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野村俊介さん 兵庫県神崎郡神河町 「仙霊茶園」

202461日(土) 午前11時

移住して茶畑を営む元営業マン

野村俊介さん 兵庫県神崎郡神河町 「仙霊茶園」

兵庫県のほぼ中央に位置する自然豊かな町、神河町は知る人ぞ知る「お茶の名産地」。ここに雄大な茶畑を見ながらティータイムが楽しめる、茶園カフェがあります。煎茶、ほうじ茶、紅茶など、目の前で摘んだ茶葉を使ったオリジナル茶に、厳選したお菓子やパンが大人気。
オーナーの野村俊介さんは、元医療機器メーカーの営業マン。ここの景色に惚れ込み、後継者不足だった茶園に『仙霊茶園』を開いて、今年で7年目になります。

「このあたりは、山水が豊富で土壌にはミネラルが多い。そういう土地は昔からお茶作りに向いていて、300年前からお茶の栽培が盛んになりました」。野村さんのこだわりは、除草剤も肥料も使わない自然栽培。「300年前、農薬も化学肥料もない時代に美味しいお茶が作れたのなら、今でもできるんじゃないか」と考えたのです。ただし、雑草抜きが大変な作業。

「一般的な日本のお茶は、肥料で旨味を出した茶葉を使い、ブレンドによって味を調えるので、いつも同じ味が楽しめます。野村さんの茶葉は、気候風土の変化で毎年、違った味になりますが、ワインのごとく、その「味のブレ」も魅力に思ってもらえたら」。野村さんが茶葉の自然栽培を決意したのは、神河町にあるお寺、生蓮寺に伝わる「仙霊茶」の歴史を知ったからでした。

さて、5月から6月が茶摘みのシーズン。摘むのは新芽のみです。今年から製茶工場で加工と味の調整をする製茶師に、新たな人を採用しました。これまで製茶作業を任せてきたベテランスタッフの元で2年間修業した、丸山ひとみさんです。「10代の頃から紅茶が大好きで、自分で紅茶が作れたら、と国産の紅茶をいろいろ取り寄せましたが、『仙霊茶園』の紅茶を飲んで驚きました」。茶葉と工場を見学に来た丸山さんは、「ここで日本一美味しい紅茶を作りたい」と野村さんに訴えたのです。彼女を雇うきっかけとは?

摘み取った茶葉を製茶する複雑な作業を見てみましょう。そして出来上がったお茶を二人で試飲。自然栽培を始めて7年目。それまで使っていた肥料がようやく抜けて、この土地本来の茶葉の味になったでしょうか?

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仙霊茶
概要今回の主人公、野村さんがオーナーを務める茶園。300年続く伝統を引き継ぎ、自然栽培にこだわっている。仙霊茶は香りが高く爽やかな飲み口で評判に。
住所兵庫県神河町吉冨1873
電話番号050-3138-4284
営業時間茶園カフェ(要予約)※予約時に時間を相談
定休日不定休
備考仙霊茶1杯500円(カフェ利用時)
※別途入園料500円

ホームページ
https://senrei-tea.com/
菓旬処 彩
概要神河町で80年続く和菓子店。主人公の野村さんが作る仙霊茶の茶葉を使ったどら焼きなどのお菓子が人気。
住所兵庫県神河町粟賀町580
電話番号0790-32-0039
営業時間平日 8:30~18:00
日曜・祝日 8:30~17:00
定休日水曜 ※祝日を除く
備考仙霊茶どら 1個200円
お茶生どら 1個200円

ホームページ
https://www.kasyundokoro-sai.com/

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佐々木萌水さん 京都市

202575日(土) 午前11時

川底から宝物を探す漆作家

佐々木萌水さん 京都市

よく見るとガラス玉が埋め込まれていたり、様々な模様が散りばめられていたりする独創的な見た目の器たち。実は川で拾った様々な陶器のカケラを漆の力で継ぎ合わせて、一つの器に仕上げた作品なんです。川の清掃活動から作品づくりを始めるのが、京都で活躍する漆作家の佐々木萌水さん。

京都市内の中心部を北から南に流れる、高瀬川。江戸時代初期に運河として造られた水深、数十センチの浅い川です。この川の川底には、江戸時代から昭和中期にかけて捨てられた陶器のカケラが眠っていました。萌水さんは高瀬川を掃除しながら、そのカケラを拾い集めているのです。

カケラを繋ぎ合わせるのは漆の力と、萌水さんオリジナルの技法「羊毛乾漆」。イメージする器に足りない部分を、漆をたっぷり吸ったフェルトで補います。隙間を漆で接着するのは、金継ぎと同じ要領。様々なカケラを一つの器にしていきます。

漆を学ぶきっかけになったのは、祖母とのやりとり。持っていた漆塗りの茶器の柄がズレていたのが気になって祖母に聞くと「これは機械で絵付けしてるから、出力した時にズレたのよ」。機械で作る割に完璧じゃないなら、人の手でやればもっと良いものが出来るのではと考え、京都市立芸術大学、そして大学院に進学し、本格的に漆を学びます。

漆という材料が持つ魅力を、もっと多くの人に広めたい。萌水さんは漆教室の活動も精力的に行っています。この日、漆教室の受講生を連れて向かったのは、1909年創業の老舗漆店です。漆がどのように製造されているのか、見学ツアーを企画しました。

京都市立芸術大学のキャンパス内にも流れる高瀬川の環境を整備するにあたり、ホタルを育てる活動が始まっていました。成虫が上がってきやすいよう砂利を敷いたりと、地道な作業が実って、光を灯し始めたホタルたち。新しく生まれた高瀬川の風景を萌水さんは新たな作品のモチーフにします。さて、どんな作品が生まれたのでしょうか。

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