EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 中島 悠
4月 嵯峨生馬
4月 今関 勝
4月 中溪宏一
5月 山川冬樹
5月 近藤 篤
5月〜
6月
浜崎貴司
6月〜
7月
羽仁カンタ
7月 中溪宏一
7月 嵯峨生馬
7月〜
8月
本多有香
8月 冨田秀実
小西雅子
8月〜
9月
安藤直人
9月 小西雅子
9月〜
10月
鈴木幸一
10月 中野シロウ
10月 山田啓雄
11月 川端由美
11月 浜崎貴司
12月 赤星たみこ
12月 山岸尚之
12月 2006年を振り返って
1月 塩田明彦
1月〜
2月
中溪宏一
2月 つやまあきひこ
2月〜
3月
中島 悠
3月 山岸尚之
3月〜
4月
北澤 肯
7月30日ゲスト: マッシャー本多有香さん

本多有香1 手塚「まず『マッシャー』とは何かご説明ください」本多「『マッシャー』とは犬ぞり師のことです」手塚「犬ぞりレースで犬をコントロールする方のことですね。カナダやアラスカでは人気のスポーツのようですね」本多「はい、昔からあるものなのでポピュラーですね」手塚「何日もかけて走るのですか?」本多「10日〜14日ぐらいかけて行われます。キャンプして、また進んでキャンプしての繰り返しです。車のレースに近いですね」

 手塚「犬ぞりのレースに興味を持ったきっかけは?」本多「大学生の時にカナダにオーロラを見たくて観光に行きました。その時に犬ぞりと出会って、元々犬好きだったのでハマってしまいました(笑)」手塚「大学を卒業されて就職をされていますが、その時も犬ぞりのことが頭にあったんですか?」本多「そうですね。それで25歳の時に会社を辞めてカナダに行きました」

 手塚「でも簡単にマッシャーになれるわけではないですよね。まずどうされたんですか?」本多「カナダ観光局に“カナダにいるマッシャーの方の連絡先を教えてください”とFAXを流しました。そうしたらすぐに返事が来て、グラント・ベックという人を紹介してくれました。カナダチャンピオンに4回なった人でその人に“何でもします”というような手紙を書いて送りましたが、なかなか返事がもらえず...でも結局返事を貰えてカナダに行きました」手塚「その人の元で身の回りと犬の世話という下積みを何年ぐらいされたんですか?」本多「約2年いたんですが、もっと長距離の犬ぞりをやる人の所に移りました。グラント・ベックは中距離専門だったので...」

 手塚「それで次はどこに行かれたんですか?」本多「カナダの左側にあるユーコン準州のドーソンという街で開かれるユーコンクエストという長距離レースで、ボランティアを募集していたので立候補しました。ボランティアをやる傍らマッシャー一人一人に“ハンドラーはいりませんか”と売り込んでいました。そこで一人だけアラスカに住んでいるジミーという人が“アラスカにおいで”と言ってくれたんですが、アラスカに行くお金がなく、中古の自転車を買って、それでアラスカまで...」手塚「ちょっと待ってください。カナダからアラスカですよね。よく決断しましたね。どのくらいかかりましたか?」本多「結局自転車ではいけなかったんです。途中で自転車が壊れて...。それで車に拾われたんですが、そこまでに風邪をひいたりして12日間かかりました」


本多有香2 手塚「アメリカ、アラスカ州では『セーラム・ラン』と呼ばれる犬ぞりのイベントが毎年行われています。これは1925年、ジフテリア蔓延のため全滅の危機にあった街に、唯一の交通手段であった犬ぞりで血清(セーラム)を運び、人々の命を救ったことに由来しています。本多有香さんはこのイベントに日本人として初めて出場しました。これは所謂普通の犬ぞりレースとは違うんですって?」本多「そうです。レースではないので速さを競うわけではないのです。これは選ばれれば幸せという、選ばれるまでが大変と言うイベントです」手塚「誰でも参加出来るわけではないのですか」本多「今までの経歴などで選考されますから」

 手塚「12頭の犬を操るわけですから、不平不満をいう犬もいると思いますが...」本多「(笑)犬には6時間走って6時間休みというトレーニングを毎日やっているので、犬たちもそれは分かっているのですが、ストレスでどんどん食べなくなってくるので食べさせる工夫が大変ですね。なるべく(水を)飲ませて脱水だけは避けないと犬も凍傷になってしまうので...」手塚「犬が凍傷になるから靴下履かせると言う話を聞いたことがありますね。犬とのコミュニケーションはどのようにとっていくのですか?」本多「毎日の積み重ねで信頼関係が出来てくるので、その『セーラム・ラン』の頃には変な問題はなかったです」

 手塚「過酷な目にあって、辞めようかなと思ったことはないですか?」本多「結構弱っちいので...、あります(笑)何度も“あ〜あ”って」手塚「それでもやっぱり走りたい」本多「そうですね。最終的にはそっちになりますね」手塚「その惹き付けられる魅力はどこにありますか?」本多「やっぱり犬ですよね。犬って凄いですよね。犬にはかなわないです。“休みたいな”と思って世話してても、(犬が)“走りたい走りたい”って言ってきて、“行こうかな”という気持ちなります」

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8月6日 ゲスト:本多有香さん

本多有香3  手塚「本多さんは犬ぞりレースのマッシャーですが、犬ぞりをひく犬と狩人の物語を描いた映画『狩人と犬、最後の旅』が公開されます。この映画の舞台がユーコン準州で、ここで行われている『ユーコンクエスト』に本多さんも参加されたんですよね。このユーコンという所はどんな所ですか?」本多「自然がいっぱいあって綺麗な所です」手塚「拠点とされた場所は?」本多「この映画にも出てくるドーソンシティという所で2週間ぐらい住んでいました」手塚「ここでは皆さんどんな生活をされているのですか?」本多「ほとんどの人は夏の間、金を採っていて、冬はただただ飲んでいると言う(笑)」手塚「主人公が犬ぞりをひいているシーンをご覧になっていかがですか?」本多「もう本物ですね。見れば分かります。私も知り合いに犬ぞりで行う狩人の方がいるので、嘘ではない、作り物の映画ではないと感じました」

 手塚「オーロラが出るシーンがありますが、本多さんもオーロラをご覧になっていますか?」本多「そうですね、あっちにいるとちょくちょく見られますね。結構9月によく見られます」手塚「どんな感じですか、私はまだ見たことがないのですが」本多「恐かったですね...。なんと言っていいか...。恐かったですね。ちょうどキャンプに出かけていて、自分と犬だけだったんで...」


本多有香4 手塚「本多さんはこの映画の監督、ニコラス・ヴァニエさんとお会いしたことがあるそうですね。この方も凄い冒険家なんですよね」本多「そうですね。共通の知り合いがいて凄く気さくに話してくれました。ほとんど犬についてのことと、ご自身の冒険の話、また彼は『ユーコンクエスト』にも出ているのでその時の話を聞きました」

 手塚「今回の映画で伝えたいことなどはお話しされましたか?」本多「自然の中での人間の役割が見所だと思います」手塚「本多さんもカナダに暮らしてて、自分が生きるために動物を殺生するということを目の当たりにされましたか?」本多「日本にいた頃は抵抗がありましたが、カナダでは必要なことで、獲りすぎているわけではないので。例えば毛皮がないととても暮らしていけないですし、肉もそこにいる動物でなければ採れない栄養がありますから」

 手塚「本多さんも犬がいなければそこにたっていなかったと思うことはありますか?」本多「思います。犬なしではやってこられませんでした」手塚「犬ぞりを始めてからとペットで飼っていた時とでは犬に対する感じは違いますか?」本多「違いますね。ペットとは違う...信頼関係があります」

 手塚「今後の予定をお聞かせください」本多「来年こそ『ユーコンクエスト』に出て完走することが予定と言うか、目標です。資金面で苦しいので、今働いているのですが(笑)」手塚「今は日本で資金作りをされているということで、いつ頃いかれるのですか?」本多「今回は10月の頭に行く予定です」手塚「そこからまた訓練して、体を慣らして、犬を慣らしてということですね。夢は?」本多「やっぱり優勝ですよね。『ユーコンクエスト』ともう一つ『アイディタロット』の両方に出て両方とも優勝したいですね(笑)」


嵯峨生馬さん 冨田秀実さん、小西雅子さん

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