バックナンバー

「紅村窯(こうそんがま)」林侑子さん

201922日(土) 午前11時

伝統の清水焼に斬新な技法で挑む女性陶芸家

「紅村窯(こうそんがま)」林侑子さん

京都・清水寺に続く参道は、清水焼の陶芸展が並ぶ観光地で、「ちゃわん坂」と呼ばれています。その坂の一角に、「紅村窯(こうそんがま)」があります。三代目の林紅村さんと、娘の林侑子さんが、100年以上続く窯元を守り続けています。

侑子さんは、窯元が少なくなっていく中、清水焼を発展させようと、ハサミで土を切って模様をつける斬新な技法で「土鋏(つちばさみ)」という独自の作風を作りあげました。照明が付けられると、花のように美しく、温かな光が広がります。

「土鋏」は、水分を含ませた土が乾くまでにハサミを入れるため、4時間以上も作業が続き、1つの作品は、約2週間で完成します。そして、このハサミは、今は亡き画家だった母親が遺した「眉切り鋏」を使っています。どのハサミよりも「土鋏」に適していたそうです。

今回、侑子さんが「土鋏」の新作に選んだモチーフは、熱帯魚の「エンゼルフィッシュ」です。生き物を表現するのは初めての挑戦で、天使のように泳ぐと言われる魚を立体感あるものにするために、試行錯誤は続きます。果たして、どんな優しい光を放つのでしょうか。


伝統に新たな道を切り開く!ハサミを使った斬新な技法で清水焼を彩る女性陶芸家に密着しました。

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真
紅村窯(こうそんがま)
概要青磁・白磁の器と共に「土鋏」の技法を使った清水焼の陶器を販売
住所京都市東山区五条橋東6-541
営業時間11:00~17:00
定休日月曜・金曜
備考土鋏の照明 50,000円~
土鋏の香合 40,000円~
土鋏の皿 20,000円~

京阪電車「清水五条」駅より徒歩20分
市バス「五条坂」下車 徒歩10分

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー

次回の放送

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

バックナンバー