EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 久米信行
4月〜
5月
古田貴之
5月 中溪宏一
5月〜
6月
中村真菜美
6月 鈴木幸一
7月 GOMA
7月〜
8月
馬場直子
9月〜
10月
北澤 肯
10月〜
11月
川端由美
11月 システム7
11月 福岡 司
12月 小西雅子
12月 ハセベケン
12月 2007年を
振り返って
1月 林家木久扇
1月 イルカ
2月 松尾直樹
2月 上岡 裕
3月 箕輪弥生
3月 冨田秀実
3月〜
4月
中島 悠
12月1日
ゲスト:WWFジャパン 気候変動担当オフィサー小西雅子さん

小西雅子5 小西さんは昨年9月にご出演頂きました。

 手塚「11月12日から16日までの5日間、スペインのバレンシアでIPCC、国連の『気候変動に関する政府間パネル』の総会が開催され、地球温暖化に関する第4次統合報告書が採択されました。これまで発表された内容をお教えください」小西「地球温暖化が人間活動によって引き起こされているかということが一番の関心事でした。1990年の第1次評価報告書では、“はっきりとは断定出来ない”。第2次評価報告書は95年に、そして2001年の第3次評価報告書では“人間活動による可能性が60%ぐらい”、今年2007年に発表された第4次評価報告書で初めて“90%以上の確率で人間活動によるものである”という評価がくだされました。科学の報告書で90%以上ということはほぼ断定したと同じ事なのです」

 手塚「この報告書に至るまでの経緯をご説明ください」小西「報告書になるまでに3つの作業部会があります。第1作業部会が自然的な根拠を量るもの。第2作業部会が温暖化の影響や人間がそれに適用するための評価をします。第3次作業部会はどういった政策を使って削減出来るかということを検討します。今年1月に第1作業部会がフランスで行われ、4月に第2作業部会がベルギーで、5月に第3作業部会がバンコクで行われました。その3つの報告書を合わせて第4次評価報告書の要約を出したのが、今回のスペイン、バレンシアの会議だったのです」手塚「このスペインでまとめられたものはこの後どうなるのですか?」小西「IPCCは科学の報告書の中でも世界で最も査読されるものです。そして結果は各国の代表団が要約の表現について議論し、承認し、そして最後に全員のサインをします。ですから、世界が認めた報告書ということです」


小西雅子6 手塚「今回IPCCがノーベル平和賞を受賞した理由は?」小西「表向きは気候変動に関する科学を解明してきたということに対して、ということですが、私は政治的なメッセージを込めていると思います。これから実はバリ会議が始まります。これがなぜ大事かと言いますと京都議定書の第3回目の会議なのです。京都議定書の第一約束期間というのが2008年から12年までですがその後は何も決まっていません。ですから今回の会議で2013年以降をどうするかというプロセスをはっきり立ち上げないといけないのです。IPCCは危険な気候変動を抑えるための具体的なシナリオをはっきり出しています。今IPCCが受賞するということは、2013年以降のプロセスをはっきり決めるための後押しになると考えられます」

 手塚「報告書の中身はどのようになったのですか?」小西「“気候変動は人間活動が引き起こしたものである。しかもその進行は思ったよりも速く、加速化している。影響は世界各地に表れていて、深刻化していく一方”ということを科学的にはっきりと書いてあります。強いメッセージです。また“今私たちが持っている技術で、危険なレベルになる事を止める事が出来る”ということがはっきり書いてあります。しかもコストも書いてあり、それがそれほど高いものではないということも書いてあります。そして“いつまでに、どうすれば、どうなる”というシナリオをいくつも書いてあります」


12月8日 ゲスト:小西雅子さん

小西雅子7  手塚「“気候変動は人間活動が引き起こしたものである。しかもその進行は思ったよりも速く、加速化している。影響は世界各地に表れていて、深刻化していく一方”ということですが、それに対する世界や日本のメディアの反応は?」小西「今回プレスルームも今までの3回よりも大きなものを用意しました。メディアは中に入れませんので、終わった後の記者会見で、私が一番印象的だったのが、今までは専門的な記者が多かったのですが、今回は一般のテレビなどが多かったということです」手塚「それはノーベル平和賞を受賞したということが大きく関係していますか?」小西「それもあると思います。気候変動に対する関心とノーベル賞の両方だと思います。またIPCCを初めて知ったというメディアも多くいました。そういう意味では裾野が広がっていい事だと思いました」手塚「実際にその報道されている番組なりをご覧になりましたか?」小西「ヨーロッパのメディアは深く取材していました。特に目立ったのがドイツのテレビ局とイギリスのBBCでした。日本の放送局も最後には各局、顔を揃えていました」

 手塚「“温暖化は人間が引き起こしたものだ”という報道はされましたが、これからどうしていくと言う報道は少なかったと思いますが」小西「そうですね、IPCCは対策まで出していますが、そういう事は報道されてないかもしれませんね」手塚「この報告書の意味はこれからどうなっていくのでしょうか?」小西「これがなぜ大きな問題かと言うと地域的な問題ではないからです。地球的規模で取り組まなければいけないことですので、地球規模で共有する科学の報告書が必要です。温暖化に取り組むためには大きく分けて二つあります、まずどうやって自国の政策で防いでいくかということと、国際交渉で各国がどうやって地球規模で防いでいくかということです」手塚「日本はこの報告書によって、どのように国として考えていかなければいけないと思いますか?」小西「日本は2050年に地球的に半減しましょうと言う綺麗な目標を言っています。ただし自分の国としてどのくらい減らすというシェアについては触れていません。世界ではやりましょう、でも自分は?という状態です」手塚「そこが一番大事なところですよね」小西「それが無いのが今の政治なのです。IPCCの科学の報告書は重要視し、それに従って行動しましょうと言いますが、自分がどうするかということはみんな無いのです」


小西雅子8

 手塚「京都議定書にこの結果が大きく関わってくるのですね」小西「京都議定書は全世界で5%、しかも先進国だけ。全排出量30%の中のたった5%。今人類は地球が吸収出来る量の倍以上を出しています。二酸化炭素が大気中に生存し続ける期間は5年から200年なのです。ですから今まで出してきた過去のものも残っているわけです。いずれは半減以上しなければなりません。それをいつやるか、タイミングが大事なのです。それをいつやるかによって気温が何度上がるかというデータをIPCCは出しています。悪影響を防ぐためには2度未満に抑えなければいけません。それをするためには2050年に先進国では85%削減しなければなりません。そのため、2015年から20年には25%から45%に削減していなければいけないのです。それに比べて京都議定書の第一約束期間は5%です」手塚「数値が全然違いますね」小西「ですから社会変革を起こすような政策、技術革新をしなければいけないのです。また政治を動かすのは国民一人一人ですから、問題の本質を分かって政治をサポートするということが大事だと思います」

 手塚「日本は環境や地球問題に関心がある個人が多い国だと思いますが、報道などで政府がやっていることが見えないのですが」小西「環境意識が高い国民だと思いますが、残念のが何が本当に温暖化対策なのかということが知られていないということです。電気を消せば温暖化が止まるということではないのです。政策として絶対量で数値目標をもっていれなくてはならないのです。その政策とは排出量取引制度や環境税といったものです。そういった制度を入れるという政党に、選挙の時にマニフェストを読んで入れる、そういう行動をとれるようになった時に初めて自分で対策をしていると言えると思います」


福岡 司さん ハセベケンさん

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