EarthDreamingロゴ 放送内容
Line
4月 大平貴之
4月 彦坂 裕
5月 ヨシダダイキチ
5月 五味美保
5月 加藤登紀子
6月 井上葉子
6月 羽仁カンタ
6月〜
7月
浦沢直樹
7月 石飛智紹
7月 ABC アウト
ドアフェスタ2005
8月 大蔵喜福
8月 佐藤文廣
9月 石飛智紹
青山 貴
9月〜
10月
トヨタ
白川郷自然学校
10月 彦坂 裕
10月 藤崎達也
11月 仁志田博司
11月 宇多弘行
12月 川端由美
12月 水谷優子
12月 2005年を振り返って
1月 手塚眞
1月 鈴木重子
2月 竹下景子
2月 鮎川ゆりか
2月〜
3月
石井竜也
3月 青木静
3月 パトリック・ライアン
4月17日ゲスト:建築家、環境デザイナー彦坂 裕さん

彦坂裕1  手塚「彦坂さんは愛知万博の長久手日本館、瀬戸日本館を始め政府出展事業のクリエイティブ統括ディレクターを務められています。長久手日本館は竹の籠で包まれていて、繭の形をしていますが、どうしてあの形になったのですか?」彦坂「博覧会のパビリオンは、大阪万博の頃から、目立つ建物で中に入ると違う展示をしているというようになっていました。それがそろそろ飽きられたと思ったんです。なぜかと言うと現実の都市がそのようになっていますから。また今回は“地球環境博”です。建築というのは土木に次いで環境をいじります。ですからそこも念頭に、また地球環境にとって我々の生活レベルで適用できるアイデアを取り入れて...。で最初にひらめいたのが二重皮膜という言葉です。分かりやすくいうと地球がそうですね。オゾン層があって大気がある、それで生命を守っています。そういう物を建築で考えられないかと思って設計しました。
  外側の竹籠はすかしになっていて、それは日よけの役目もします。昔のすだれと同じ効果なんです。なんで繭の形かと言うと別に四角でも良かったんですが、人間の記憶の中にある形、例えば貝殻や卵の形。それを見ると幾何学的にデザインされた物を超えた何かを感じると思うんです。それともう一つ、中の建物は四角で外が三次元曲面を持っていることで、空気の流れが出来ます。それらすべてを合わせてあの形になりました」手塚「いろんな意味と取り組みがあってあの形になったんですね。日本はヨーロッパから見るとエコ大国なんです。特に明治維新以前は。日本の木造建築は日当たり、風通し、水はけが良いんです。ですから日本の伝統的な物と自然の叡智を、もう少し現代的に表現した物と考えていただけると分かりやすいと思います」


彦坂裕2 手塚「長久手日本館は竹で覆われていますが、なぜ竹なんですか?」彦坂「テーマが環境なのでバイオマス(生物由来の材料)、すべて土に戻るものを使いたい。繭の中の建物も木造ですし、プラスティックはトウモロコシを原料にした生分解性プラスティック、レンガ、これらすべてが土に戻ります。ですから外側の材料もそういう物で尚かつ強度がある、ということで竹になりました。また現在“竹害”というのがあります。竹が里山の生態系を壊してしまうんです。ですからそういうところの竹を使っています。それでお互い良いことずくめなんです。また竹が生息するのは世界で東南アジアと南米、アフリカの一部、開発途上国が多いんです。先進国では日本ぐらいです。パビリオンに竹を使うことによってそういった国々にアピールし、技術を提供できる。この竹によって、日本型のグローバリゼイションが出来るのではと思っています」
line
4月24日 彦坂 裕さん

彦坂裕3 手塚「環境デザイナーとはどういったお仕事なんですか?」彦坂「建築家と環境デザイナーを併記しています。英語で言えば"architect"の一言で済むんですが、なかなか分かってもらえないのでそれで通しています。日本で建築家というとビルを造っている人というイメージがありますが、僕がやっている仕事はもっと幅があります。例えば建物の設計だけなら建築家で済みます。ところが僕はコンセプトを作って、建物を造り展示をし、映像も手掛けています。そうなると単純に建築家とは言えないんです。また環境というのは時間と空間から出来ています。で、それをどうやって演出するか、という意味を込めて環境デザイナーというのを付け“建築家、環境デザイナー”と併記しています」

 手塚「現状の地球環境の中で、どのような建築物を造っていくべきだと思いますか?」彦坂「僕は都市デザインも手掛けています。それは短くても何十年というスパンなんです。そうすると自分が生きているうちに終わらないということがあります。でそこに対する想像力がどこまで持てるかという気はしています。僕が今欲しいのは近視眼的な側面、今をどうするかと言うことと、百年2百年先を見通せる想像力その2つです。長いスパンで物を考えられれば今、目の前で決定するべき事の選択肢が増えるんです。それが出来るようになることが一番大事だと思っています」


彦坂裕4 手塚「将来実現したい夢は?」彦坂「夢の話を良く聞かれるんですが、それ以前に何かやると“これはどう意味があるんですか”とか“何を表現しているんですか”と聞かれます。ですからまったくそうではないもの、何も表現していない、何も意味が無いという物を作りたいですね。難しい言い方ですが、建築が建築であること以外、説明のしようがないというもの...ただあるだけで成立しているものを作りたいですね。じゃーそれがどんなものかといわれると困るんですが、昔バベルの塔ってあったでしょ。ああいうのですね。ようするに目的が先の建物ではなく、建築物が先にあってそれをどう使うかという目的が後の物を作りたいですね。もう一つは私達の記憶にない、まったく未知なものを作りたいですね」手塚「これからやっていくお仕事の中で、ご自身の中に今まで無かった物にチャレンジしてみようということですね」

大平貴之さん ヨシダダイキチさん

このページのトップへ戻る
手塚るみ子プロフィール 放送内容 お便り トップページへ。

Line