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2019年4月24日

シリーズ「真夜中の定点観測」日本一のキャバレーを誇った“娯楽の殿堂”から“アングラの聖地”へ  大阪・なんば「レジャービル 味園」

特集

味園、味園・・・

 ここは、大阪屈指のディープスポット。

「ここが一番刺激的やったから入ってみた」

「ユートピアやなと思いましたね。最後の楽園やな!」


街で気になる、あの場所この場所に、そっとカメラを、置いてみました。シリーズ・真夜中の定点観測。今回は、建築から60年以上。裏なんばで異彩を放ち続ける「味園ビル」。かつては、「日本一のキャバレー」とうたわれたユニバースをはじめ、スナックやサウナなどが詰まった、娯楽の殿堂でした。今は、個性的なお店が並ぶ、アングラの聖地へと変貌を遂げ、注目を集めています。そんな、味園ビルに、いったいどんな人がやってくるのか、夜を待ちます。

アングラな深夜喫茶

 まずは、味園に店を構えて14年目、「深夜喫茶・銭ゲバ」。マスターのムヤニーさん(45)が1人で切り盛りする店内は、いかにもアングラな雰囲気です。夜7時半、1人の女性が入ってきました。

「あ。今、気持ち悪いやつ作ってるんです。ほら新しいやつ気持ち悪いやつ」(女性)


マスターとなんだか楽しそうに話していますが、お仕事は?


「今は細々と人形作家を。人形を作って、展示会とかで販売したりとか。」(女性)


人形作家の遠山涼音さん(27)。作るのは、球体関節人形と呼ばれる、美しくも、妖しげなもの。よく飲みに来るこのバーにも、展示しました。


「たまに酔っ払ったここのお客様とかが、『酔っ払って、絵飛び出て見えるわ』みたいな風に言ってもらって。それが個人的にはすごいうれしいというか。そういう酔っ払った状態で見てもらうのが、この作品の正解なんかなって思ったりしてます(笑)」(遠山さん)


明るく話す彼女ですが…。


「幻覚とか幻聴とかが出るんですけど。幻聴から逃げるような感じ。感覚が麻痺していて。3階やみたいな意識が無くて。普通にパッて走り抜ける感じで駆けたら、バンって落ちて」(遠山さん)


4年前、心の病により、建物から飛び降り、骨折。医師には一生車いす生活と宣告されましたが、杖を使い歩けるまで回復しました。そんな遠山さんが、「銭ゲバ」に通う理由は?


「何だろう・・・本当に、すごく優しい親戚のお兄さんの家、みたいな。ただただ聞いてくれて、不意に助けを出してくれるというか。」(遠山さん)

「10回に1回くらいは怒ってるかもしれない。ひどすぎて(笑)」(マスター・ムヤニーさん)


ディープなレトロビルに、素敵な「居場所」を見つけました。

自由すぎるメイドカフェ

 さて、もう一つのお店は、まったく雰囲気が違います。かわいいメイドさんたちが切り盛りするバー、「Big Fish(ビッグフィッシュ)」。メイドさんたち、カウンターに立ちながら、お菓子をパリポリ。お客さんからは…

「何食べてんの? コメ? まぁまぁ自由な店やな(笑)」


ゆとり世代のメイドさんが、自由な雰囲気で迎えてくれます。


午後10時。店にやってきたのは、全員お医者さんという5人組。年に数回集まって、ハシゴしながら飲み歩くんだとか。


「じゃあドライマティーニある? ドライマティーニ」

「わからん」(メイドさん)

「じゃあそしたら、そうだなー。お嬢様聖水。お嬢様聖水(笑)」

「聖水にかんぱーい!面白い店やな(笑)生まれて初めて来た」


さきほど注文をしたこの男性。大ベテランの整形外科のお医者さんです。


「Q.医師の仕事はどうですか?」

「日々勉強だが、どうしたらいいかわからないような。目の前にある患者さんだけを考えている。そんな世界の、たとえばシリアの難民を救うとか、そういう気持ちは無い。自分のできることは、自分の目の前のこれだけ。やっぱり家族は大事にしないといけない。一番大事なのは家族」(医師の男性)


ほろ酔い加減のお医者さんから、すてきなホンネが聞けました。

泣いてた私の「居場所」を見つけた

 午後10時30分。「深夜喫茶・銭ゲバ」に、白い服と黒い服の、女性2人組が入ってきました。“ヒロこてん”さんと“Bugって花井”さん。なんとも個性的なお名前です。

「入ってくるなりそこ座って、当たり前のように寝よるねん。客が『あれ何ですか?』って聞くから、“座敷わらし”ですって(笑)」(マスター・ムヤニーさん)

「(ここにずっと居て)“座敷わらし”感をね、出していこうかなみたいな(笑)」(“Bugって花井”さん)


出会いは、ここ「銭ゲバ」だったという2人。“ヒロこてん”さんはデザイナーだそうですが、黒い服の“Bugって花井”さんは、座敷わらし、ではなく?…。

「東京で声優やってたんですよ。それからメガマウスザメっていうサメが好きで、

かぶり物をかぶって、歌も歌ってるんですよ。」(花井さん)

本業は声優ですが、モデルに、歌手にと、何でもこなす花井さん。しかし、ここに来るまでには、苦労もあったようです。

「8年前に大阪帰って来たんですよ。で、もう帰って着て行き場がなくて、毎日そこの、私の席で。そこで毎日泣いてたんですよ。毎日地獄みたいな感じやって、ここでこう、すんすん泣きながら寝てたんですよ。派遣のバイトしてて、『明日仕事が無いよ』って言われたら(笑)。日銭も稼げず。またすんすん泣いてた。こっち帰ってきてフリーになったんで、この店で色々仕事をつながる人を紹介していただいて」(花井さん)

「紹介してもまぁまぁ飛ばしてたけどね(笑)」(ムヤニーさん)

「いやぁ、もう病んでたから病んでたから。ここで泣いてたから。泣いてたから。春は良くないよー、病むから(笑)」(花井さん)


人生を変える「居場所」が見つかる。味園には、そんな不思議な魅力が、あるようです。

どうしてメイドさんに?

 カメラを置いたこの日は金曜日、味園にはひっきりなしにお客さんが訪れます。再び、メイドさんのお店「Big Fish」へ。メイドさんの2人、にいろいろ聞いてみました。


「Q.この仕事を始めたきっかけは?」

「きっかけ?きっかけはない。ない、ない。」

「Q.アニメが好きとか?コスプレが好きとか?」

「全然そんなんもないな。完全に何となくやな。何か一人でおったら病まへん?(笑)」

「わかる!(笑)それだったら誰か、全然知らない人でもいいからしゃべって(って思う)」

「Q.この仕事やってて楽しい?」

「まぁ、ちょうどいい息抜き」

バラバラの人が集まる“中継地点”

 深夜1時。さて、もう一度「銭ゲバ」の方をのぞいてみましょうか。

「ここが無かったら、正直店を開けれんかったってのはありますよ。ホンマですよ」


マスターにこう話すのは、1年ほど前独立し、自分のお店をなんばにオープンさせた、寿司職人の近藤晋太朗さん(38)。銭ゲバで広がった人脈があったからこそ、今があると話します。


「ここで飲みながら、僕のいまのお客さんにつながる人たちがここで広がったりとか、っていうのがメチャメチャあるんですよ。だからここがきっかけ」(近藤さん)


なぜか、人の人生を変えてしまうお店。「銭ゲバ」。それも素敵な方向に。かっこいいですね、マスター。


「目的はみんなバラバラやけど、バラバラの人が集まるっていうのは何か、そういうちょうど何かの中継地点なんかなって。」(ムヤニーさん)

「Q.(お客さんを)ほっとけない気持ちもある?」

「ほっとけないんなんかな? まぁやっかい事を処分してるだけなんかも知れないけどね(笑)。なんか、降りかかる火の粉をええように払ってるだけなんかも。払う場所選んで払ってるだけちゃいますか?」

「ある程度、健康になったら(店に)寄りつかんようになるんでね。『あいつ来んようになったな』って。来んようになったことが逆に、なんか上手いこと行ってんのかなって感じで、卒業していったみたいな。」(ムヤニーさん)


大阪・なんば。真夜中のアングラビルをのぞいてみると、そこには、人の数だけ物語がありました。

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特集

2019年4月23日

【ウエダのギモン】名物激安チェーン「スーパー玉出」 “地域粘着”戦略で再出発 「1円セール」は継続中 買収で何が変わった?

特集

2018年7月にフライフィッシュという会社がスーパーマーケット事業を買収しました。関西、特に大阪に住まわれている方よくご存知なんですが、スーパー玉出は、従業員1600人、売上高は450億円、45店舗のほとんどが大阪にあります。けっこう安い、そして前の社長が逮捕されたというイメージを持っている人もいるかと思うんですが、経営者が変わってスーパー玉出はどうなったんでしょうか?

大阪の激安チェーン

まずはスーパー玉出をよく知らない人のために、甚だ僭越ではありますが玉出歴20年の私が店舗をご案内しましょう!


「ありました、スーパー玉出!目立ちますよぉ!!あの看板を見ると購買意欲がそそられますよね。(ポスターを見つけて)何かが安い!普通、具体的に書いてあると思うんですけど。きょうは何が安いんだろう?」(上田剛彦アナウンサー)


「これ、うれしい。シュウマイ78円!このエリアが一番お値打ち感がある売り場ですね。あとお豆腐、お豆腐いくらだと思います?正解は39円。10丁食べても390円です。」(上田アナ)


大阪一の激安スーパーと謳っているだけあって、店舗には驚きの価格が、ずらりと並んでいます。

“地域密着”を超えた“地域粘着”へ

そしてスーパー玉出の名物といえば、コレ!(きょうはフィッシュソーセージです)


「玉出名物1円セール。1円です。1円ですよ!」(上田アナ)


名物とはいえ、どうやったら1円なんていう価格が、実現できるんでしょうか?現在スーパー玉出を運営している、フライフィッシュの國枝さんに伺いました。


「セールの商品は、当然ですが100パーセント赤字です」(フライフィッシュ取締役 國枝尚隆さん)

「そうですよね」(上田アナ)

「ただ、1000円以上のお買い物、ですから、1001円のトータルで利益が出ればいいと思っています」(國枝さん)

「これはむしろ、商品が安いというアピールのため?」(上田アナ)

「1円セールというイベントを楽しんでいただけたらいいと思っています」(國枝さん)

「会社が変わっても1円セールは面白いから続けていこうと」(上田アナ)

「そうです」(國枝さん)


スーパー玉出は、1円セールをはじめとする驚きの低価格が売りのスーパーですが、昨年買収され、何か変わった事はあるのでしょうか?


「外から見てスーパー玉出は、地域に根付いている大阪のアイコンのような存在だと思っていました。(買収後)私が経営が関わってもそこは大切にしたい。地域密着ではなく地域粘着だと思っています」(國枝さん)

「粘着?よりピタっと?」(上田アナ)

「手を組み合わせてこういう感じです」(國枝さん)

「グッと?」(上田アナ)



惣菜が充実の品揃え

買収後のスーパー玉出は、地域密着を超えた地域粘着!個々の店舗が地域のニーズにより応えていこうと努力しているんです。花園店の方針が色濃く出ているのは、こちらの惣菜コーナー。常に150種類の惣菜が並ぶ、充実の品揃え。なぜこれが地域粘着に繋がるのでしょうか?


「なんでこんなに惣菜が沢山あるんですか?」(上田アナ)

「この店舗は年配の方が多いので、家で作るということをあまりしないので、宝箱のような(惣菜を)選べるような状態にしています」(花園店 惣菜部チーフ 中川広志さん)


そう、この品揃えは調理が億劫になりがちな高齢の方向け。中でも経営が変わる前から不動の人気を誇るのがコレ。


「えっ、コレ!?」(上田アナ)

「うなぎのタレで作ったうなぎのたれご飯。うなぎはのっていないんですよ。うなぎはあえてナシにしてます」(中川さん)

「実際にこれは売れてます?」(上田アナ)

「定番で売れてます」(中川さん)


花園店のお客さんは、特に低価格にこだわる方が多く、お値打ち価格でうな丼気分が味わえると、すぐに売り切れてしまうんだそうです。


「惣菜を新たに作ったり、価格を決めたりするのは上(本社)に相談するんですか?」(上田アナ)

「基本的には各店のチーフが考えてやります」(中川さん)

「そういうことで、地域ごとの店舗の差が出てくるんですかね?」(上田アナ)

「定番の商品以外は、各店のそれぞれのチーフのアイデアとそこに住んでいるお客様の声が反映されています」(國枝さん)

「究極の地域密着ですよね」(上田アナ)


プロが絶賛する鮮魚

次に伺ったのは、中央区にある周防町店。こちらでも地域に根付いた品揃えがされているようです。


「実はぼく、ホントによくこの店にきていたんです。ちょっと前まで近くに住んでいたんですよ。このお店のことはかなり詳しいです」(上田アナ)

「私より詳しいかもしれないですね」(國枝さん)

「あった!これこれこれ、見てください。(魚が)生きている、(こちらには)生きたイカにエビ!これが楽しくていつもここに来ていたんですよね」(上田アナ)

「周防町店はスーパー玉出45店舗の中でも、鮮魚コーナーが一番充実しています」(國枝さん)

「やっぱりそうなんですか。だってみてくださいよ。スズキ一本売ってるってありえます?鮎とかも売ってるんですよ。ツバスも一本です。サゴシに黒メバル・・・。よくこのお店に来ていて、なんでこんなに鮮魚がすごいんだろうって思っていたんですよ」(上田アナ

「自営で居酒屋とかやっているお客さんのニーズに応えて、少しずつ鮮魚を増やしていったんですけど」(スーパー玉出周防町店 鮮魚部リーダー 野口博幸さん)

「この近くにお住いの方というよりは東心斎橋とか難波の飲食店の人がよく買いに来る感じですか?」(上田アナ)

「そうですね」(野口さん)


周防町店の周りは、飲食店が立ち並ぶエリア。料理人さんたちからの「魚をまるまる1匹で買いたい」という要望が多かったことから仕入れるようになったんだとか


今日のオススメはコレらしいんですが…


「なんだろこれ?なんですか?」(上田アナ)

「モウカザメの心臓です。しっかり血を抜かないといけないですけど、刺身でいけます」(野口さん)

「お刺身用って書いてある。正直勇気ありましたね。よく3つも仕入れましたね」(上田アナ)

「そういうのも業者さんの情報が入ってきますから、揃えないとダメだと思って」(野口さん)

「スーパーで一番怖いのは残ってしまうことじゃないですか。全部、売れていくんですか?」(上田アナ)

「9割以上は売れますね。僕らも一個残るだけで大赤字ですから」(野口さん)

「そうですよね」(上田アナ)

「これとこれ(自分らの腕とトーク)で売っていきます」(野口さん)

「ここも店舗によってお任せしているところなんですか?」(上田さん)

「そうです」(國枝さん)

「今考えたら、スーパー玉出って、かなり専門店化している所ってあるんですね」(上田アナ)

「それぞれ違うところが 全体としての強みじゃないですかね」(國枝さん)


外国人のニーズに応えて

天神橋筋商店街にある店舗では、お客さんのニーズに応え、今年に入って外貨両替機を設置しました。なぜ、天神橋店で外貨両替機が必要なのでしょうか?


「天神橋のスーパー玉出のお客さんは、特に外国人の方が多いんです。全体的に幅広い外国のお客さんが来ていただいているので、外貨両替機を設置させていただきました」(スーパー玉出天神橋店 店長 楠俊彦さん)

「利用客は多いですか?」(上田アナ)

「24時間お店をやっていますので、梅田近辺の民泊で泊まっている方が多いみたいで、そのお客さまがこちらの方に両替にいらっしゃいます」(楠店長)

「民泊で自分でご飯作るときに、ここで(食材を)買ってというのは、買いやすいかもしれない。むしろ民泊利用の外国人旅行者にスーパー玉出は向いているといっても過言ではないですね」(上田アナ)

「はい、間違いないです」(楠店長)


この両替機は天神橋店の他に、日本橋や大国町など、外国人旅行者の多いエリアに設置されているんだそうです。




シニアも積極採用

「いままでのスーパー玉出のイメージがありましたよね?あまりいいイメージがない人もいたと思うんですが・・・」(上田アナ)

「これから1人でも多くのお客さまに実際に足を運んでいただいて、自分の目で見て欲しいなと思います。商品にしても他のお店に負けないようなものを取り揃えていると思っています」(國枝さん)

「だからこその地域粘着。それぞれの地域の特色をどんどん出して行こうという事ですよね。」(上田アナ)


もう一つ、スーパー玉出が力を入れていることが、高齢者の雇用です。65歳以上を積極的に採用しているんです。現在、従業員の約半数以上が60歳以上で、最高齢が81歳。少子高齢化に向け、元気な高齢者が働くことが、また高齢者の元気になるんでしょうね。


スーパー玉出というと、夜、すごいネオンなんですね。それが外国人に大人気で、自撮りしてSNSにたくさんアップされ、「映える」スーパーマーケットとして紹介されているようです。


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特集

2019年4月23日

自殺、事件、孤独死…増加の一途をたどる「事故物件」あなたは住めますか? 部屋の供給過多で悩む不動産業界が動いた

特集

「訳あり事故物件」その中身は…

 4月。桜もそろそろ見ごろを終えた頃、埼玉県内の住宅街を記者が訪れました。ある「訳あり」の物件を見せてもらうためです。案内されたのは、築20年以上という、マンション2階の一室。


「靴のままで大丈夫ですので。僕もマスク、大丈夫ですか?」(お困り不動産解決本舗・大熊 昭さん)

「Q.電気はつかない?」

「電気は止められているような形なんですよね。」(大熊さん)


なんとも言えない、強烈な異臭が漂う、この部屋は―。


「Q.こちらで亡くなっていた?」

「そうです」(大熊さん)

「Q.どういう状況だったのですか?」

「こちらで、ご自分で首つり自殺をされたということで。よく最近多いのはドアノブとかに縄をひっかけて首を吊るケースで、床にシミがあったりするんです」(大熊さん)


妻に先立たれ、愛犬と暮らしていた高齢の男性が、去年、自ら命を絶ちました。部屋は、ほとんど亡くなった当時のままです。


「やはり孤独でいるというつらさというかですね、一人で住んでると周りとのコミュニケーションも取れなかったりというのもありますので、こういった「事故」につながるケースというのは結構、ありますね。これからやはり高齢化社会だったり、単身でお住まいになる方も結構多かったりしますので、その辺では数は増えてきてしまうのかなと」(大熊さん)


過去に、事件や自殺などが起きた住宅。いわゆる「事故物件」。


「今回で言えば、全体的ににおいとかも残ってますので、オゾン消臭をかけてにおいを消したりとかですね、床でお亡くなりになってますので、床を張り替えたりもあるんですけれど、この部屋で言うと、ほぼほぼ、リフォーム全部かける形にはなりますかね」(大熊さん)


この部屋は、リフォームを終えたら、相場より2割ほど安い値段で、売りに出すそうです。


「Q.ご自身でお住みになる方の一番の決め手は?」

「やっぱりもう値段で割り切って買われる方です。気にしないという方も結構多いので

そういった方にはお得な物件かなとは思います」(大熊さん)

「事故物件」に住めますか?

「事故物件」に対する意識は、変わってきているのか?大阪の街で聞いてみました。

「ちょっといやや、抵抗ある。子どもおるから余計かも」

「全然問題ないです。あえて住みたいとは思わないですけど、たまたまそうだったとしてもそこまではないですね」

「納得した借りる人がちょっとでも安く借りられるのであればいいと思う。」

「Q.ご自身は?」

「いやです!」

ある調査では、事件や自殺が起きた部屋の賃貸を「条件次第で検討する」と答えた人の割合は、まだ、20数パーセントにすぎません。

正しい情報を消費者に

 しかし、大事なのは「条件」ではなく、「事実を知らせること」だとして、活動する人がいます。「事故物件」の情報サイトを運営する大島てるさんは、独自調査したものや、一般の人から寄せられた内容を元に、事故物件情報をネット上に提供しています。地図上に示された炎のマークが事故物件。クリックすれば、「事故の発生日」や「概要」がわかる仕組みです。

大島さんがサイトを立ち上げたきっかけは事故物件を告知しない一部の大家や不動産業者の存在でした。


「(一部の大家や不動産業者は)もうけるためには値下げせざるを得なくなるような要素・要因は一つ一つつぶしたい。その最たるものが過去にあった不幸な出来事。だからなかったことにしちゃえ(と隠蔽する)。消費者に対して本当のことを言う、嘘をつかない、というこういうテーマの一つであるということです」(大島さん)


さらに「事故物件」が注目される背景には、不動産業界を取り巻く環境があると、大島さんは指摘します。


「日本全国に言えることなんですけど、空き家が非常に問題化していまして。人口が減っている一方で、どんどんアパート、マンションつくっているわけです。不動産が余っているから、お客さん側がやっとわがままを言えるようになってきたわけです。人が死んだという経歴のあるところ(事故物件)はイヤだと。みんな困っているわけですから、正しい情報を持ち寄ってみんなの役に立つサイトにしようという信念でやっています」(大島さん)

「事故物件」を積極的に活用 その方法とは

 一方で、増加する「事故物件」を、積極的に活用しようという動きもあります。記者が訪れたのは、港町・横浜にあるマンションの一室。


「Q.ここの間取りは?」

「ワンルームですね」

「Q.リフォームもしました?」

「リフォームも終わっています」


一見、どこにでもある、ワンルームに見えるこの部屋は…


「70代前後くらいの男性が1人で住まれていまして、ここで病気で孤独死されたと」(アウトレット不動産・昆佑賢さん)

「Q.当時の部屋の状況は?」

「どちらかというとゴミ屋敷みたいなかたちで、特にアルコールの空き瓶とかがレジ袋に入れてあって、それを出そうと何十袋になっていたんですけど、それが出せないで亡くなっていたという状況ですね」(昆さん)


高齢者の孤独死。現代では日常的な出来事でも、「事故物件」として扱われることも。「アウトレット不動産」では、リフォームに「ある工夫」を取り入れています。


「建物ってみんな直線なんです。そこに曲線を取り入れることによって心に与える影響を変えていく。さらに、暖色系で暖かみのある環境にすることによって、なるべくくつろげる空間を演出するということになっていますね」(昆さん)


ただ、リフォームするだけではなく、次の「事故」につながるような、入居者の「ストレス」を、取り除く事が大事だといいます。


「同じような事故が起きる確率を下げることが出来ると思うんですね。100%は無理かもしれませんけど、そういう配慮は住宅の場合特に毎日のことなので、必要だと思います」(昆さん)


この業者によるリフォーム物件で、2度目の「事故」は起きていません。

「自然死」物件専門のサイト

 続いて、記者は東京へと向かいました。「事故物件」に対する新たな活動が注目を集めています。不動産情報サイト「ポックリ物件.com」。名前の通り、扱うのは「ぽっくり」と自然死した物件のみ。

「『自然』とついているくらいなので、自然死に関しては人の営みの中で起こることかなと思います」(ポックリ物件.com・山本遼さん)


高齢化が進む中、入居者の「自然死」は、決して非日常の世界ではありません。関心も高まってきていて、先月にサイトを開設してから1ヵ月あまりで、100件ほどの問い合わせがありました。


「前の方が長く住まれていたんですよとお伝えすると、非常に喜ばれるケースが多いんですね。きちんとした大家さんがいて、管理会社があって、前の方も気持ちよくお住まいなのであれば、すごく商品的に魅力があるモノかなとは思っております」(山本さん)


亡くなるまで暮らすことができた家だからこそ、次の人も安心して暮らすことができる。山本さんは、そう、考えています。


「最期は自宅でぽっくり逝きたいと思っていても、なかなかかなわないのが日本の賃貸事情なのかなと思っていて。最期、安心してこの部屋で亡くなってもいいんだって。安心感の部分をぽっくり物件では作っていきたいなと思ってますね」(山本さん)


ワケあり物件も、物件の数だけ、ワケがあります。そのワケを解消すれば、「事故物件」も生まれ変わることができるのです。

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特集

2019年4月17日

【ウエダのギモン】アパホテルが大量増殖中 驚異の急成長を実現する独自戦略とは

特集

 アパホテル、なんといってもあの社長が有名ですよね。バラエティ番組にも引っ張りだこです。大阪・梅田に西日本最大級、1500室超のアパホテルが2022年末に開業するというニュースが飛び込んできました。有名なのはわかりますが、こんなにたくさんの人を一気に泊めるところをつくって大丈夫なんでしょうか?この思い切った投資をするアパホテルのなぜ、どこがそんなにすごいのか、その戦略を探ってきました。

それにしても多過ぎない?

 「梅田の新御堂筋の乗り口、そして繁華街中の繁華街のこの場所に新しいアパホテルができるということなんですが、なんと言っても広いですよね。30階くらいありますかね。この角度ですね。だってほら、向こうに観覧車が見えるでしょ。阪急もあって。まさにこの角に、こういう感じで建つっていうことですよね」(上田剛彦アナウンサー)


 しかし、驚くのは まだ早かったんです。アパホテルの西日本地区全体の責任者、出倉(でぐら)さんに、「見てほしいものがある」と 案内されたのは・・・


 「ここも今アパホテルを建築しています」(アパグループ 出倉輝祐・西日本地区統括部長)

 「えっ?これもアパホテルなんですか?」(上田アナ)

 「はい」(出倉さん)


 梅田に1500室を建てることだけでも驚きなのに、別のこの場所、本町にもすでに、およそ900室という大型アパホテルを建築中でした。今年の秋にオープン予定の、「アパホテル&リゾート 御堂筋本町駅タワー」。リゾートという言葉を加えただけに、屋外プールも付くそうです。

 実はいま、アパホテルは急激に増えています。大阪市内の場合、3年前までは8カ所でした。それが、おととしと去年でプラス5カ所。今年以降、さらに8カ所建てることが決まっています。「どんどん増やす」、これこそが、今のアパホテルの戦略なんです。


 「需要の旺盛なところで、ドミナント戦略と大型化戦略を取らせていただいています」(出倉さん)

 「ドミナントと大型化?」(上田アナ)


 「ドミナント戦略」という言葉、コンビニがよくやる手法として耳にしたことありませんか?特定の地域に、集中的に出店することで、他社より優位に立つことを狙う戦略。それを、アパホテルも進めているんです。いま建設中のアパホテルのすぐ近くにも・・・別のアパホテルがあります。こうすれば、メリットがたくさん。

メリットがいっぱい

 「強気な予約というのを取ることができるようになります」(出倉さん)


 強気な予約とは、一体?ホテルとしては、当日出るキャンセルを見越して、客室の数より多めに予約を受ける「オーバーブッキング」をしておきたいもの。でも、意外にキャンセルが出なかったら、と思うとなかなか強気にはなれませんが、アパホテルの場合は。


 「もしオーバーしたとしても、近くのアパホテルにお泊まりいただいて、お客様に満足を提供することができるという形になっています」(出倉さん)

 「なるほど。例えば5km10km離れているとこに泊まりに行けって難しいですけど、“そこの角曲がったとこにもあります”」って言えますよね?」(上田アナ)

 「はい」(出倉さん)

 「そうすると空室が少なくなる?」(上田アナ)

 「そういうことです」(出倉さん)


 さらに、こんなメリットも。


 「わが社で言うと4年~5年で支配人。若手登用って言うのができるようになります」(出倉さん)


 ホテル業界も人手不足。まだ経験の浅い若手社員に、支配人を任せることも少なくないそうですが、そこで「ドミナント」が生きてくるというんです。


 「若手で初めて支配人になった人というのは、やっぱりドキドキしますよね。で、それが近くにベテラン支配人がいるということで、そのサポートをすることができる」(出倉さん)

 「あっ、なるほど。近くに同じホテルがあることで助け合える?」(上田アナ)

 「そういうことです」(出倉さん)

 「人材育成につながるんですか?」(上田アナ)

 「つながっていきます」(出倉さん)

アパホテルの独自戦略とは?

 でも、そもそもですよ、こんな都会に、“ドミナント”できるほどの 空き地が残っているのか?というのも、ギモンなんですが・・・


 「変形地であったり、矮小地(わいしょうち)であったとしても、設計力でカバーできます」(出倉さん)

 「変わった形の土地であっても、建てるだけの建築力みたいなものがあると?」(上田アナ)

 「はい」(出倉さん)


 建物を建てにくいと敬遠される形の土地でも、立地がよければ積極的に買うそうです。


 「どんな土地になるんですか?」(上田アナ)

 「例えばですね東京の新宿でやっているのは、十字型の土地」(出倉さん)


 新宿にあるアパホテルは、上から見るとこんな形。四隅には別のビルが先にあったので、そのすき間を埋めるように建てられました。渋谷にあるアパホテルは、「L字型」です。このように形が変わっていても、お客さんにとって、ホテルの中では何も不都合はありません。


 「ちょっと変わった形の土地というのは、その分、土地の値段が安かったりするんですか?」(上田アナ)

 「まあ、相対的に見ればやはり割安で買うことは可能ですね」(出倉さん)

環境やコストを考えた工夫

 好調のヒミツは、もちろん、ホテルの中にも。

 

 (ホテルのロビーに入って)「わ~っ」(上田アナ)

 「豪華でしょ?」(出倉さん)

 「豪華です。だってほら、シャンデリアがすごいですね。もっとシンプルな感じなのかなって思っていたんですけど」(上田アナ)

 「いやいや違います。誇りをもってお泊まりいただくだけのグレード感というのを我々が提供させていただかないといけないので」(出倉さん)

 「なるほど」(上田アナ)


 アパホテルは、ビジネスホテルと思いがちですが、平日はビジネスマン、休日は観光客、両方をターゲットにしたホテルづくりをしているそうです。


 「(客室へ案内して)こちらになります」(出倉さん)

 「これがこのホテルの一般的なお部屋ということですよね」(上田アナ)

 「はい。スタンダードルームです。どうぞ」(出倉さん)

 「失礼します。あーなるほど」(上田アナ)

 「客室はコンパクトに作っています」(出倉さん)

 「ボクもけっこうコンパクトだなというふうに思いました」(上田アナ)


 これ、元々は環境対策。エアコンをつけるとき、コンパクトな部屋の方が設定温度に早く届きますよね。その分、CO2の排出量を減らすことができます。しかもそれは、コスト(光熱費)の削減にもつながります。


 同じ理屈で、こちらも。


 「(浴室へ入る)ちょっと失礼しますね。あれ?これ…」(上田アナ)

 「形ちがうでしょ?」(出倉さん)

 「何ていうの・・・」(上田アナ)

 「タマゴ型浴槽です。丸くすることによって、湯量が少なくて済みます」(出倉さん)

 「あー、角があったら、この分だけ、お湯が余計に入んなきゃいけなくなっちゃう」(上田アナ)

 「はい」(出倉さん)


 ほかにも水圧はそのままでお湯の量を減らすことができる「節水シャワーヘッド」や、お湯の入れすぎを防ぐため、設定した量で自動で止まる「定量止水栓」など、環境もコストも考えた工夫がいっぱい。

 かといって、サービスが落ちているわけではありません。


 「ベッドはゆったりと。1メートル40センチのダブルサイズ」(出倉さん)

 「確かに、すごい広い」(上田アナ)


 さらに、


 「部屋を明るくさせていただいてます」(出倉さん)

 「なるほど。この明るさというのはホンマに何をやってもいい明るさ」(上田アナ)

 「そうですそうです」(出倉さん)

 「地図を広げる、本を読む、もしくは仕事をすると」(上田アナ)


 実際、仕事をするために、「昼間だけ」の利用もあるんだとか。実はこれがミソ。一つの客室が、昼も夜も使われることになるため稼働率が100%を超える場合がある、というのもアパホテルの強みなのです。

 全国の客室の数は8万3000室。つまり一晩に8万人以上が泊まっていることになります。来年には10万室を目標にしています。これらの膨大な部屋を埋めるためにいろいろ戦略を繰り広げています。まず、料金設定は各支配人の裁量で決められます。「少し人が少ないな」と思ったら、グッと料金を下げて宿泊客を増やすことも可能です。また、アパカードやアパアプリの還元率が10%なんです。ということは同じタイプの部屋であれば、10回泊まったら1回タダということになります。会員数は現在1500万人、驚異的な数字です。

 2025年の大阪万博以後についても、人口の多いアジア諸国の所得水準がさらに上がり、日本への旅行者は長期的に増え続けると予想しているので、強気の戦略はまだまだ進んでいきそうです。

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特集

2019年4月10日

いつでも帰っておいで!神戸の下町で愛される子どもたちの天国「ねえちゃんの駄菓子屋さん」

特集

ありましたよね?こんな風景

 神戸市兵庫区和田岬。下町の空気感が残る町の一角に、レトロな店構えの「淡路屋」があります。店の中は、駄菓子がびっしりならびます。

「ねえちゃん!」

「おかえり!」

この店の常連客たちが学校から帰ってきました。みんなから「ねえちゃん」の愛称で呼ばれる伊藤由紀さん(49)は24年間、ここから賑やかな常連客を見守ってきました。


小銭を握りしめ、真剣にお菓子を選ぶ。子どもしか知らない世界がここにつまっています。4歳の女の子がお菓子を持ってやって来ました。伊藤さんは代わりにお金を数えてあげます。


「いっぱい持ってるんやな。白いの一個、穴の開いているの(50円玉)ないよな…これ一個、もらうわ。お金持ちやってんな(笑)」(伊藤さん)


「ねえちゃ~ん!ブタメンね。」

「ブタメン?いつものな。」(伊藤さん)


通な言葉遣いがニクい小学2年生の女の子。週の半分は淡路屋に来ているそうです。


「Q.淡路屋はどんなお店?」

「天国!あそこに住みたい。お菓子食べっぱなし。好きなものがいっぱいある。ねえちゃん優しい。」(女の子)

名物!100円クレープ

「ねえちゃん、チョコ」

「ぱりぱり?普通?」

「ふつう」


お腹をすかせてやって来た中学1年生が、頼んだのは、人気メニューの「クレープ」。


「Q恋の悩みは?」

「しない、ないです」(女の子)

「めちゃくちゃイケメンの彼がいる?」(友だち)

「おい!」(女の子)

「Qねえちゃんは知っている?」

「もう別れました(笑)」(女の子)


甘酸っぱい“恋のはなし“に合うのは、ねえちゃんが焼いた甘いクレープ。ラム酒とバニラエッセンスを入れた生地が甘い香りを立て、しっとりと焼き上がります。生地や具に使う卵は新鮮な淡路島産と、こだわりがつまったクレープが一個100円からという驚きの安さです。

親子3代 震災を乗り越えて

 ねえちゃんは、この店の3代目。


「なくしたらアカンとおもったんでしょうね、たぶん。おばあさんが女手ひとつで子どもを育てて頑張っていた店なんで、放っておけば閉店になるんで」(伊藤さん)


淡路屋は、60年前におばあさんが定食屋として開業。その後、店を継いだねえちゃんは、若い女性にも来てもらいたいとクレープを焼きはじめました。しかし、ひと月もしないうちに阪神淡路大震災が起こります。

「(震災から)店を開けて、近くの小学校の子らが毎日来てた。大人が忙しくて、(子どもたちが)ここに来たら誰かが来るから、会ってしゃべれるというのはあった。クレープが100円だったから買いやすかったとも思う」(伊藤さん)


震災のあと、居場所を探していた子どもたちの傷ついた心を癒やした“奇跡の味“。その後、駄菓子を置くようになっても、「奇跡のクレープ」は24年間100円のまま。来るのが子どもたち。(値段を)上げるのもかわいそうな気がして、できるところまで100円で。


「ねえちゃん、たこ焼きまだ?ほんまに、まだなん?」


淡路屋のメニューは豊富。腹ぺこ中学生の容赦ない注文をねえちゃんは、次々にさばいていくのですが。


「ねーちゃん、たこ焼きはまだ?」

「もうできるって、言うとんのやから待ってよ、もう!(笑)もうできるが長いねん。無理や、言うとんのやから」(伊藤さん)


ねえちゃんの仕事に口出しは無用です。


淡路屋には、子どもと一緒に2世代、家族で遊びに来る風景も見られるようになりました。


「ほんまに転校してきてすぐ来てくれて。ヤンチャやったんですけど(笑)」

「もう最低や!ねえちゃん…(笑)ココアのクレープ、ちょうだい!」


これこれ。なんだかホッとするこの味。

「泊まれる駄菓子屋」?

 いま、ねえちゃんは、となりの空き家を利用し、新しいことを始めています。

「ゆくゆくは簡易宿泊所にしたい」(伊藤由紀さん)


目指すは駄菓子屋と宿を合わせた「泊まれる駄菓子屋」。この街の魅力をもっと多くの人に知ってもらうためのアイディアです。例えば、ねえちゃんが子どものときに通った駄菓子屋。


「もう91になって」(駄菓子屋「中川商店」中川艶子さん)

「ええ!若いなあ!おばちゃんはまだ、バリバリやってもらわなあかん」(伊藤さん)

「もうバリバリどころか、バラバラやわ(笑)」(中川さん)


そして、大正10年から続く酒屋。店には当時、活躍したガス灯がいまも残ります。


「昭和の初め、私が子どもの頃は、親父がようつけよったけどね。電気事情がまだ完全じゃなかったから、よう停電しよったんです。」(酒屋店主の男性)


戦前から続く店も残る街。その魅力を多くの人たちに知ってもらえば、お店を長く続けるきっかけになると、ねえちゃんは考えています。

ねえちゃんへ恩返し

「ねえちゃん、来たで!」


大きなパンツを手に、やってきたイケメン。


「ボクシングの試合に出るねんけど。いままでお世話になったお店の名前を入れようと思って。オレ、中学の時に100円くらいしか使わないのに、この店に何時間も入り浸って」

「みんなずっとおったもんな。」


デビュー戦を控えた、プロボクサーの宮 正太郎さん(22)。この日は、お世話になった淡路屋の名前をボクシングパンツに載せたいと相談にきました。


「反抗期があって、学校の先生に怒られたり、言うことを聞きたくなかったりしたけど、ねえちゃんの言うことはだけは、すんなりと聞けた。怒ってくれたのは、今考えるとありがたかった」(宮さん)


母子家庭で育ったという宮さん。ねえちゃんは、“本当のお姉さん”のように接してくれました。


「みんなといるけど、ちょっとさみしげなところがあるような感じを私は受けてた。でも、打ち込めるものがあって、よかった」(伊藤さん)

「まずはデビュー戦に勝って、まだまだ宣伝力ないけど、勝ち続けて、少しでもお客さんが増えるように頑張ります。」(宮さん)


宣言通り、宮さんはプロボクサーとしてのデビュー戦を勝利で飾りました。次は「淡路屋」の名前が入ったパンツで連勝を狙います!

卒業してもまた来るわ!

 暖かな春風が頬を撫でる3月の終わりごろ、袴姿の女の子たちが淡路屋に駆けてきました。

「ねえちゃん!」

「おめでとう。すごいやん!きれい!」(伊藤さん)


この日は、近くの小学校の卒業式。ねえちゃんを囲んでの記念撮影は、毎年恒例の風景なんだとか。


「ねえちゃん、ありがとう!中学でもくるわ!」(女の子)

「中学になったら来られへんもんな。部活もあるから」(伊藤さん)


「やっぱりさみしいんですよ、巣立っていくのを見るのは。子どもたちはキラキラしている感じ。これから頑張ってほしいなと」(伊藤さん)


うれしい時も、ふと、さみしさを感じる時も、いつも「ねえちゃん」は淡路屋にいて、クレープの甘い香りとともに、優しさで包んでくれる。そんな場所が、神戸の下町にあります。


「もう、ここまで来たらやり遂げる。毎日(作品に)色を塗っているような感じなんで、完成してやり切ったと言うところでお店をやめます。ギリギリまで店に立ちたいと思います」(伊藤さん)

「Q.次の人生があったら?」

「次ね、絶対しません!絶対せえへん(笑)」(伊藤さん)

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特集

2019年4月9日

老朽化進む「あいりん総合センター」が建て替えで閉鎖 反対する日雇い労働者らが抗議 新たな“居場所”は…

特集

 大勢の労働者と、飛び交う怒号。

「労働者の、あんこ(日雇い)のおっちゃんいじめたらアカンで」

「シャッターなんか閉めんなよ」

労働者を見つめ続けてきた施設をめぐり、西成が、揺れています。

労働者をみつめて半世紀 老朽化進む建物

 大阪市西成区のあいりん地区、通称「釜ヶ崎(かまがさき)」に、49年前にオープンした「あいりん総合センター」。今も多くの日雇い労働者が行き交っています。しかし…

「天井の配管も錆が目立ちます。建物全体で老朽化が進んでいます」(ABCテレビ・田中啓介記者)


鉄骨がむき出しになった柱や壁が、あちこちに。耐震性の問題が指摘され、現地での建て替えのため、3月末での閉鎖が決まりました。

変わる時代 苦悩する高齢労働者たち

 センターは、高度経済成長期の労働力を支え、ピーク時の1990年頃には、年間およそ180万人が利用しました。その一方で、労働者たちは度々、社会への不満を爆発させてきました。1990年には、警察官が暴力団から賄賂を受けとっていたことがわかり、あいりん地区で大規模な暴動が起きています。

しかし、ここ数年は安い宿泊施設に多くの外国人観光客が集まり、周辺の環境は劇的に変化しています。変わりつつある町で、今、労働者たちは…


3月下旬。あいりん総合センターの閉鎖を間近に控えたこの日も、多くの人が集まってきました。仕事を求める労働者が、業者の車へと近づいていきます。フロントガラスには、金額や仕事内容がかかれた紙が貼られています。業者と合意すれば、労働契約書にサインし、現場に向かいます。仕事はたくさんあるようにみえますが。


「何?」(業者)

「(募集の定員)一杯?」(労働者)

「満杯。ごめんやで」(業者)


手配師と呼ばれる業者の男性は、高齢者や、ひ弱そうに見える人々には、見向きもしません。


「夜勤があったら夜勤に行くし」(労働者)

「Q夜勤明けでもう1本働くことも?」

「あります」(労働者)


この日の仕事をあきらめた人も。


「3時から(建物の外で)人を集める業者もある。そんなん起きれるわけないやん(労働者)

「貧しい人が住めなくなる…」再開発への懸念

 センターの別のフロアでは、段ボールを敷き、寝転ぶ人の姿も。仕事にあぶれ、帰る家もない人たちが日中、安心して過ごせる「居場所」になっていました。閉鎖を前に、西成区の職員が支援を呼びかけますが。

「閉鎖の情報は知らなかった?」(職員)

「うん」(労働者)

「痛いとか苦しいとかはないですか?」(職員)

「大丈夫」(労働者)

「大丈夫には見えへんで」(職員)


本人が希望しなければ、生活保護や、住居の手配を進めることはできません。


「人目もないし、ここはある意味天国。はっきり言って(閉鎖は我々の)排除。それは明白」(労働者)


大阪市は代わりの場所を用意していますが、これまで1回100円で使えたシャワーなどはなくなります。センターを利用する人たちは、取り壊しが始まる2年後まで、建物に居させてほしいと、訴えます。

また、帰る家が無い人たちの支援を続けている男性は、建て替えは社会的弱者の切り捨てにもつながると指摘します。


「ここがつぶされて、再開発に使われることに対する懸念は、多くの人が持っている。おしゃれな町とか、梅田なんばみたいに地価があがって、貧しい人が住むことができない可能性がある。」(野宿者ネットワーク・生田武志さん)

仮の移転先開設後も「居場所」を求め続ける人たち

 センターの隣に設置された、仮の移転先ではさっそく仕事の紹介が始まりました。ここでは、町の清掃など、比較的こなしやすい仕事の募集もありました。この日の清掃の募集は、およそ200人。 そこへ、高齢者を中心に400人ほどがやってきました。


「Q番号呼ばれました?」

「僕、明日。・・・」


仕事に就けなかった庄司賢一さん(67)。センターの界隈で、5年ほど、住む家のない生活をしているといいます。


「なんで(センターを)閉めなあかんねん。あんなくそ狭いところ(仮移転先)に200人、荷物置くのも遠慮してる」(庄司賢一さん)


所持金も、残りわずかです。


「千円札1枚と、あとは小銭1000円ほどあるかな。」(庄司さん)


庄司さんは、14歳の頃、集団就職で大阪へやってきました。38歳で結婚しましたが、わずか4年で奥さんに先立たれました。長年糖尿病に悩まされていますが、ささやかな楽しみがあります。


「1万円以上たまったら好きな映画を見に行く それがほんま楽しみ」(庄司さん)

「Q.生活保護にすぐ切り替えたいという思いは?」

「自分の体が元気な内はそんな考えは無い。建物のなかでじっとしとるのが嫌なんや」(庄司さん)


働きたい思いはありますが、仕事も家もなかなかみつかりません。毎日必死に、「居場所」を探し続けています。

迎えた閉鎖の日

 そして「あいりん総合センタ-」閉鎖がされる3月31日。

「閉鎖に抗議する人たちが、楽器やバケツをたたいて抗議しています」(ABCテレビ・田中記者)


「帰れーーーー!!!」

300人近くの労働者らが集まり、大声を上げます。大阪府の職員がシャッターを閉めようとすると、作業を阻止しようと詰め寄ります。


職員に説明を求める労働者たち。一部の労働者やその支援者は、職員の指示を無視してそのまま、建物の中に、残りました。結局、夜が明けてもシャッターは開いたまま。建物は今も、閉鎖できずこの状態が続いています。施設を管理する西成労働福祉センターは、「強制的な手段も含め対応を検討する」としています。

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特集

2019年4月9日

【ウエダのギモン】「デジタル遺品」の駆け込み寺 故人が残したスマホやパソコン 暗証番号がわからない!!

特集

 「デジタル遺品」ってみなさん、聞いたことありますか?亡くなった方が使っていたパソコン、スマートフォン、タブレットなどの中に、いろいろなデータが入っています。たとえば写真や思い出、家族のものなどいっぱい残っているんですけど、暗号とか指紋がないので開けられない。見ることができない。いったいその中に何が入っているんだろうという遺品なんですが、どうやって対処したらいいのでしょうか?「デジタル遺品」に困る人たちの“駆け込み寺”を取材しました。

保安検査場のようなゲートをくぐると・・・

“デジタル遺品”の悩みを解決してくれる会社が東京・銀座にあります。「デジタルデータリカバリー」です。オフィスに入るとさっそく…


「おはようございますー。これなんだろう?」(ゲートを通る上田剛彦アナウンサー)

「ピー」(アラート音)

「おっ、鳴りましたね」(上田アナ)

「失礼します!」(ボディチェックを始める警備員)

「ピピピピッピ」(アラート音)

「あっ、マイクがついてますね」(上田アナ)

「かしこまりました。ありがとうございます」(マイクを確認する警備員)

「飛行場にあるのと全く同じような。保安検査場みたいな感じですね」(上田アナ)


デジタル機器の持ち込み、持ち出しにとても厳しいこの会社。ゲートをくぐるとパソコンに向かうスタッフの姿、オペレーターがお客さんと電話対応する、ごく普通のオフィスの光景が広がります。しかし…


「ちょっとだけ違います。いわゆる薬局とかナースセンターみたいな服装をしてらっしゃる方がいますね」(上田アナ)


この会社の社長、熊谷聖司(くまがい まさし)さんに話を伺います。


「そもそもこの会社はどういう会社なんですか?」(上田アナ)

「お客様から大切なハードディスクをお預かりしまして、スマホとかですね。データの復旧だったりとか、データの解析をしている会社でして・・・」(熊谷聖司 社長)


そうなんです。壊れてしまったパソコンや、スマートフォンのデータを復旧してくれる会社なんです。そう、死んでしまった家族の“デジタル遺品”もここでなら取り出すことができるんです。


お金に絡むケースが多い

 「年間どれくらいの依頼があるんですか?」(上田アナ)

 「年間3万件から5万件の依頼があります」(熊谷社長)

 「そんなにあるんですか、それで復旧率、データが元に戻る率はどれくらいですか?」(上田アナ)

 「現状95.2%復旧できます」(熊谷社長)

 「ほとんどですね」(上田アナ)

 「ほとんどできます」(熊谷社長)


 しかも24時間体制で稼働し、国内シェアは11年連続トップを誇ります。


 「若くして旦那さんを亡くされたとか、何かの事故でご家族が亡くなったとか、お金に絡むケースが多くてですね。遺書を残しているケースだとか、保険が絡んでるケースだったりとか」(熊谷社長) 

 「遺書をデジタルで残してる人って、最近いらっしゃいますもんね」(上田アナ)

 「そうなんですよ」(熊谷社長)


 こちらは、ハードディスクがどう壊れているのかを診断する場所です。すると、スタッフの男性がハードディスクを耳にあてました!


 「シモシモみたいな感じで耳にあててるんですけど・・・。今なにやってるんですか?」(上田アナ)

 「これはいまハードディスクの動作の音を聞いてるんですけど、何かしら物理的に破損してる時って異音がしたりするんですよ。普通の音じゃない、カチカチとかカリカリとか、っていう特殊な音がするのでそれを今、見極めています」(スタッフ)


 たとえばこんな音です・・・(カチッ カチッ カチッ)


 「あっ、なんかクリック音というか、時計の針みたいな当たってる音がする。だいたいこの音の時は何かしら中に異常があって、実際に“クリーンルーム”の方で開封してどうなってるのかっていうのを確かめます」(スタッフ)


 そのクリーンルーム、いわゆる無菌室と呼ばれる場所では、ハードディスクの解体、部品交換が行われています。中にホコリが入るだけで傷がつく繊細な部品だけに、特殊な場所で作業を行わなければなりません。


 「ホントここバイオ産業みたいになってますね」(上田アナ)


 同業者の中でもクリーンルームがある所は珍しいそうで、東京都知事のお墨付きです。


成功率95.2%の実力は

 デジタル遺品の依頼は年間およそ400件。多いのが携帯電話の“暗証番号”がわからなくて、中のデータが取り出せないという問い合わせ。いったいどうするんでしょうか?スマホを用意して実験します。


 「たった今、私はここで熊谷社長と番組スタッフと一緒に写真を撮ります。そして、誰にもわからない暗証番号を設定します。果たして、私のスマホが解析されて、写真が再び戻ってくるのか試してみたいと思います」(上田アナ)


 暗証番号には、番組スタッフの誕生日「01月12日」を入れました。当然、社長たちには伝えていませんので、ふつうなら取り出せないはず。すると早速・・・。


 「なんか僕パソコンにつないでやるのかなと思ったけど、スマホを解体するところからスタートするんですね。歯医者さんが使う道具みたいなドライバーが何種類も並んでいます。(上田アナ)


 スマホはごらんの通りバラバラになりました。この中から小さなメモリーチップを取り出しそこからデータを抽出・解析します。

 作業開始からおよそ1時間。こちらの画面でさっきの写真が見られるというんですが・・・。


 「あっ、これ、これですよ!よかった復旧できて。一回、スマホはバラバラにはなったんですけど、その中のデータがきちっと残ってるっていう事ですよね。また組み立てることも可能なんですか?」(上田アナ)

 「可能です」(スタッフ)


 そして、暗証番号の解析はと言うと、別の画面で、ちゃんと番組スタッフの誕生日、「0112」だということがわかりました。

 デジタル遺品の場合、ほとんどの依頼はデータだけの抽出。新しいハードディスクにデータをコピーして、お客さんの元に送られます。こちらでちょうどメモリーカードに入っていた写真の復旧作業が終わったようです。


 「できているかどうか確認します。写真データですね」(スタッフ)


 ファイルを開くと写真がズラーっと出てきました。


 「4799枚ですね。ちゃんと入ってます」(スタッフ)

 「復旧するのにどれくらいかかるもんですか?」(上田アナ)

 「きのう、お客さんの持ってきたデータなんですが、本日中に取り出せました」(スタッフ)


平均単価23万円は高い?

 「気になるのは、いくらくらいでデータの復旧ができるかなんですけど」(上田アナ)

 「当社に関しましては平均単価が23万円となっておりまして」(熊谷社長)

 「けっこうしますよね。どうしてそれくらいの料金になるんでしょう?」(上田アナ)

 「大量に部品を購入しないといけないのと、あとこの設備ですね。当社は最新の設備を入れてますので、このあたりの原価を考えますと、23万円でも正直ギリギリですね」(熊谷社長)


 料金23万円と聞いて、半分ほどのお客さんが断念するそうです。本当にそこまで出してでも、お願いすべきかどうか、考え直すきっかけになっているのかもしれません。

 実際に、どんな依頼があるかというと、母親が亡くなる前「財産500万円を息子に相続させる」という発言をタブレット端末で動画撮影したんですが、壊せて取り出せなくなりました。これは映像が復元できたそうです。また、経営者だった父の死後に、家族が知らない会社が登記されていることがわかりました。そこで、遺品のパソコンから登記書類のネット銀行の口座データを発見しました。


 デジタル遺品の中でも、みなさんが持っているスマホ。これホントに要注意です。デジタル遺品に詳しいライターの古田雄介さんの話では、暗証番号がわからずやみくもに入力して何回も間違えるとデータが消えることがあるそうです。こんな心配ごともあります。デジタル遺品は本人確認が難しいです。トラブルに巻き込まれないために、元気なうちから暗唱番号を書き出しておくことが大事です。アナログな方法ですが、“デジタル資産”のスペアキーとして鮮度を保つことが大切だそうです。


 


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特集

2019年4月5日

オフレコ #307 被害が急増…凶悪化する「アポ電強盗」 関西の高齢者リストを取材班が独自入手 驚きの内容とは

特集

 高齢者を狙う「アポ電強盗」。東京の80歳の女性が殺害された事件で、男3人が起訴された。さらに、別のアポ電強盗にも関わった疑いが強まり、再逮捕される見通しとなった。

そんな中、ABCテレビの取材班は「アポ電詐欺」に関わっていた人物との接触に成功。さらに、アポ電による強盗事件は関西でも。関西でも勢力を広げつつある「アポ電凶悪犯」。知られざる犯行の全容に迫った。

元関係者との接触に成功 アポ電強盗の実態は…

「どのくらいあるか教えて。そっち行くから」

「会社のお金使い込んだのは、納得しない」

「100万、200万ない?300万くらいあるでしょ」

「困ったな、私も」

(「アポ電」の実際の電話音声 警察庁提供)


自宅にどれだけ資産があるかを聞き出す電話をした後に、その資産を狙って強盗に入る、いわゆる「アポ電強盗」。やはり気になるのは、犯行グループが被害者の連絡先を「どうやって知ったのか」ということ。そこで取材班は、アポ電の犯行グループとの接触を図るべく、1ヵ月間に渡る、取材を敢行。そして、ついに…


「いま連絡がきました。ご連絡くださいとあります。会えそうですね」(記者)


返信をしてきたのは、アポ電詐欺グループの元関係者。早速、待ち合わせ場所に指定してきた東京・渋谷の繁華街へと向かった。ところが…。

ギリギリになって、待ち合わせ場所の変更を告げる電話が。次に指定されたのは、5キロほど離れた新宿・歌舞伎町の路地裏。


「あ、あの男性じゃないですかね。ABCテレビですが、●●さんでいらっしゃいますか?」(記者)

「はい、そうです」(男性)


アポ電グループの元関係者で間違いないようだ。


「インタビュー取材を、お願いできないでしょうか」(記者)

「自分の身にも、危険があるので」(元関係者の男性)


交渉の結果、顔や氏名を明かさないという条件で、取材の了承を得ることができた。

驚愕…関西の高齢者リストが存在

「被害に遭った高齢者の連絡先を、どうやって知るのですか?」(記者)

「基本的には、名簿です」(男性)

「今回、その名簿を見せて頂くことはできますか?」(記者)

「はい。一部、今使われている名簿はお見せすることはできます」(男性)


そう言って取り出したのは、ごく普通のノートパソコン。ところが、画面を見ると、高齢者の氏名、生年月日、電話番号や住所が、ぎっしりと記されたファイルが。


「(高齢者の)カモリスト。(元は)とある証券会社から流れた名簿。全国、北海道から沖縄までありますんで、3万件以上はあります」(元関係者の男性)

「これ大阪ですね?大阪だけでも、こんなにあるんですか!」(記者)


リストには、関西地区の高齢者の情報も大量に。さらに、取材班を驚かせたのが。


「手持ち資産、それから年収…お金持ちということがわかってしまう」(元関係者の男性)


リストには実際の手持ち資産や年収までもが。


「準備段階のアポ電で聞き出した中身が反映されている。簡単にここまでしゃべられてしまうというわけですね」(元関係者の男性)

高齢者リストの信ぴょう性は…

アポ電グループらの犯行の原点ともなっているこれらのリスト。取材班は、リストに載っている関西の高齢者の自宅を1件ずつ訪ね、話を聞いてみることにした。


「あ、こちらですね。表札がリストに書かれている名前と同じです」(記者)


大阪市内の一軒家に住む70代のAさん。


「詐欺グループが持っているリストにですね、お名前が書かれていまして。こちらのお名前で、間違いないですか」(記者)

「そうですね」(Aさん)

「生年月日は?」(記者)

「あってますね」(Aさん)


かつて、証券の取引をしていたという、Aさん。資産状況を伺う詐欺まがいの電話が、実際に何度もかかってきているという。


「お宅は何か、昔、権利を持っているんで、(お金を)払い込んでもらったら、その権利がとれるからというような(電話があった)」(Aさん)


リストには、Aさんの手持ち資金は4000万円と書かれているが。


「失礼ですが、これくらいお持ちでらっしゃる?」(記者)

「それくらいはもちろん。それは、どっかのあれで、出たんでしょうね」(Aさん)


同じく、リストに載っていた70代のBさんは。


「昔、オレオレ詐欺が、かみさんのところに、かかってきた」(Bさん)


他にも、財務局を名乗る人物から頻繁に電話があり、新規公開株の買い付けを持ちかけられたりしたという。

「どのくらいありますかと聞かれて、(資産額を)気楽に答えたことはある」(Bさん)

「(アポ電グループに)こういった名簿が出回ってるんで、お気を付けください」(記者)

「ありがとうございます」(Bさん)


幸い、2人に被害はなかったものの、犯行グループがこれらのリストを元に、アポ電をしかけているのは、間違いないことが分かった。

「アポ電強盗」 被害は大阪でも

 さらに、そのアポ電が強盗に発展する事件が最近、多発。それは、大阪でも起きていた。

「気がついたら、両手両足、口に粘着テープを貼られて。初めから殴ってばっかりや。だから顔はこんな腫れてた」(被害に遭った男性)


70代のこの男性が被害にあったのは去年8月の未明。99歳の知人女性と同居する自宅に3人組の男が押し入った。男性が、金庫の鍵の在りかを教えずにいると、男らは。


「口をふさがれて、全部筆談で。私の指を、1本ずつ落とすぞと(脅された)。(さらに鍵の場所を)言わないと、おばあさんの足切るぞと。それは切りよった、ここ(床)を、バーっと血が流れているのを、いまだに覚えているよ」(被害に遭った男性)


業を煮やした男らは、近くにあった現金数万円を奪って逃走したが、その後あえなく逮捕。事件の前に、被害男性のもとに、金融庁の職員を名乗る人物からアポ電らしき電話が何度もかかってきていたという。


「『現金をどのように保管されてますか?』って言うから、だいたいこのくらいありますと。『他に何か貴金属は?』って言うから、金の延べ棒が何本かあると(答えた)。金融庁から来ているというたら、安心するわね。一般市民は」(被害に遭った男性)

被害が急増 その理由は

 それにしてもなぜ、このようなアポ電強盗は、最近、急激に増えているのだろうか?その背景にある事情を、元関係者の男性はこう話す。(元関係者の男性)


「オレオレ詐欺の場合は、取り締まりが厳しく、捕まるのはほとんどが受け子。受け子といわれる人の、リクルートが難しい。であれば少人数で、もっと手短にやってしまおうと、短絡的に。お金を持っているなら、そこに押し入っちゃえと」

東京・江東区で起きたアポ電強盗事件では、80歳の女性の命までもが奪われた。これも、犯行グループの短絡さが招いた〝悲劇〟だと、元関係者は語る。

「最初から殺すつもりは?」(記者)

「全然ないです」(元関係者の男性)

「騒がれてしまって、押さえてしまったということ。金庫はそのままだし、そこまで慌ててるわけですから。頭脳を使った特殊詐欺のメンバーではなくて、力をもって、奪ってしまえという、特殊詐欺の異端児みたいなグループが生まれてきているのは事実です」

「アポ電強盗」から身を守るために

 凶悪化が進む「アポ電」の犯行グループ。一体どういう集団なのか?もともと「オレオレ詐欺」を働いていたグループが、警察による取り締まりの強化や、1回で入手できる金額が限られることなどから、「それならいっそ、資産を持っている高齢者を調べ強盗に入ってやろう」と考え、犯行手段がエスカレート。犯行メンバーはSNSなどで集められ、中には地下格闘家を探し求めるルートまで使われる。一般に広く集められることから、「犯罪の素人集団」といえる。

その「アポ電」被害を防ぐには、どうすればいいのか。アポ電グループの元関係者によると、犯行グループが苦手とするのは「質問が多い人」。細かく質問を重ねるうちに、犯行グループのウソがばれるからだ。また、そもそも電話に出ないこと、録音機能のついた電話の購入も有効。さらに『関西の人たちは振り込め詐欺にはひっかかりにくいが、「もうけ話」にめっぽう弱い傾向がある』と元関係者の男性は話す。うまい話には乗らないよう注意が必要だ。

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特集

2019年4月4日

【ウエダのギモン】24時間営業の畳屋さんが大忙し! 10年で売り上げ14倍の好調の秘密探ります

特集

最近、コンビニやスーパーマーケットの24時間営業の是非が問われ、時間短縮の動きも出始めているんですが、今回、ご紹介するのは畳屋さん。それも24時間営業の畳屋さんです。はたして需要があるのかな?とみなさん思われるかもしれませんね。でもあるからこその24時間営業なんです。いったい、どんな人が利用するのか、どれくらい好調なのか、その秘密を探ってきました。

畳のつくり方教えてください

 「なんと言っても優しいいぐさの香りがします。初めて畳の工場に来ました。こんなにたくさんの畳を見ることなんてなかったですよね」(上田剛彦アナウンサー)


 兵庫県伊丹市に本社がある「TTNコーポレーション」。「三条たたみ」というブランドで知られる、畳のトップメーカーです。創業は 昭和9年。この本社を含めて、全国に工場が8カ所あり一日2500枚を生産しています。


 畳屋さんが「ナゼ24時間営業なのか?」を聞く前に、畳作りの現場を、辻野社長に案内していただきます。


 「今なんか、すごい音してますけど」(上田アナ)

 「これは畳みの大きさを調整して(土台を)カットしているところです。畳って1枚1枚サイズが違うんです」(TTNコーポレーション 辻野佳秀社長)

 「えっ?」(上田アナ)


 社長はいきなり何を言い出したんでしょう?だって畳は、1畳は1畳、4畳半は4畳半ってサイズは決まってるでしょう!


 「部屋の形って正方形・長方形に見えるんですけども実はゆがみがあるんです。僕たちマンションとか、大きなホテルの畳も作るんですけれども、部屋が100コあっても同じサイズ、同じ厚みの畳って2枚とないんです」(辻野社長)

 「えーっ?」(上田アナ)


 1枚1枚サイズが違うから、畳は、基本的に全部「オーダーメイド」なんですって。



 そうしてカットされた土台の上に、次は「畳表」、要はいぐさを編んだものを敷いて、巨大なミシンで縫い上げていきます。


 次は。


 「縁(ヘリ)を縫い付けする。(畳には)畳ベリというのが両サイドに付いていると思うんですけど」

 「付いてます付いてます。いわゆる作法的には踏んじゃいけないところ。あれが縫われていっているわけですね」(上田アナ)

 「そうです」(辻野社長)


 そして


 「出てきたときは縫い付けられただけの状態なんですけども、これをキレイに折りたたんで角をつくる作業ですね」(辻野社長)


 大半が機械化されていますが、ココは、職人さんの腕の見せどころ。畳は材料によって多少違いがあるものの、1枚の値段は、1万2000円程度だそうです。




 さて、ようやく本題です。こちらの会社が「24時間営業」を始めたのは、およそ15年前。当時の畳の需要は「減り続けている」最中で、ピークだった平成元年と比べれば、およそ半分。今もその歯止めはきかず、全盛期の3分の1以下です。(熊本県い業生産販売振興協会 調べ)


 「ただ、ココの工場は24時間稼働させているわけですよね?」(上田アナ)

 「はい」(辻野社長)

 「ということは拡大ですよね?」(上田アナ)

 「そうですね」(辻野社長)

 「矛盾しているように思うんですけどどうなんですか?」(上田アナ)

 「夜に畳がほしいというお客様がいたから、ボクたちも24時間の工場にしたんですけれども」(辻野社長)




夜に畳がほしい人って!

 真相を探るため、夜に再び会社を訪ねました。これから「夜に畳がほしい人」のところへ向かうというので、後を追ってみます。


 走ること50分。到着したのは、とれとれピチピチかに料理の「かに道楽」。


 「こんばんは。よろしくお願いします」


 閉店直後の夜11時。聞けば、畳の表を張り替えるために、これから、古くなった畳を運び出すというのです。

でも、お店はこの作業をナゼ、夜にしてほしいのでしょうか?


 「かに道楽は365日の営業でございまして、どうしても夜に作業していただかないと営業に差し支えますので」(かに道楽 東大阪店 小林孝雄支配人)


 畳を替えたくても お店を休みにできないため、閉店中にやってもらうしかない、というわけです。新しい畳を届けるのは、翌あさ8時。残り9時間を切りました。依頼された畳は、50枚。


10年で売り上げが14倍に!

 畳を会社に持ち帰ったのは、深夜1時。張り替えは、別のチームにバトンタッチされます。真夜中の張り替えサービス。これを始めた当時、おもしろいように注文が入り、それまでの年間売上げ4億5000万円から、今では、およそ14倍の、65億円にまで成長しました。


 ところでこの方、日本人離れしたお顔だなぁと思ったら日本人じゃありませんでした。インドの南にある「モルディブ」出身のモハメド・シヤさん。最初はアルバイトとして、軽い気持ちで始めたのに、今や一人前の畳職人に。 


 「夜勤だけではないんですか?」(上田アナ)

 「ではないです。来週はまた昼勤になる」(モハメド・シヤさん)

 「昼と夜どっちがいいですか?」(上田アナ)

 「昼ですね。やっぱり、夜ってちょっと眠くなる」(モハメド・シヤさん)








 あさ。約束の時間に、きっちり到着しました。新しく張り替えた畳の納品は、また別のチームが担当。完全分業制です。まぁ何ということでしょう!使い古された畳が、一夜にして、生まれ変わりました。


 飲食店に喜ばれる、畳屋さんの「24時間営業」。しかし社長にとって、当初は、無謀とも言える挑戦でした。


 「実際、本当に畳の注文が夜に来るのかというのは不安じゃなかったんですか?」(上田アナ)

 「不安でしたよ。畳の職人さんって夜中にやるなんて非常識ですから」(辻野佳秀社長)

 「そうですよね」(上田アナ)

 「最初は私が“一人24時間営業”をやってですね。それを数ヵ月続けて仕事が入ってくるっていうのを実感して、それから職人さんをどんどん増やしていきました」(社長)

 「でも今こうなってみたら、やっぱりそれが良かったと」(上田アナ)

 「そうですね。職人さんたちもシフト制で動く中で、今はそんなにストレスもなくやってくれているのかなというふうに思ってます」(社長)


 コンビニの24時間営業と違うのは、需要がしっかりあって、それに対応する体制もしっかりとれているということです。15年前にこのビジネスを始めるきっかけとなったのが、営業先で「真夜中に畳を替えてくれたらいいのになぁ」という一言でした。365日営業しているお店がたくさんあるから、この「畳屋の24時間営業」が成り立っているとも言えますね。



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特集

2019年4月2日

人々を癒やした温泉旅館が廃業…撤去か再生か 人気の温泉地で広がる「廃墟旅館」の現状

特集

 関西の奥座敷に広がる、「廃虚旅館」。 かつて賑わった温泉街は、その輝きを失いました。

しかし、「廃虚」広がる街に、再び火をともす人が…。ABCテレビの島田大記者が、「廃虚旅館」の現状を、取材しました。


熊野古道の旅人を癒やした秘湯

 日本屈指の名湯・白浜温泉(和歌山・白浜町)。そこから、南へ進むこと、およそ30分。風光明媚な海岸線に現れたのが…。


「ええっと、このあたりが椿温泉の中心部なんですかね。あまり人がいませんね。」(島田記者)


いにしえより、熊野古道を訪れる旅人を癒やしてきた、白浜町・椿温泉。豊かな自然に囲まれ、温泉界隈にあった「野生猿公園」から、かわいいお猿さんが出迎えてくれる秘湯は、新婚旅行の地としても人気を集めました。


「いやー、こちらの椿温泉のしらさぎさんのお風呂、いいお湯ですね。ビックリするくらい滑らか!本当にツルツルになりますよこれ!」(島田記者)


しかし、400年の歴史を持つ温泉地も、大きな問題を抱えていました。


「こちらが元湯・椿楼さん。創立明治35年ですか。随分由緒ある旅館だったようですけど。もう玄関見ると、もうやってないんだなと一目でわかりますね。螺旋階段のようなものもあって、中にソファがあって。賑わってた頃は、たくさんの宿泊客がいたんでしょうね。」(島田記者)


椿温泉のシンボル的存在だった、老舗旅館「元湯椿楼」。バブルの頃、団体客を見込み大幅な設備投資を行いましたが、その後、客足が激減。2008年に5億円以上の負債を負い、倒産しました。その後、所有者は何度か変わりましたが、現在も「廃虚」のままです。


「柱もグニャッと錆びついて・・・曲がっちゃって・・・朽ち果てています。ありゃりゃりゃりゃ、うわー・・・50cmくらいありますか、縦。こんなものが落っこってきたら、そりゃ危ないでしょう。」

「いや・・・さすがに営業はしておりません。もうドアは開けっ放しで・・・壁は崩れて、窓枠も崩れて。野ざらし状態ですね。」(島田記者)


現在、椿温泉では、椿楼を含む3軒の「廃虚旅館」が点在。その影響で、かつて賑わった温泉街も、輝きを失いました。椿温泉の住民たちも、複雑な思いを抱えています。


「うちも一軒になってしまった。」(日用雑貨店を経営する住民)

「前はたくさんあったんですか?」

「そうです。お土産屋さんね。ここの前にも、そうだったしね。この隣は酒屋さんやったしね。」


「もう全盛期の頃の賑わいなんて全然やし、限界集落やねって・・・(苦笑)。」(住民)

すぐに撤去できないその理由は…

「廃虚旅館」が、さらに「廃虚」を生む。負の連鎖が広がっていました。


「誰か怪我するとか・・・潰れて落ちて道通れんようになるとか、そんなん、ならんかったら行政も動けんと思う。人の家のもんやからね。」(住民)


住民の命をも危険にさらす「廃虚旅館」。自治体も、無関心ではありません。


「ロープを張ってね、『入るな』とか『頭上注意してください』とか書いたり。」

(島田記者)

「一応所有者さんの方には、依頼の通知を送ったりはしてるんですけども。」(白浜町建設課・佐藤充洋さん)

「10年以上放っておくと、こうなってしまいますか、建物は。」(島田記者)


2015年施行の「空き家特措法」に基づき、自治体は、「空き家」の所有者に対し、「指導・勧告・命令」を行った上で、改善がなければ、行政代執行で強制撤去することができます。しかし、椿楼の撤去にかかる費用は、なんと7000万円以上…


「代執行すればいいじゃないかと結構言われる時もあるんですけども。じゃあ放っといたら町が何とかしてくれるかみたいな、そういう風に思われるのも嫌なので、なかなか・・・そういった部分でも手を付けられない状態でもあります。」(白浜町建設課・佐藤さん)


放置すれば住民を危険にさらし、撤去すれば財政を圧迫する…「廃虚旅館」のジレンマ。


「うわうわうわ・・・何かすごいことになってますね。」(島田記者)

「台風とかも何回もあって。こういう風に外壁がどんどん剥がれ落ちて。で、今の状態に至っていると思います。」(白浜町建設課・佐藤さん)


「廃虚旅館」のような「空き家」を、民間業者が解体する場合、上限はあるものの、国が費用の5分の2、地方自治体がさらに5分の2、支援する制度があります。白浜町では、これを利用し、粘り強く所有者に働きかけていくということです。


「こちら所有者さんと話がつきまして、一応解体予定にはなっております。依頼すれば、やはり対応してくれる所有者さんとかもいてるんで。そういった空き家に対する活動というか、どんどん続けていきたいと思っています。」(白浜町建設課・さん)


「こう見るといい景色ですよ。こんな素晴らしい景色を目の前で見ることできるわけですからね。」

北陸のあの温泉郷でも…

「私、山代温泉、初めて来ましたが、今、目の前に現れた、なんか白亜の殿堂みたいな、立派な建物なんですが、もう閉鎖されています。正面玄関のところにロープが張られて。」(島田記者)

石川県加賀温泉郷・山代温泉。北陸道を降りて、最初に目にする建物が、この「松籟荘(しょうらいそう)・千味万彩」。2010年に事業を停止し、破産しました。


「『当分の間、休館させていただきます』と書いています。当分の間と言っても、おそらく7、8年、10年近くは休館しているんじゃないかと思います。山代温泉に到着したなと思って初めて見るのが廃虚っていうのはちょっと物悲しいですね。」(島田記者)


関西の奥座敷と呼ばれる、北陸随一の温泉街にも「廃虚旅館」が広がっていました。


「塀がもう、こんな落ちちゃって割れっちゃって、ここなんかもう、なんですか、これ。ゴミ不法投棄ですよ。電子レンジはあるわ、テレビはあるわ。まぁペットボトルも缶も、ほおってある。もっとうまくやったら、どんどんお客さん呼び込んで、にぎやかにねぇ、発展したんじゃないかと思うんですが、やっぱり難しかったんですかね。」(島田記者)


山代・山中・片山津の温泉街を擁する加賀市には、「廃虚旅館」が、9軒もあります。全国的に見ても、20年でおよそ3万軒の旅館が姿を消しました。


「二代目が多いでしょ」(住民)

「経営者の2代目」(島田記者)

「息子さんがね、それはだめ。つぶれる」(住民)


「あれ壊す言うたら、大変なことじゃない?裏側、民家があるからね。表は道路でしょ。どっちにしても危険ですわね。」(住民)

「結局が、そういうような旅館がありますと、さびれた感じがしますんで、主がいなくなった風景が少し、寂しゅうございます。」(住民)


「廃虚旅館」の負の連鎖から、街を守る。加賀市が動き出しました。


「一応、決めましてね、国のその空き家対策の法律を活用して、それをまず、取り壊してですね。」(宮元 陸・加賀市長)


加賀市は、松籟荘の所有権を取得し、空き家対策事業の補助金も利用して、「撤去」することを決めたのです。

「ちょうど山代温泉のど真ん中なもんですからね、景観を阻害するということと、もう一つ、一番大事なのは、危険な建物になりつつあると。シンボル的なものは早く取り掛からないといけないということで、今、方針は固めました。」(加賀市・宮元陸市長)

北陸最大級の旅館が復活

 一方で、「民間」の力も、大きな役割を果たそうとしています。これまでも、名だたるホテルチェーンが、老舗旅館の再生を手がけ、客足が復活する中、今、まさに動き出そうとしている「巨大旅館」があります。それが…6万6000平方メートルの広大な敷地に、224室の客室を誇る、「みやびの宿・加賀百万石」。関西でおよそ40軒のホテル・旅館を経営する「ビッグ総合開発」金沢会長が再生し、去年12月にオープンさせました。


「もちろん、こうして床を張り替えてますんで、きれいに見えますが、埃だらけと、シミだらけと、大変な状況やったですね。」(「ビッグ総合開発」金沢孝晃会長)


北陸最大級の老舗旅館「ホテル百万石」が経営破綻したのは2012年。その後、放置され「廃虚旅館」に。広大な庭は、「森」へと変わりつつありました。


「まだ撤去してないんですが、撤去するのもお金かかるんで、こっちもこのぐらいでおいてるんですわ。」(金沢会長)

「これ何ですか?」

「お湯貯めるタンクですわ、貯湯タンク。」(金沢会長)

「天井がですね、とてもそのまま使える状態ではない。中の電気の線、全部、盗っていってるしね。」(金沢会長)


廃虚となった旅館は、窃盗団の、格好の標的。電線、銅板、さらには風呂場の蛇口まで、金目のものはほとんど盗まれていました。

「40億円ぐらいであがらないかと思いましたが、結局50億になりそうですね。」(金沢会長)

50億円かけ、わずか1年足らずで巨大な旅館を再生させた、金沢会長。このスピード感こそ、「廃虚旅館」を、悪化させない最善の策なのです。


「まだ解体中ですね。ここにプール作るんですよ。プールになる。」(金沢会長)

「これがプール。」

「そう。これが3カ月でできるかどうかですね。なんとか頑張ってやりたい。」(金沢会長)


歴史が育んできた、「温泉旅館」の文化。その火を消したくないと金沢会長は語ります。


「立派にはやらせて、民泊やとかね、新しいホテルがどんどん建てさせるということだけじゃなくて、既存のホテル旅館の再生に注目していただきたいと、こういう成功例があるんだと、いうことを示したいですね。」(金沢会長)


「いやぁ、加賀百万石のお湯、きりっとしてますね。ちょっと熱めで、空き旅館にしといたら、本当にもったいなかったですね。復活して本当に良かったです。気持ちいい!気持ちいいですよ!」


時代の流れで、「廃虚」と化した温泉旅館。「再生」への道のりは、まだまだ、これからです。

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