バックナンバー

『かみや民芸店』 神谷俊彰さん

2018630日(土) 午前11時

わずか5人・・・城崎伝統の麦わら細工を受け継ぐ職人

『かみや民芸店』 神谷俊彰さん

関西屈指の名湯、城崎温泉にある「かみや民芸店」。
日本でも城崎だけで受け継がれる伝統工芸“麦わら細工”で作られた“箱もの”やキーホルダー、しおりなどの品が並ぶお店です。店主は麦わら細工職人・神谷俊彰さん。

“麦わら細工”の魅力は、なんといってもその色鮮やかさ。麦わらで作ったとはとても思えない、艷やかで美しい幾何学模様、さらに光の当たり方や角度で見え方が違う、という特徴も持っています。
昨年デビューした、JR西日本の豪華クルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風」にも、西日本の伝統工芸品の一つとして採用されました。

麦わら細工は、麦の刈り取りから始まり、麦の燻蒸、乾燥、染色までで、およそ1カ月。そこから細やかで繊細な作業で美しい麦わら細工を完成させていきます。また、麦を貼っていく糊には昔ながらのご飯を練り潰したものを使うなど、伝統を守り続けています。

祖父の代から続く麦わら細工職人の家に生まれた神谷さん。2代目でもある父は様々な賞も受賞した、この道50年の匠です。跡を継ぐ気はなかった神谷さんでしたが、父の交通事故をきっかけに麦わら細工の世界へ。復帰後も続けて技を磨き続け、2008年には自身の工房兼ショップ「かみや民芸店」をオープンしました。

城崎で麦わら細工が生まれたのは、今からおよそ300年前。工芸品としての地位を確立した一方、時代と共に職人の数はどんどん減っていき、今では城崎で5名しかいないとされています。
そこで「技を引き継ぐ人を増やしたい」という神谷さんは、後継者の育成にも力を入れており、今は大阪から通いで来ている20代の女性に技を教え始めています。

そんな神谷さんが今回、麦わら細工の新たな挑戦へ。
香住の宿の料理長から、“酒菜を盛る器”の依頼が舞い込んだのです。「器と食で地域をアピールしたい」という想いに触れ、初めて食べ物を盛る器を手がけることに。
果たして、どんな器が完成したのでしょうか?

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真
麦わら細工 かみや民藝店
概要城崎伝統工芸 麦わら細工の製造販売店
店主:神谷俊彰さん
電話番号0796-32-3259
営業時間11:00~18:00
定休日不定休
備考「城崎温泉」駅から徒歩10分
麦わら工房 かみや
概要麦わら細工職人 神谷勝さんの店
住所豊岡市城崎町湯島431-1
電話番号0796-32-3259
営業時間10:00~17:00 19:00~22:00
定休日不定休
備考「城崎温泉」駅から徒歩10分
お宿 まる屋
概要麦わら職人・神谷俊彰さんが商品を納品したお宿
住所兵庫県美方郡香美町香住区浦上1189
電話番号0796-37-0325
営業時間8:00~22:00
定休日なし

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー

次回の放送

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー