備考ホームページ
https://gakyu.jp/

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網野篤子さん 京都市

2025712日(土) 午前11時

ガラス細工で作るリアルな金魚

網野篤子さん 京都市

ガラス工芸の博物館で開催されていた「超絶技巧 硝子展」。ここで注目を浴びたガラス細工が…夏の風物詩、金魚。細部まで再現されたガラス細工の金魚は、まるで生きているような躍動感があります。まさに「超絶技巧」。この金魚の作品を作っているのが、ガラス作家の網野篤子さん。彼女が金魚をガラスで表現する理由、それは「金魚が大好きだから」。

京都の深泥池のほとりに、この地で生まれ育った網野さんのアトリエがあります。網野さんはバーナーワークという技法で、色ガラス棒を素材に20年以上、金魚を作っています。とにかくリアル。本物と比べてみても、その再現性に驚かされます。品種ごとに異なるシルエットや、ヒレの微細な特徴まで、見事に再現されています。では、その作品制作を見せてもらいましょう。

様々な色のガラス棒をバーナーで溶かして形にしてゆきます。溶けたガラスが垂れぬようつねに回転させ、温度を均一に保ちます。温度差ができると、ガラスが割れてしまうので、この調節がとても難しい。ガラスを継ぎ足し、先の細いピンセットでひれの膜を作り、尻びれ、尾ひれと、様々な器具を駆使して、本物に近づけてゆくのです。時には金箔や銀箔を使うことも。

網野さんは、ガラスの金魚を美しく仕上げるため、日々、研究を重ねています。やって来たのは、金魚の一大生産地・大和郡山。養殖のプロの話を聞き、様々な種類の金魚を見て、創作の源にしています。今日のお目当ては「大阪らんちゅう」。江戸時代から大阪を中心に、広く飼われた品種で、太平洋戦争の時代に絶滅の憂き目に遭いました。近年、愛好家たちが力を尽くし、見事、復活したそうです。網野さんのガラス細工で表現した「大阪らんちゅう」とは?

この日、網野さんに東京での展示会のオファーが舞い込みました。そこで新作を披露することにしたのです。挑戦するのは「ピンポンパール」という金魚。その名のとおり、まるでピンポン玉のように金魚です。網野さんはピンポンパール専門店を訪ね、じっくり見学して、創作のヒントを得ました。初めて表現する「ピンポンパール」、はたして納得のいくガラス細工に仕上がるのでしょうか。

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